監督:マイケル・ムーア 出演:ジョージ・ブッシュ マイケル・ムーア、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 疑惑のフロリダ地区選挙戦を封じ込めて第43代アメリカ合衆国大統領になったジョージ・ブッシュ。9月11日のあの忌まわしい同時多発テロが起こった時、彼は視察先の小学校で一報を聞いた後7分間もまんじりともせず椅子に座って子供達と絵本を読んでいた。父の代からサウジの富豪ラディン一族と密接な関係を結んでいたブッシュは、ラディン一族の厄介者・オサマが引き起こしたこのテロを、何の関係もないイラクに強引に結び付けてイラクに「侵略戦争」を仕掛けたのだ!
【感想】 この映画知らない人って世界中にいないでしょ?第57回カンヌ国際映画祭でパルムドール、国際批評家連盟賞をダブル受賞して、映画祭では上映後に25分間もスタンディング・オベーションが止まらなかったという「ブッシュ大嫌い監督」マイケル・ムーア氏の渾身のドキュメンタリー!
ってね、 まず言わせてもらうけど、この映画はドキュメンタリーとは言えないでしょう。 今まで色んなマスメディアが流して来たニュース映像の都合のいい部分を繋ぎ合せて、それにムーア氏が超偏見に満ちたナレーションを被せて皮肉ってるだけですから。 多少自分で取材してる映像出てくるけど、借り物の映像繋ぎ合わせて「ドキュメンタリー」だって名乗っちゃったら、それこそ「2ちゃん」で散々出回ってる「コラージュしまくりフラッシュ」なんて、全部「ドキュメンタリー」としてカンヌやアカデミー賞でノミネートされちゃうヨ(笑)
ぴよは常々アメリカのやり方には批判的でして。 ブッシュの言い分も「はぁ?何言ってんだこのおっさん」だし、イラク侵略(敢えて侵略と呼ばせてもらおう)も、自由の為とか何とか耳障りのいいお題目並べてるけど、実際の所イラクの石油利権欲しさと復興産業・軍需産業の甘い汁を吸おうという凶行だとしか評価してないし。
それにしても、この映画はイケてないと思うよ。 まずからして「結局ムーアは何がしたい訳?何が言いたかった訳?」って思ったんすけどね。 ブッシュを叩きたいだけ?だったら貧困ゆえ志願兵にならざるを得ない状況というのはブッシュ一人のせいじゃなくて、この国が抱えるもっと根深い問題がある訳で、話ズレてると思うんだよね。
映画冒頭でゴアvsブッシュの疑惑のフロリダ選挙戦の顛末を延々と流したり、テロ対策を何も取っていなかった事をバッシングしてるけど、これって見方を変えるとまるで「ゴアが大統領になっていればあのテロは起こらなかった」と言いたい? んな訳ないとぴよは思うんだけどねぇ。ゴアが大統領になってたとしてもあのテロはやっぱり起こってたと思うよ。もっと言えば、ゴアが大統領になってたとしても結果は報復戦争してたと思うよ。サウジじゃなくてイラクにね(笑)
石油利権の甘い汁を吸ってるのはブッシュ個人だけじゃない。 「アメリカ合衆国」という国自体が石油利権を制したくて、もっと簡単に言っちゃえば「イラク」という石油大国を我が物にしたくて、ブッシュが大統領になるもっと前から長年手をこまねいている状況だったんだし、サウジと戦争やらかすよーな危険を冒す事は、アメリカ国民の誰もが望んでいないというのは周知の事実でしょ。 (ま、この考え方も相当ぴよの偏見入ってるでしょうけど。でもムーアも偏見まみれだからいい勝負よネ?) それを全てブッシュに被せるのはお門違いというもんだと思うんだよね。単なるコジツケにしか見えないよ。
長年のアメリカの膿を全てブッシュ一人のせいにしちゃうから、映画として意味不明になっちゃうと思うのよネ。 ブッシュに対する個人攻撃とブッシュだけに留まらない「アメリカ合衆国という国が長年抱える問題」をごっちゃにしちゃってる、と言うよりも敢えてアメリカ自身の問題をブッシュ一人のせいだと観客に錯覚させようと作為的に構成しているのが非常に鼻に付いて・・・結果的に「何が言いたいんだかわかんない」作品になっちゃってると思うのよ。
これじゃー「2ちゃん」のフラッシュの方がよっぽど筋通ってて面白いよ(苦笑)
確かにブッシュはとんでもねーヤツだ(笑) それを面白おかしく見せてくれた作りは評価出来るけど、ドキュメンタリーとしての主張は軸がズレていて全くとんちんかんな話になってると思うし、この作りでは逆に「ここまでブッシュのせいにしちゃうのはちょっとねぇ〜」という「ブッシュ同情票」を集めかねない。ともするとブッシュの支持率をこの映画によって上げる危険すらある(^-^;
ムーアさん、国を憂う気持ちはよーく判りますが、この映画の作りでは逆効果だよ。 この映画でブッシュが同情票集めて再選されちゃったらどーするよ?(爆)
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