2005年04月22日(金) |
ムッシュ・カステラの恋 |
監督:アニエス・ジャウィ 出演:アンヌ・アルヴァロ ジャン=ピエール・バクリ ブリジット・カティヨン、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 中堅企業社長のカステラは、雇ったコンサルタントのエリート振りが鼻に付き、保険会社が派遣したボディガードが四六時中へばり付いているのも目障り。万年少女趣味のワガママな妻は自分よりも犬を大事にする始末。ある日仕事上英会話が必要だ、とコンサルタントが勝手に英会話教師を雇うものの、カステラは興味がなくてけんもほろろ。ところがその夜妻と見に行った芝居にその英語教師が出演しているのを見つけ、演技する彼女に一目惚れしてしまったのだ。
【感想】 1999年フランス作品。タイトルが前からすっごく気になっててようやくDVDレンタルして来て鑑賞。 この監督さん(兼ボディガードと恋に落ちるウエイトレスのマニー役)、どこかで聞いた名前だったなー・・・と思ったら、昨年日本で公開になった「みんな誰かの愛しい人(2004.12.16鑑賞)」の方でした。 という訳で、当時の恋人にして仕事のパートナー・バクリ氏がカステラ役をやってます。
最初の内、登場人物の顔と名前が一致しなくて(特に運転手とボディガード)、更に誰がどういう役回りの人なのかも掴めなくて、もっと言うと延々と登場人物それぞれに関するエピソードが流れてくだけで・・・ダレまくった(苦笑) しかもカステラは下品なジョークで白けさせるし、場の空気が読めずに失言を繰り返す典型的「イケてないおやぢ」 こんなおやぢに好かれても嬉しいわきゃ〜ない。クララが「大っ嫌い」って言うのも頷けますよ。ホント!
・・・と思ってたのに、地味で淡々としたエピソードをイヤイヤながらも見ていると、知らない内にすっかり「カステラおやぢの応援団・その1」になってる自分ってどーよ?(笑) 何だか訳わかんないけど思いっきりハマってるぢゃん!なんで?どーして?何がそんなにハマったんだ???
この映画のスゴイ所は、登場人物それぞれに関わる色んな事情やエピソードを見せるてくれるのに、散々ネタ振りするだけしておいて、何1つネタを収束させていないという所でしょう。 普通だったら最も吠える部分だと思うんだけど、この宙ぶらりんな状態が妙に心地いいってのは何故だろう? ある意味不親切な作品なんだけど、とっても余韻が残る。ハリウッドでは絶対に作られないタイプのいかにもおフランス映画の王道!という作りの作品・・・そして、本来ならぴよはこういう作りの作品は好きじゃないハズなんだけど、この作品に限って言えばとっても気持ちがよかった。
最初の内は「こーいうオヤジ、いるよなぁ〜」と否定的にカステラを見てたんだけど、話が進む内にどんどんカステラが可愛く見えて来る。 確かに彼は話が進むにつれてどんどん自分の内側を観客に(そしてクララに)素直に見せてくれるし、彼の取る行動や態度がとっても無邪気で少年のように見えて来る(明らかにそれを意図した演出だった)
でもよく考えると、最初からカステラは素直で無邪気だった。 どんな人間も内なる性格は1つだけじゃない。場の空気が読めなくて不用意な失言をするのも、絵を見て感動するのも、下ネタで白けさせるのも、自分の悪い所を認めて素直に謝るのも、全部ひっくるめて一人の人間。人間一片だけじゃない。どんな人にもいい所もあるし悪い所もある。そして人間は成長する。何歳になっても本人が望めば。
この映画のウマイのは、最初に主人公カステラの悪い部分をディフォルメして見せておいて、その後はどんどん彼の中に持ってるいい部分(そして成長振り)をジワジワと小出しに見せてくれた所だと思うな。
ぴよなんてさ、暴漢に襲われたカステラ見て、思わず抱きしめてハゲ頭にCHU♪したくなっちゃったよー(爆)
でも、若い人にはこの作品は全くウケないだろーと思うなぁ。 ハリウッドの判り易いラブストーリーが大好き!って人にも敬遠されちゃう類だと思う。 ・・・けどね、ハマる人には相当ツボに来るんじゃないかしら?ぴよは久々にガツン☆と来ましたねー♪(^-^)
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