監督:マイケル・ラドフォード 監督:アル・パチーノ ジェレミー・アイアンズ ジョセフ・ファインズ、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 16世紀のヴェニス。ユダヤ人は迫害されて土地を持てなかったので、代わりに金貸し業を営みキリスト教徒から蔑まされていた。バッサーニオは莫大な遺産を相続した美女ポーシャに求婚する為に、親友のアントーニオに借金を申込む。アントーニオは全財産を船で輸送中で金が貸せないので、代わりに自分がバッサーニオの保証人となって、ユダヤ人シャイロックから金を借りようとするのだが、シャイロックは利子を取らない代わりに3ヶ月以内に返済出来なければ、アントーニオの体の肉を1ポンド頂くという条件を出して来たのだ。
【感想】 シェイクスピアの名作戯曲「ヴェニスの商人」を完全映画化。 何故2005年の今こんな古典名作を映画化するんだろう?と、いささか不思議ではありますが、アル・パチーノが出演しているという事なので「一応押さえておくべきですかー?」と思って鑑賞。 「ヴェニスの商人」って・・・子供の頃に絵本で読んだ事があったなぁ〜くらいの記憶なんですが(苦笑)
大筋は覚えてるつもりだったけど・・・戯曲のヴェニスの商人の内容というのは、この映画と全く同じなのでしょうか? 細かいディティールなんて全く覚えてなかったのですが、この映画を見ると随分当時とは印象の違う話になっていました。
子供の頃の印象では「ヴェニスの商人=悪徳イジワル金貸し商人」だったのですが、本作を見るとユダヤ人商人シャイロックに誰もが同情を禁じ得ない背景と事情がバリバリに横たわっています。 むしろ、常日頃シャイロックを散々迫害し続けていたクセに、テメーの都合のいい時だけ当たり前みたいな顔して金を借りに来るアントーニオの面の皮の厚さにヘドが出そうになりましたけど(苦笑)
もっと言えば、そもそも放蕩の限りを尽くして借金まみれになった挙句、美人で多額の遺産を相続したというネーチャンの存在を知って「コレで俺の借金チャラね〜ん♪」と求婚を目論み、更に求婚するのにカッコ付ける為にアントーニオ(←親友って言ってるけどさー、ホントはセフレだったんちゃうん?笑)に泣きついて自分の保証人になってもらって借金するというバッサーニオの心の卑しさと言ったら! ポーシャ!お前もちょっと優男が来たからってポーッとなってる場合ぢゃねーんだよっ!!(^-^;
映像は激しくステキです♪ ←いきなり話題を変えてみる(笑) 衣装とか運河とか装飾品・調度品のステキな事と言ったら!筆舌に尽くし難いってのは、こーいう事を言うのネ それに、期待通りにアル・パチーノの演技は素晴らしかったワ♪彼って本当に変幻自在よね。 余りに変幻自在だから、最初にスクリーンに登場した時に一瞬彼だと判らなかった。声出してくれたから判ったけどサ
・・・何かね、結局どっちが「いいもん」だったの?って感じでして。 時代的に考えると、キリスト教徒側圧勝!じゃなくちゃいけないんだと思うんだけど、少なくとも本作に限って言えばユダヤ人側の事情をとても丁寧に見せてくれて・・・むしろ、これだけ迫害に遭って来たユダヤ人達がようやく復讐出来るチャンス!という描き方になっていたように思えて。
結果的に、子供の頃から長い間自分の中で思っていた「ヴェニスの商人」とは、まるで違う印象を受けるという・・・ある意味新鮮なアプローチの作品だったなぁ、という感想です。 裁判後の指輪のエピソードがかなり冗長な感じがしたのが残念でしたわ。このシーンをバッサリ切ってくれれば、もっとヴェニスの商人の悲劇が観客にしんみりと伝わるんじゃないかと思ったんですがネ。
あー・・・だから元々はやっぱり「キリスト教徒万歳!」な話なんですかねぇ〜(^-^;
|