2005年07月02日(土) |
星になった少年 Little Randy and Shining Boy |
監督:河毛俊作 出演:柳楽優弥 常盤貴子 蒼井優、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 小川哲夢は心優しい少年だったが、家が動物プロダクションを経営している事が原因なのか?学校でいわれのないイジメを受けて内に篭りがちだった。ある日母親が「飼うのが夢だった」と言って購入して来た仔象のランディに出会った哲夢は、象の神秘的な力とシンクロして次第に心を開いていった。タイに「象使い」の学校があると知った哲夢少年は、日本初の象使いになるべくタイを目指そうとするのだが・・・
【感想】 昨年カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した柳楽優弥クンの主演最新作。 本作は日本人初の象使いになったものの、若くしてこの世を去った坂本哲夢氏(享年21歳)の人生を綴ったもので、今も千葉県市原市に「市原ぞうの国」を経営する哲夢氏のお母様が出版された「ちび象ランディと星になった少年」という作品が元になっているようです。
事実が元になってる作品というのは必ず泣かせる。 特に本作の場合、映画予告編で既に哲夢氏が若くしてこの世を去っている事を語っているので、最初っからハンカチ握り締めて鑑賞しましたってば・・・いや、この作品で泣けない人は余りいないんじゃないですか? さすがのぴよもクライマックスシーンでは涙をこらえる事が出来ませんでしたから。
実言うと、柳楽クンって演技がウマイんだか雰囲気があるだけなんだかよく判らないんだけど(コラ) 少なくとも前作「誰も知らない(2004.8.11鑑賞)」と本作を見て思ったのは、彼には彼独特のオーラがあるという事。 やっぱり「目ヂカラ」かなぁ・・・彼にしかなく、そして彼だからこそ惹き付けられる独特のオーラが目からビームのように発せられているみたい?で、この「哲夢少年」の役を演じられる役者は柳楽クン以外には絶対にいない!と観客に確信させるだけの圧倒的なパワーがある。 そういう意味では彼は役者として超一級なんだろうな。生まれながらにして役者になる運命だったんだろうな。
学校でイジメに遭うシーンやタイでの様子、生涯の恋人になった絵美との出会いのくだり等、非常に丁寧に決め細やかに表現されていて(特にタイのシーンは好きだなー♪)、更に映像に被る坂本龍一氏の音楽とのマッチングも文句なしに素晴らしいっ!・・・って言うか、教授(←坂本龍一)が好きなんですよぅ〜♪YMO時代めっちゃ好きだったんですよぅ〜♪
と、猛烈に褒めまくってるんですが・・・なーんかピンと来なかったって言うか(^-^; すごく丁寧に描かれてるんだけど、何かが物足らない。哲夢氏の生涯をただ綴っているだけにしか見えない。 哲夢氏は「日本で使うだけ使った後には冷たいコンクリートのオリの中で生涯を終える象達の為に楽園を作りたい」という強い希望と信念を持っていた。 彼の死後、実際は「市原ぞうの国」という楽園が残ったのは周知の事実だけど、映画中でそれが語られる事はない。 ただおセンチに泣かせなシーンを入れて、それでシメにしてしまっているのが勿体無い気がするんだよね。
別にムリヤリ泣かせる必要なんてない気がする。 哲夢氏が志半ばでこの世を去った事は、本人にとっても残された家族にとっても拭い去れない悲しい事実ではある。 でも、今も「市原ぞうの国」はあって、哲夢氏の信念を受け継ぐ家族がその地に根を張って頑張っているんだもの。 ここまでやったら「そりゃーズルいだろ」という人もいるのかもしれないけど、ぴよは思い切って現在の市原ぞうの国の様子も見せて「残された家族は、哲夢氏の信念を受け継いで頑張っていますよ!」というメッセージを残してもよかったんじゃないかと思うんですよ。
泣かせればいいってもんじゃないと思う。 ラストがほのぼの爽やかな気分になったって、別にこの作品の質が落ちるとは決して思わない。 ぴよが大切な家族を無念の内に亡くしているからかもしれないけど、「ただ観客が泣けばいい」というラストの演出はどうしても受入れられなかったんだよね。
大切な人を喪っても、それでも家族は生きて行くんだもの・・・残された家族の再生を見せて欲しいんですよ。
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