監督:マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ ケイト・ブランシェット ケイト・ベッキンセール、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 若くして莫大な遺産を相続したハワード・ヒューズの夢は、世界一の映画を作る事と世界最速の飛行機を作る事。全財産を注ぎ込んで製作した映画「地獄の天使」は空前のヒットを飛ばし、一躍ハリウッドの寵児になる。次々とハリウッド女優と浮名を流し、更には大手航空会社を買収したハワードは軍飛行艇「ハーキュリーズ」の開発に乗り出すのだが・・・
【感想】 今年のアカデミー賞で1番話題になった作品。 そもそもハワード・ヒューズの伝記を読んだディカプリオが「是非彼の映画を作りたい!」と話を持ち込み、「ギャング・オブ・ニューヨーク」で共倒れした(をい)スコセッシと懲りずにまたタッグを組んで、リベンジを計った鳴り物入り映画です。
とは言うものの、蓋を開ければ技術面ではオスカー総なめ状態だったものの、主要部門ではケイト・ブランシェットが受賞した助演女優賞だけ。女優賞は基本的に作品自体に対する評価ではないと思うので、嫌な言い方をすればオスカー選考委員はこの作品を「金のかかったスゴイ映像だけど内容はイマイチ」という評価を下したって事なんだなーと(ひー!) ・・・でもゴールデン・グローブ賞は取ってるもんねぇ。スコセッシってオスカーに嫌われてるん?(^-^;
そもそも「ハワード・ヒューズ」という人の事をぴよは知りませんでした(涙) アメリカでは歴史的有名人で、190cmの長身にハリウッド俳優並のルックスで次々とハリウッド女優と浮名を流し、数々の奇行と猛烈なワンマン経営、そして20年間も姿をくらまして(この20年間、ドコで何してたんだか未だに判ってないそーだ)、そして70歳の時に飛行機の機内で死亡した時には誰も彼がハワード・ヒューズだと識別が出来ず、検視官が指紋照合までしたという・・・日本ぢゃー考えられないレベルの奇人らしいです(笑)
本作では、ハワード・ヒューズが「地獄の天使」を撮影する1920年代後半から「20年間姿をくらます」直前の1940年代後半までの約20年間の彼の人生を追っています。
映画冒頭、幼いハワードが母から感染病の恐怖を叩き込まれるシーンから入る。 これが後々までハワード・ヒューズの人生をある意味振り回す?くらいに尾を引く「キー」になってますが、その後この冒頭の回想シーンというのが全く出て来ない。出て来ないんだけど、映画が進むにつれて冒頭シーンが誰しも忘れられないものになっていくハズです。だから見逃さないよーにしましょう(笑)
確かに映像がスゴいです! 特に「地獄の天使」の撮影シーンなんて猛烈に興奮する!飛行機のスピード感を出すのに雲が必要だ、とハワードが語った段階で既にジブリアニメ「紅の豚」を頭に思い描いていたぴよですが、その後の映像を見てこの発想に間違いがなかった事が確認出来ましたワ♪ ハワードがテスト飛行中に事故が起こって爆発炎上するシーンも圧巻!「ギャング・オブ〜」をご覧になってる方なら想像付くと思うけど、この時代の衣装や装飾を忠実に再現する力量は、さすがスコセッシ!と誰もが賞賛出来るハズ。
それにしても前作「ギャング・オブ〜」を見た時も思ったけど、スコセッシは欲張り過ぎなんだと思いますよ。 とっても丁寧に作っているんだけど、丁寧過ぎるんです。「ハワード・ヒューズ」という人間の魅力や苦悩や葛藤や力強さの中に潜む繊細な心を、観客に漏らさずきちんと伝えたい!という気持ちはとても良く判るのですが、それが返って観客をダレさせてしまう要因にもなってしまう訳ですわ。
上映時間2時間49分。映画の尺としては相当長いと言えるこの時間、観客をダレさせずに見せるというのは至難の業。 確かにハワード・ヒューズがいかに潔癖症で完璧主義者だったか、そしてそれ故に心の均衡を崩していくハワードの様子が非常に丁寧に表現されていて、誰の心にも訴えかけるものがあるでしょう。
でも、もう少し大胆にエピソードを端折っても充分に伝わったと思うんですよ。 その全てを見せなくても、一端を見せてくれれば充分観客に伝わるだけの力を持った作品だと思うんです。 ディカプリオの演技も「アイドル俳優」からの脱皮を図りたいという熱意の充分伝わる演技でしたしねぇ
まーでも、ジェイミー・フォックスがオスカー取って順当でしょう。 そしてこれまた「ミリオンダラー・ベイビー」未見なので早計かもしれませんが・・・
この作りでは「作品賞」はやっぱりムリだっただろうなぁ、と思いましたネ(^-^;
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