監督:チョン・ユンチョル 出演:チョ・スンウ キム・ミスク イ・ギヨン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 20歳の青年チョウォンは、自閉症という障害を持っていて5歳児程度の知能しかない。母親は他人とのコミュニケーションを取る事が困難なチョウォンの為に20年間ずっと側に着いて来た。チョウォンが走っている時だけは楽しそうにしているのに気付いた母は、彼にマラソンをする事を勧めた。ハーフマラソンに出場して3位入賞をした事で、今度は42.195kmフルマラソンに挑戦しようと、かつて名ランナーと言われたチョンウクにコーチを頼むのだが・・・
【感想】 韓国で公開されるや、並み居るハリウッド大作を押しのけ観客動員数520万人超えという驚異的な記録を作った作品。 本作が話題になったのは事実を元に作られているという点も大きく、この映画の主人公母子は勿論実在、この映画のヒットがきっかけなのか?ノ・ムヒョン大統領との会談もしたそーで、それが更なるヒットの起爆剤になったのかも?
事実の感動物語の映画化でしかも障害を持った青年の話と言うと、過去にも沢山作られていますよね。 「感動の実話の映画化!」「○万人が涙した!」・・・散々使い古されたキャッチ・コピーだなと思いながら見ましたが、この作品の見せドコロは、主人公のチョウォン自体よりも彼を取り巻く周囲の人間模様、とりわけチョウォンの母親の心の葛藤が中心になっていました。
この子は自分が死んだら1日だって生きていけないだろう、と全てを捧げて全力で我が子に向かう母親の姿はとても痛ましく切なく目に映るものの、コーチが投げかける「アナタの愛情はエゴでしかない。チョウォンが母親なしで生きられないのではなく、母親のアナタがチョウォンなしでは生きられないんだ」という言葉も「確かに!」と膝を打ちたくなる。
まあ・・・ココら辺りがこの映画の一番ツボになってるんだろうと思います。 世の中のお母さん達は、どんな思いでこのシーンを見るんでしょうか?
この作品に登場する人達はみんながそれぞれ心に傷を持っていて、それがぶつかり合いさらけ出しあう事で、少しずつ昇華されてお互いの理解を深めて再生して行く。 その中心にチョウォンの存在があって、チョウォンの純粋な笑顔が登場人物全てを癒していく。
この作品を見ると「自閉症=清く美しいモノ」という記号で描かれているように感じます。 それがいいのか・悪いのか?という事はぴよにも判りませんが、少なくとも「自閉症」という障害を知らなかった人に、自閉症の理解と寛容を深める意味では非常に効果的な作りになっているんじゃないかと思うのですが・・・何だか「微妙だなぁ」と思うシーンが無きにしも非ず。
例えば、チョウォンの「自閉症」特有の行動や言動や所作をコミカルに見せるシーンが多々あるのですが、当然だけど会場内はこれらのシーンで大笑いする訳ですわ。製作者側も勿論「ココはウケるだろう」と想定して作っているんだろうな、というのは誰が見ても明らか。 ・・・コレって本当に笑っちゃっていいんだろうか?と、散々笑った後に(←笑ったんかよ)思ったんすけどね。
まあ、あんまり難しい事考えないで素直に感動した方が良さそうです。 少なくとも「泣き映画好き」「感動モノ好き」さんには大絶賛の予感・・・確かに泣けますヨ。 周囲大号泣の中でいつもシラーッと見てるぴよですらウルウル来ましたから。泣きたい人は思いっきりドーゾ!
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