2005年10月20日(木) |
ティム・バートンのコープス・ブライド |
監督:ティム・バートン 声の出演:ジョニー・デップ(ビクター) ヘレナ・ボナム=カーター(コープス・ブライド) エミリー・ワトソン(ビクトリア)、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 成金の一人息子ビクターと没落貴族の一人娘ビクトリアは政略結婚させられる事になったものの、お互い一目見て恋に落ちてしまった。内気なビクターは結婚式のリハーサルで失敗を繰り返し、1人森の奥で誓いの言葉の練習をする事に。ようやく上手に言えてビクトリアの指の代わりに近くにあった木の枝に指輪をはめると、突然地中から幽霊の花嫁が現れて「お受けします♪」と言うのだ。枝だと思った物は何と半分腐った死体の花嫁(コープズ・ブライド)の薬指だったのだ!
【感想】 バートンファン熱望のストップモーション・アニメの新作がようやく日本上陸ですよーん♪ ちなみに「ストップモーション・アニメ」というのは、パペットを1コマずつ動かしては撮影する手法のアニメーション。 とにかく膨大な時間と労力を費やさなければ作れない・・・要するに「CG技術見本市時代」に思いっきり逆行する、超古典的手法のアニメーションです。
この作品をわざわざ劇場まで見に行く大人は、当然だけど「バートンの新作」「ジョニー・デップが吹替え」「イマドキここまでこだわるか!?のストップモーション・アニメを楽しみたい」という思惑でしょうから、よもや「何?ただの人形アニメじゃん。しかも1800円も金出したのに、たったの1時間ちょいの小品?」なんてバカな事を言う人はいないでしょうが(苦笑)
とにかく物凄く細部にまでこだわったアニメーション!スゴイ、の一言しかありませんよっ!!
バートンらしい遊びゴコロがふんだんに散りばめられていて、ちょっぴりミュージカル仕立てなオープニングで殆どのバートンファンは嬉しくってウキウキしちゃうでしょう♪ 生者の世界はモノクロで暗い感じに、死者の世界はカラフルで楽しい感じに作ってあるのもかなりツボに入る。
技術的な事を云々・・・だけでは映画としては成功したと言えない。 この映画は、非常にシンプルでありきたりな作りとネタでありながら、誰が見てもジーン♪としちゃうのが素晴らしい! 主要な登場人物が少ないから感情移入がし易いし、主要キャラ3人(ビクター、コープス・ブライド、ビクトリア)の肉付けが非常に巧みで、誰が見ても3人甲乙付けがたい魅力をそれぞれ持っている。
そう・・・通常では映画のタイトルが「コープス・ブライド」なんだから、あくまでも主役は悲劇のヒロインであるコープス・ブライドのキャラクターが際立っていて、後は添え物・・・特にコープス・ブライドと花婿の取り合いをするビクトリアのキャラなんておざなりになっても仕方がない、むしろかなり悪役になって当たり前くらいに思うんだけど、この作品は本来悪役にならなければいけないハズ?のビクトリアが、誰が見ても「愛すべき乙女」として描かれているのが好感持てるんですよ。
その代わりに、観客全員の憎悪を集める「極悪キャラ」をちゃーんと用意してる辺り、非常にウマい♪
素晴らしい技術だけを売り物にするクソ映画は世の中にごまんとある。 わざとらしい「泣かせ話」をもっともらしいキャッチコピーで売る映画も沢山ある。 でも、技術の素晴らしさを誇るでもなく、これだけ素晴らしい脚本なのにおざなりな予告編(をい)で軽くお茶を濁し、それなのに見た人誰もがジーン♪としちゃう作品って、見たくってもそうそう世の中にあるもんじゃーありませんよ。
「ありふれたファンタジー」だと言われたら返す言葉はありませんが(苦笑)、それでも絶対に見て損はない!!
内容について余り多く触れたくないのでココには書きませんでしたが、蛇足って事で・・・ 「いい役者」というのは声だけでも「いい演技」が出来るんですねぇ〜! ジョニーといい、ヘレナといい、エミリー・ワトソンといい、とにかく声だけで素晴らしい「演技」をしています! 本作、信じられない事に「日本語吹替版」も公開されるそーですが(アニメだから子供向けだと思ってんでしょ?)、よもや映画ファンは吹替版なんて見る気じゃないよね?
ってか、ジョニーの声を聞かなくてもいい・・・なんて人、世の中にいるのぉ〜!? ←ジョニーファンの叫び(笑)
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