2005年01月20日(木) |
レイクサイドマーダーケース |
監督:青山真治 出演:役所広司 薬師丸ひろ子 柄本明、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 我が子を名門中学へ入学させたい3組の家族が、塾講師を雇って湖畔の別荘に合宿にやって来た。並木俊介は受験に疑問を持ちつつも、娘の為に別居中の妻と仲の良い夫婦を演じていた。その別荘に何の前触れもなく並木の愛人・英里子が現れて仰天する並木。夜になって英里子の投宿しているホテルへ密会する為に訪れたものの、英里子に会わず引き返して来た。ところが別荘に戻ってみるとホテルにいるハズの英里子が部屋で死体になっていたのだ。「私が殺した」という妻の美菜子の言葉に愕然とするも、事態は思わぬ方向へ動き出すのだ。
【感想】 人気推理小説家・東野圭吾氏が2002年に書き下ろし、たちまちベストセラーになった「レイクサイド」の映画化。 氏の作品は大好きで、文庫化された作品は全て読んでます♪・・・という訳で、文庫化されてない本作は未読(笑) でもミステリーはオチや犯人探しが楽しみなんだから、どーせなら原作読む前に映画見た方が、映画としては楽しめるしネ♪
と、軽く負け惜しみを言ったトコロで(苦笑)
ここから先は未見の方は読まない方がいいかもしれません。 ネタバレする気はありませんが、察しのいい方は記述を読む事で犯人が誰か判ってしまう可能性があります。
登場人物は3組の親子と塾講師。主人公・並木の愛人が妻によって殺害される。ところが殺害場所が合宿会場であり、且つその3組の中でもとりわけリッチな医師ファミリーの所有する別荘だったが為に「警察に知られたら私達の子供が中学に合格しなくなる!マスコミに書きたてられたらシャレにならんっ!」ってー事になって・・・てな展開な訳ですが。
まあ、毎度毎度書いてるんだけど、登場人物が出揃ったトコロで「コイツがトラップ、んでコイツが犯人だな」と目星がついてしまい(笑)、そしてそれはやっぱり当たっていたりなんかして(^-^; 犯人が誰か当てるという「推理ゲーム」的な要素があるのは勿論ですが、この作品は「犯人当て」だけを楽しむ作品ではないというトコロが東野氏の作品らしいヒネリが利いています。
犯人当てではない、この作品のキモになる主題部分が何かをここに書くと「犯人は誰か?」というネタバレになってしまうので書けませんが、現代社会が抱える大いなる闇の部分をかなりシニカルかつ辛らつな展開で表現しています。
芸達者な役者を揃えているので、演技に関しては文句垂れる箇所はあまりありません。 更に「レイクサイド(湖畔)」という設定を印象付けるかのように、青みがかった美しい映像が多く、撮影・演出・映像処理に対する監督さんのこだわりを随所に感じさせてくれます。
でも、見終わってみてなーんか煮え切らんのだ(苦笑) 気持ちいいネタじゃないからってのが一番だと思うんだけど、それだけじゃない何か納得出来ないモノがあるのよ。 よく練られた話だと思うんだけど(これはきっと原作の出来がいいんだろう♪)、やっぱり「原作の映画化」という制約の中で作ってるからなのか?限られた上映時間の中で人間関係を見せ、伏線を張り、トラップを掛け、真相を見せて主題を明らかにしなければいけないという「てんこ盛り状態」になっちゃって、キャラクターの肉付けがおざなりになってる感が否めないからかもしれないなーと思う。
筋立て的には本当によく出来てると思う。 けど、どうしても煮え切らないモノが残る・・・何をどうすればよかったのか?と問われると困るんだけど、もしかしたらこの作品は映画化に向いていない題材だったのかもしれないな、という気がしなくもないのよね。
この映画見て、スッキリいい気分になれる人はまずいないと思うし。 誰が見てもやるせない気持ちになるネタだったし(^-^;
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