2005年06月21日(火) |
フライ,ダディ,フライ FRY,DADDY,FRY |
監督:成島出 出演:岡田准一 堤真一 松尾敏伸、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 絵に描いたような幸せな鈴木家がある日一変してしまった。愛娘・遥が殴られて入院したのだ。加害者の高校生・石原は代議士の息子で更に高校ボクシングのチャンピオンだと威圧して来た。刃物を持って復讐の為に石原の高校へ向かった鈴木だったが、訪ねる高校を間違えて「スンシン」という在日高校生に一発でノされてしまう。鈴木の事情を知ったスンシンの取り巻き達は「石原を倒すべし!」と提案、スンシンの指導の下で猛特訓を始める事になった鈴木だが・・・
【感想】 直木賞作家・金城一紀氏の同名タイトル小説の映画化。 金城氏は映画化するにあたり、ご本人で初めて映画脚本も手掛けるという気合の入れようです。 ちなみに金城氏が直木賞を受賞した作品「GO」は、窪塚洋介君主演で映画化されましたよね(ぴよは未見ですが)
デビュー作から「青春モノ」を書き続けている金城氏。 本作も勿論青春モノではあるけれど、ちょっと変化球を付けた「ダメおやじとおちこぼれ高校生の交流」がメインになった再生物語になっています。 ダメおやじ・鈴木役に堤真一氏、鈴木を鍛え直す在日高校生スンシン役は岡田准一クンが演じています。
イマドキの高校生とおやじ。絶対に相容れない関係であろう両者が手を組み、そして再生して行く「頑張るムービー」なんですが、そこには多くのメッセージが込められていました。 家族の絆と再生。社会に揉まれて戦う事を忘れた男達の悲哀。在日が故の不当な弾圧。孤独と葛藤。e.t.c. これらが決して「お涙頂戴」じゃなく、基本的にはコメディ・タッチで見せながらホロリとさせるという、磐石なヒューマンドラマとして上手に料理されていると思いましたネ。
堤サンがダメおやじ役ってどーなのよ?(←かなり好きな役者さんなの♪)と思ってたんですが、これがなかなかハマってて特訓の最初の頃の様子なんて笑った!笑った!! 岡田クンのスンシン役もとってもハマってましたねー♪原作未読なので、原作とどれくらいキャラにギャップがあるのか判らないんですが、少なくともこの映画だけに限定して言えばいい配役だったと思いますヨ♪ スンシンの取り巻き「ゾンビーズ」の面々のキャラも、すっとぼけてるけど決めるトコロはきちんと決める、とっても可愛くて憎めないハートフルな奴らで好感持てましたネ♪
個人的には最初のモノクロのシーンがちょっとダレるなぁ・・・と思って見てたんですが、スンシンが登場してからは文句なく楽しませてもらえましたワ。
きっと本作を見たいと思うのは、岡田クンか堤サン狙いの女子高生〜OL辺りの年層か? でも、ぴよは中高校生の息子・娘を持ってる世代の元気のないお父さんに是非見てもらいたいと思う。息子・娘達の気持ちを代弁してくれてるし、お父さんの気持ちも代弁してくれてる。 そして・・・お父さんの勇気とパワーと優しい気持ちを感じられる作品だと思いますヨ。
邦画らしい繊細な機微とユーモアに溢れた、秀作ヒューマンコメディ。お父さん世代の方、是非!
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