ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年08月11日(水) 誰も知らない

監督:是枝裕和
出演:柳楽優弥
    北浦愛
    YOU、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
とある都内のアパートに越してきた母と4人の子供達。この子供達は全員父親が違う上に誰も戸籍がなかった。学校にも通わず家から一歩も出る事を許されない子供達の世話は、唯一外出を許された長男・明の仕事だった。
ある日、母親がわずかな金と明に宛てた「妹達をよろしく」と書いた手紙を残し、子供達を置き去りにして交際中の男の所に去って行ってしまった。初めの内はいつか母親が帰って来てくれるだろう待ち続けた兄弟だったが、ついに金も底をついて電気も水道も止められてしまったのだ・・・


【感想】
主人公・明を演じた柳楽優弥君が、カンヌ国際映画祭で史上最年少の最優秀男優賞を受賞して話題になった作品。
話のモチーフは1988年に東京・巣鴨で実際に起こった「子供置き去り事件」ですが、本作は4人兄弟が母親に置き去りにされて子供達だけで生活を始めるという部分だけを取り入れ、その背景や心理状態や概要等は全くの創作のようです。

ぴよには子供がいませんので、この映画に登場する母親の気持ちは正直言って判らないです。
加えて言えばぴよは家庭環境に問題がなく、親に置き去りにされた事も当然ですがありませんので、この4人の兄弟の気持ちも実際のトコロは理解出来ていないと思います。
そんな「どこにでもいるフツーの人」の内の1人の感想だと思って下さいよ(前置き長いか?苦笑)

とにかく「寒い話」なんですよ。

この作品、監督さんのインタビュー等もマスメディアで随分紹介されているので、「決して母親を悪者にしていない」「母親はしっかりと子供達に愛情を注ぎ、親子関係は決して悪いものではなかった」というアプローチがされているというのは、誰もが知っているでしょう。

でもね、
いくら親子関係が悪いものでなかったにしろ、やっぱり子供を置き去りにする母親は最低だとぴよは断を下す。
きっとこの作品を見た多くの人は「非嫡出子に対する世間の偏見が悪い。母親には同情の余地がある」とか、「褒められた行動ではないけれど、母親の子に対する愛情は本物だったし、子供達もそれを感じ取っているのがよく判る」とか言うんだろうなぁ〜(きっと製作者サイドもこの部分を強調したいんだろうなぁ)と思いますよ。

しかしながら、映画中に「お母さんは帰って来たの?」と聞かれて「もう戻って来ないよ。たぶん」と吐き捨てるように答えた時に明が見せた、あの恐ろしく暗い瞳にぴよは鳥肌が立ったよ。
母親の愛情だけを信じて待ち続けて、そしてそれが裏切られたと悟った子供の悲しさ。
どうして「母親には同情の余地がある」だとか「子供への溢れる愛情が見える」と言えるだろうか。
金だけ渡して子供を置き去りにした時点で、どんなにこの母親に美点や言い分があろうが、ぴよはやっぱり「親として根本的な部分が欠落した、ワガママでエゴイストでダメな母親」という評価にしかならなかった。
後の子供達の悲劇を見るにつけ、その思いは益々つのりましたね。

「明」を演じた柳楽クン、物凄く眼力のある役者さんです。
今回とてつもない賞を取ったのでどうしても色眼鏡で見てしまいますが、正直言って演技は素人臭い(^-^;
ただ、彼にはその演技のなさ(をい)を補って余りあるオーラを放っていましたねぇ。今後が楽しみですワ♪

で、延々と子供達の生活の様子を流して行くだけなので結構ダレる展開なんですよ(笑)
子供達の心境の変化をすごくゆっくりと見せて行くので、言い方を変えれば「とても丁寧な描写」なんですが、どうせ事実からはかなりかけ離れた脚本なんだろうから、ここはもっとメリハリのあるエピソードを繋いでもよかったんじゃないか?とも思ったんですけどね。

社会が悪いのか、母親個人が悪いのか、母親の上を通り過ぎて逃げて行った男達が悪いのか。
それとも誰も悪くなくて「これは運命だ」と言うのか。
正直言って製作者サイドが伝えたい「作品からのメッセージ」というのがぴよには判らなかった。

映画を見終わっても希望も何も感じられなく、ただただ「寒い」としか思えなかった。
でも「寒い」と思っただけでも、考えさせられるだけのモノをこの作品から受け取ったって事なのかな?






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