2004年12月21日(火) |
Mr.インクレディブル |
監督:ブラッド・バード 声の出演:クレイグ・T.ネルソン(Mr.インクレディブル) ホリー・ハンター(インクレディブル夫人) サミュエル・L.ジャクソン(フロゾン)、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 かつてスーパーヒーロー達は数々の世界の危機を救い続けて来た。ところが有り余るパワーが時として一般市民に多大な被害を及ぼすと訴えられて敗訴、彼らはヒーローとしての活動を禁じられて一般市民としての生活を余儀なくされた。それから15年後、スーパーヒーローだったMr.インクレディブルは保険会社のしがない社員に、スーパーガールだった妻は今や3人の子供の育児に負われるママに、そしてスーパーパワーを禁じられた子供達はストレスと戦う日々を送っていた。そんな折、かつてのスーパーヒーロー達が次々失踪する事件が発生し・・・
【感想】 今頃になってようやく鑑賞!のピクサースタジオ待望の新作。 監督はかつて14歳にしてディズニースタジオに迎えられたという伝説のアニメーター、ブラッド・バード氏。 氏はその昔「アイアン・ジャイアント」という作品でアニー賞を総なめにしたものの興行的には振るわず、その後パッとしなかったんだけど(をい)、今作は氏の持ち込み企画をピクサーが採用して作ったそうでして・・・ピクサーもディズニーとの契約終了以降の身の振りを考えて大博打に打って出てきたというトコロでしょうか?
この大博打、大成功してますがな! いやぁ〜ピクサースタジオは本当にスゴイ!スゴ過ぎる!!
その瑞々しいキャラクターの動き、細部に渡る緻密な設定と徹底して洗練されたデザイン、物凄いリアルな背景にスーパーパワーという全くリアルでない動きを組み合わせる事で広がる世界観、正にインクレディブル(信じられない)な程パーフェクトな作品だと言っていいでしょう!!
ネタも、今までの「完全お子向け」から一歩踏み出してちょっぴりダークなシーンも盛り込み、家族愛だけでなく夫婦愛、更には過去に縛られて屈折した悪役の心の闇まできっちり見せて、大人のアニメーションファンも大満足な作り。 だからと言って子供が見て退屈するような説教じみた作りではなく、どの世代が見てもきちんとメッセージを受取る事が出来、更にエンターテイメントとして絵も内容もすんなり作品に入り込んで楽しめるように計算されていて、本当に「脱帽!」としかいいようがなかったっす。
ファミリーの結束を描く上で、個々のキャラの設定がすごくウマい。 かつての栄光の日々が忘れられないMr.インクレディブルの姿なんて、バブル時代にどれだけ豪遊してたかを今でも自慢してる(しかも同じ話を100万回くらい聞かされたし!)会社のおっさんと被るし、しっかり物の奥さんにガッチリ首根っこ押さえられてて完全なカカア殿下な家庭というのも、大人がすんなり溶け込める設定だと思う。
肝心なのは、本当の家庭の危機に直面した時の姿だよね。 家を仕切ってるのはママだけど、決してパパをないがしろにしてる訳じゃない。家族の長であり家族を取りまとめて守っているのはやっぱりパパなんだ・・・というのが「家長不在時代」の今、しみじみと感じさせられて嬉しかった。
ここに理想の家族像がある。 愛し合うパパとママ、普段は喧嘩ばかりでもいざという時には信頼し合って助け合う子供達、子供を信じ、親を信じ、そしてお互いが愛で強く結ばれて成長していくファミリー。 出来すぎた御伽噺だと言えばおっしゃるとーりだけど、磐石な(ワンパターンで先が読める)スーパーヒーロー話の中には現代の社会と家庭が抱える問題を解くカギが沢山含まれていたと思う。
ディズニーと手を切った後のピクサー作品が益々楽しみになって来ました!! もちろん・・・本作は「ディズニー映画」という冠は付いてますけど、どの世代の方にもオススメ出来ますヨ♪
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