2004年09月23日(木) |
ぼくセザール 10歳半 1m39cm |
監督:リシャール・ベリ 出演:ジュール・シトリュク ジョセフィーヌ・ベリ マボ・クヤテ、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 セザールは学校では目立たないちょっと太めを気にしてる男の子。出張で出かけた父をてっきり警察に逮捕されたものだと勘違いし、学校中に噂が広まってセザールは一躍人気者になってしまう。ところがセザールの勘違いだと判って評判はガタ落ち。そんなセザールに声をかけてくれたのは、親友モルガンと2ヶ月前に転校して来た美少女サラだけだった。 そんなある日、モルガンが生き別れになっている父親を探しにロンドンに行くという決意を語った。親友モルガンの願いを叶えようとサラとセザールの2人は小さな冒険を計画。かくして子供3人の珍道中が始まるのだが・・・
【あらすじ】 舞台・映画等で幅広く活躍を続ける役者リシャール・ベリ氏が監督・脚本を手掛けた作品。 主人公のセザール役は「バティニョールおじさん(2004.1.6鑑賞)」で初めて主役を手にし、その高い演技力を評価されたジュール・シトリュク君。ヒロインの美少女サラ役を演じたジョセフィーヌ・ベリ嬢は、何と監督さんのご息女だそーですよ。
子供も10歳にもなると、実は大人が考えているよりもずっと世の中の事を判ってるしきちんと物事考えてる。 自分だって10歳の頃は「大人は全然判ってくれない!」と散々悪態ついてたクセに、いざ大人になるとそんな事はすっかり忘れて子供扱いしてしまうというのはどーしてなんだろう? そんな子供時代の頃の子供の視点を、実に瑞々しくこの作品は見せてくれます。
その視点や物の考え方は大人のソレと全く変わらない。冷静でシニカルで現実的な視点のセザール少年は、大人達が大切な話になると子供を蚊帳の外に追いやってしまう事や上から見下ろして「坊や」と呼ぶ事、自分に対して敬意を払ってくれない事を日々不満に思ってるのだ。 映画はずっとセザールの心の声をナレーションにして、全てセザールの視点で撮られているんだけど、どれもこれもシニカルでユーモアたっぷりに、でも子供を理解しようとしない大人達へ警鐘を鳴らし続けている。
そうは言っても所詮は10歳の子供。普段はクールでクレバーな親友モルガンが雷が怖くて泣き出したり、楽しみにしてたエロビデオも途中で眠りこけたりするエピソード等は実に微笑ましくて、この年齢の少年の大人的な部分と精神的に未熟な部分のアンバアランスさを実に巧みに見せてくれます。 いや・・でも女の子はやっぱり精神的に成長するのが明らかに男よりも早いね。サラが「アタシを喜ばせてくれる人〜♪」と言ってセザール達にコーラを買いに行かせようとするくだりなんて、「おぉ〜!」と唸ってしまいましたわ(笑)
話は前半がセザールが出張した父親を「刑務所に入ってしまった」と勘違いして大騒ぎになるエピソードが中心、そして後半は親友モルガンの父親を探してロンドンに行く小さな冒険がメインという2段オチになってます。
ぶっちゃけ言ってかなり中途半端(つーか強引)に話をまとめちゃってて、結局父親と共同経営者とのトラブルは何だったのか?ネタが放り出しっぱなしだし、ロンドン珍道中も結局都合よく現れた親切なおばはんの仕切りで物事がビシバシ進んじゃって「あれれ?」の連続なんですが(苦笑)、この映画で主張したい事がこれら部分じゃないという事はどんなアホでも判るので、それほど気にはならなかったです。
この作品に登場する大人達に、偏狭な悪人はいない(ロンドンの公園に出てきたヤツは別な) パパはセザールの叫びを受け入れ反省して、仕事の事やお金の事もきちんと子供に説明するようになるし、モルガンの父親は突然現れた我が子を受け入れて、子供達に「キミ達のお兄さんだよ」と優しく語り掛ける。 サラの父親は相変わらずのハイテンションで彼女を苦笑させるものの、そこには子供への溢れる愛が見え隠れする。
子供の声にきちんと耳を傾ける事、そして子供に愛を持って対峙する事の大切さを決して説教臭くなく、笑いの要素をふんだんに取り込んで表現している秀作だと思いますネ。 今作は文部科学省選定作品だそーですが、かなりキワドイシーンありますヨ。国も随分柔軟になったんでしょうか(笑)
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