監督:ティム・バートン 出演:ジョニー・デップ ウィノナ・ライダー ダイアン・ウィースト、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 とあるのどかな町の奥、山の上に佇む古城住んでいた老発明家が人造人間エドワードを作った。ひとまず手をハサミで作って後は人間の手を付けるだけの段階で老発明家は死んでしまう。取り残されたエドワードは一人で城に住んでいた。ある日化粧品セールスにやって来たペグがエドワードを見つけ、彼の手を気の毒に思い我が家に連れ帰る。ペグの娘で高校生のキムの写真を見て一目惚れしたエドワードだったが・・・
【感想】 1990年(日本劇場公開1991年)のバートン監督作品。 実は劇場公開時に映画館で見ている作品なので感想に取り上げるかかなり迷ったんだけど、細かい部分も結構忘れちゃってたし、久し振りに再見したので新たな気持ちで見れたってー事で感想UP決定♪ この作品で初めて「ジョニー・デップ」という役者の名前を知ったんだよなぁ〜・・いやぁー、懐かしいっ!!
ある意味ティム・バートンの原点とも言える作品なんじゃないかと思う。 そしてジョニー・デップにとってもやはりこの作品は彼の演技、彼の持つキャラクターの原点のように思う。 とにかく「はぁ〜!?」なメイクと髪型、そして手が何故かハサミで出来てる・・・何故ハサミなのヨ(笑)
ここら辺りの「ファンタジーなんだけどどこかアングラ」な空気感というのはいかにもバートンらしい。 どこか滑稽で魅力的なキャラクター、明るいカラフルな色調の町並みなのに薄ら寒いモノを感じさせる背景、コメディタッチなエピソードを繋いでる割にはかなり辛らつに人間の醜い姿を見せる作り、どれを取っても本当に「バートンらしい」作品だと今回再度鑑賞して改めて思う。
この映画に登場して来る町のおばちゃん達は決して悪人ではない。 おせっかいで噂好きだけど陽気で明るい、本当にどこにでもいそうな田舎の普通のおばちゃん達だ。エドワードを最初に見た時は好奇心丸出しで「退屈な日常に飛び込んできたオモチャ」エドワードをチヤホヤする。 次に彼の意外な芸術的才能を見つけたおばちゃん達は、自分もそのセンスで得をしようと群がりまくる。 でも何か自分達にとって不都合な事態が起こると、内輪に悪者を出すのが好ましくないと思ったおばちゃん達は自然によそ者でしかも異形のエドワードに罪をなすり付ける事でコミュニティーの団結を図る。
やってる事は相当感じ悪い(映画見てても確かに相当イヤなババア達だ。苦笑)けど、やっぱりぴよにはおばちゃん達が悪人には見えなかったね。映画ではかなり感じ悪くディフォルメして表現しているけど、こういう身内同士の結束と保身の為の愚かな間違いを人は往々にして犯すと思う。自分も含めて。
バートンはこのファンタジーに勧善懲悪を最後まで取り入れてはくれなかった。でもそれが良かった。 子供向けディズニーファンタジー系なら、きっとラストはエドワードの冤罪が晴れて町の人は彼を誤解していた事を悔い、そしていつまでもエドワードは幸せに町の人達と暮らすのでした。ちゃんちゃん♪というシメだろう。 でも現実はこの映画の示す通りでしょう。人は悪意なくとんでもない間違いを犯す。エドワードと心通わせたキムですら、彼の冤罪を最後まで晴らそうとはしなかった。
切ない恋愛ファンタジーの様相を呈していながら、実は痛烈に人間の愚かな「悪意なき悪事」を見せつける大人向けの寓話になっていると思う。
今になって見直すと随分チャチな映像だなぁと思うけど、伝わるメッセージは劇場公開時と随分違ってました。 当時はただただエドワードとキムのやりとりに涙、涙・・・なんてピュアで切ない恋愛なのかしら!町のおばちゃん達ったらヒドいわ!サイテーよっ!という印象しかなかったんだけど、今は恋愛部分自体よりももっとその奥の「何故この話が切ない恋愛話になってしまったのか」という部分について深く考えさせられました。 それだけぴよも大人になって、汚い世の中と人の心に触れて、そして自分もまた汚れたという事なんでしょうね・・・
何にしろ、この作品はやっぱり今でもぴよのお気に入りですネ。 それにジョニー・デップの演技は秀逸ですヨ。ウィノナ・ライダーもめっちゃくちゃ若いわぁ〜!
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