監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:トム・ハンクス キャサリン・ゼタ=ジョーンズ スタンリー・トゥッチ、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 飛行機に乗っている間にクーデターが起こり、事実上祖国が消滅してしまった東欧の小国クラコウジア人のビクター・ナボルスキーは、アメリカ入国も出来ずクラコウジアに帰る事も出来ず、空港ターミナルから一歩も出れなくなってしまった。英語もおぼつかないビクターは必死に言葉を覚え、仕事を見つけ、友を作り、恋の橋渡しをして、そして自分も恋に落ちた。 そうして9ヶ月もの間、彼は空港で待ち続けたのだ。ある小さな約束を果たすためだけに・・・
【感想】 スピルバーグ監督最新作。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に引き続きトム・ハンクスとコンビを組んで送るハート・ウォーミング・ストーリー。相方はゴージャス姐さんキャサリン・ゼタ=ジョーンズを起用、既に予告編もじゃんじゃん流れているので大方のあらすじはご存知の方も多いでしょう。
もし実際にこんな事が起こったら、たぶん速攻で「超法規的措置」とやらが取られるに決まってんじゃん?と誰もが思うであろう「9ヶ月空港足止め事件」を描いていますが(笑)、そんなツッコミを入れながらもトム・ハンクスの演技が相変わらずウマ過ぎるので、ついつい先の見えたオチだろーがビクターがどうやってこの後空港内でサバイバルしていくか気になって見ちゃうじゃんね(ノッケから感じの悪い書き出しですか?苦笑)
いやはや、トム上手過ぎるよ。 とりあえず映画冒頭でビクターが自分の祖国が崩壊した事を知って愕然としながら涙ぐむシーンで、既にぴよも軽くもらい泣きしてるし(苦笑) すっとこどっこいな英語話す様子、空港内で小銭を稼ぐ方法を見つけて嬉々として頑張る様子、我が身を顧みず他人の為に尽力する様子、美貌のスッチーに思いを寄せて一生懸命頑張る様子・・・一つとして違和感を感じさせない、まるで今本当にこんな出来事があって、それをライブで見ているかのような臨場感を感じさせてくれましたね。
この臨場感というのは、トムの演技だけじゃなくて映画全般に言える事で、映画見ながら「これはどこの空港で撮影したのかなぁ?JFK空港が舞台になってるけど、JFK空港とは内部の様子が明らかに何か違う気がするし・・・」と思ってたんすけど、なんとこの空港は全て建物内に作られたセットだと言うから驚きじゃーないですか!! さすがスピルバーグ!ここまで大物監督になると、製作資金も相当潤沢なんでしょなぁ〜(^-^;
ちまちまとエピソードを重ねながら、ビクターが少しずつ空港内でアメリカという国とアメリカ人を知って、周囲の人々を優しい気持ちにさせて、そして彼もまた周囲の人々に助けられて癒される。 人としていつまでも信じたい、そして持ち続けたい「ゼロからのコミュニケーションのノウハウとそれによって得られるステキな奇跡」を、この映画は「ビクター」という愛嬌のある誠実な男を通じて、観客に静かに少しずつ見せてくれます。 エピソードも魅力的で、コミカルなネタ多めで観客を楽しませながらも締める場所はきっちり締める、いかにもスピルバーグらしい小細工の効いた丁寧な作りになっていたと思う。
ビクターがどうしてもアメリカに入国して果たしたい「かけがえのない小さな約束」を、ゼタ姐演じるスッチーに告白するシーンは実にロマンティックに仕立ててあって、光線の当て具合なんて絶妙でめっちゃ気を遣ってるよなぁ〜!さすがにスピルバーグ、こういう小技は相変わらず磐石だよなぁ〜!と溜息出ちゃうくらいステキでしたネ♪
でもねー・・・ この「小さな約束」、ネタが判ってみてまずぴよが思ったのは「今ゼタ姐にした話をそのまま手紙に書いて送れば、わざわざキミがアメリカに来なくてもたぶん約束は果たせたと思うヨ?だってアメリカさんってこーいう話に乗るの大好きだし」という事だったんですが(爆) もっと言えば、飛行機に乗ってる間に国が崩壊して入国出来ずに空港足止めくらってる外国人がいるなんて話、あれだけ沢山の空港職員がいたら絶対にマスコミに話がモレて、9ヶ月もいなくても早々に取材が殺到すると思うんだよネ(^-^;
と、「根本的に話の設定が破綻してるな」と思ったものの(をい)、誰もが優しい気持ちになれます。 もっと言えば「あり得ない話だけど、こんな話が本当にあったらいいのにな」くらいは絶対に思う。
そんなステキなちょっぴり切ない話。
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