2005年12月08日(木) |
ヘイフラワーとキルトシュー |
監督:カイサ・ラスティモ 出演:カトリーナ・タヴィ ティルダ・キアンレト アンティ・ヴィルマヴィルタ、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 緑深い可愛いおうちに住むヘイフラワーとキルトシューは7歳と5歳の仲良し姉妹。ジャガイモ研究に夢中のパパと家事が全く出来ずに外で働く事を望んでいるママの代わりに、ワガママなキルトシューの面倒の一切合財を任されて来た優等生のヘイフラワー。常に妹に譲って妹のワガママを聞いて来た彼女は、ある事件をきっかけに遂に爆発。家族を見限ってストライキに入ってしまう。
【感想】 2002年フィンランド製作の作品。本国では公開されるや、人口500万人の国で35万人の観客動員数という驚異的な大ヒットを飛ばしたという「ほのぼのコミカルホームドラマ」 キャッチコピーが婦女子のハートをくすぐります。「ムーミンの国、フィンランドから届いたとびきりカワイイ姉妹の物語」
このキャッチコピーは実に正しい。 とにかくヘイフラワーとキルトシューの姉妹が甲乙付け難く、眩暈がするほど可愛らしい! 腐女子のぴよですら眩暈を起こすくらいですから、自他共に認める幼女フェチのおっさんが見たら、スクリーンに向かって犯罪行為に走るのではないかと心配になってしまう程の愛らしさです。
話自体はどーという事もないちょっぴりコミカルなホームドラマ仕立てなんですが、ハリウッドではこういうスタイルのホームドラマは絶対に作られないであろう、独特のファンタジー感とほのぼの感がある映像と展開です。 要するに全く洗練されていないんですわね。でも洗練されていない事が逆に癒し度を高めるという不思議な作品。
ですが、冷静に考えるとこの映画の題材は、日本の家庭にも充分通用する興味深いネタです。 ダメ親に加えてワガママ放題の妹がいると、どうしても姉はしっかりせざるを得なくなる。本当は自分だってもっと歳相応に子供らしい事をしたくても、家庭環境がそれを許してくれない訳ですわ。 ずっと抑圧されて優等生を演じて来た姉は、ある日遂に爆発する。「マジメなヤツ程キレると怖い」というセオリーは、やはり世界共通なんでしょうなぁ(苦笑)
ヘイフラワーはある日突然キレた訳ではなく、その前段階で親に危険信号を発信している訳ですわ。 でも「この子はちゃんと判ってくれるいい子だから」と、親はその信号を受け取りつつも無視してしまう。本当は彼女の危険信号に応えようと思えば出来たハズなのに、自分の事にいっぱいいっぱいの親は敢えてその信号を無視して「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」という一言で一刀両断してしまう。
子育てしている親のみなさん・・・身に覚えはありませんかぁ?(^-^;
ぶっちゃけ「パン生地セラピー」なんて必要なかったんですよ。(笑) 映画の最後の方で、実にサラリと両親はヘイフラワーに「ズルした妹ばっかりエコ贔屓したのが悪かったのよネ」みたいに語っているんですから。それを認めてくれなかった事が原因だと親自身も判ってるなら、最初からきちんとヘイフラワーの言葉に耳を傾けてやれよ!と。
まあ・・・親も初めて反抗した娘に、どう接して謝ればいいのかきっかけが掴めなかったのかもしれません。そういう意味ではこの「パン生地セラピー」は、ヘイフラワーの為と言うよりも、親が子供の目線に立って接するチャンスを与えてくれたという事になったんだろうと思う。
実に奥深いテーマの作品なんですが、そんな重たい親子関係の話を実に愉快にほのぼのとした雰囲気で見せてくれる。 色使いがまた秀逸でしたねぇ。誰が見てもウキウキするようなPOPでCUTEな小道具とセットです。 フィンランドの家庭ってこんなに可愛い雑貨に溢れてるんですか?一度行ってみたくなりますよ♪
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