監督:塚本晋也 出演:浅野忠信 柄本奈美 KIKI、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 医大生の博史は交通事故に遭い、一命を取り留めたものの記憶を全て失ってしまう。両親の顔すら判らない博史だったが自室に置いてあった医学書だけには強く反応し、医大に入学し直した。2年に進学して解剖実習が始まり、博史は腕に刺青のある若い女性の献体を解剖する事になったのだが、解剖を進める内にこの献体が博史と共に事故に遭い死亡した恋人・涼子である事が判ったのだ。
【感想】 日本映画界の奇才・塚本晋也監督最新作。 本作は第61回ベネチア国際映画祭特別招待作品になっています。しかもエンディングソングは沖縄に隠遁して音楽活動休止中のCoccoが本作の為に曲を書き下ろし。CDリリースする予定はないそうなので、彼女の新曲が聞きたい人はこの映画を見るっきゃないという訳だ・・・この曲かなりいいです。何でCDリリースしないんだろ?勿体無いなァ
塚本作品ってのは、物凄くクセがあると思うんですよね。 ハマる人はめっちゃくちゃハマる。シュールな映像の見せ方が「通好み」な熱狂的ファンを生み出す土壌だと思うのですが、ぶっちゃけ言って一般ウケする作品はあまりないと思う。 多分塚本氏ご本人がメジャーになりたいと思ってないんでしょう。「判る人には判る」というのがカッコイイスタイルだと思ってらっしゃるんだろーし、彼の作品を熱烈に支持するファンの方々もきっと「彼のシュールな世界を理解出来ない凡人は気の毒だよネ」みたいな特権階級的意識をお持ちなんじゃないかと思う。
そんな訳で、凡人でアホのぴよは塚本作品が苦手です(爆)
苦手ではあるけど映像は確かにスゴイ。 塚本氏独特の世界観がふんだんに散りばめられて、青みがかった映像や単視点から広角に一気に引くカメラワーク、手前ボケと奥ボケを巧みに絡ませて不安定感を匂わせたり独特の透明感のある映像は、他の作品ではちょっとお目にかかれないこだわりを感じさせてくれます。
話の筋自体は結構シンプルなんですよね。 記憶喪失の男が解剖実習を通して自分の過去を取り戻していく。その過程で亡くなった彼女との魂の呼応というのか?いわゆる「夢と現」を行ったり来たりしてアイデンティティーを取り戻して行くってトコロでしょうか。
要はその「見せ方」が好きか嫌いか?というだけの事でして。 シュールで官能的と言えばそーなんでしょうけど、判りにくいっちゃー判りにくい(^-^; そんな訳で脳味噌の作りがシンプルで感受性の乏しいぴよには「とっつきにくい」としか思えないんですが、一見何が言いたいんだか訳わかんないよーなシュールな塚本ワールドにハマる方の気持ちはまんざら判らなくもないです。
決して万人ウケする作品ではないですが、塚本作品は一貫して「精神(魂)の解放」を映像で体現させるというテーマが潜んでいるように思いますネ。少なくとも前作「六月の蛇(2003.6.6鑑賞)」もそんな作品でした。 ハマった人勝ちですね。今回はハマれなかったぴよの負けです。はい。(笑)
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