ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年05月21日(金) 女王ファナ

監督:ヴィセンテ・アランダ
出演:ピラール・ロペス・デ・アジャラ
    ダニエレ・リオッティ
    マニュエラ・アーキュリ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
時は大航海時代の15世紀後半、スペインを統一した女王イザベルの秘蔵っ子ファナは、ハプスブルク家のフェリペ王子の元に政略結婚で嫁ぐ事となった。政略結婚だったものの一目でフェリペに身も焦がれる程愛してしまったファナは次々と世継ぎを身篭るものの、政略結婚と割り切っているフェリペは次々と浮気を重ねるようになる。
そんな折にイザベルが死去してしまい、彼女の遺言で王位後継者は夫ではなくファナが継ぐ事となったのだ。王位継承権を巡りファナを「狂女」として幽閉して、政権を我が物にしようと画策する者が溢れ出し・・・


【感想】
今もプラド美術館にその姿を残す、実在した悲劇のスペイン女王・ファナの半生を描く一作。
主演のピラール・ロペス・デ・アジャラは本国スペインでは人気女優だそうですが、本作が映画初出演だそーです。んでもって初出演にしてゴヤ賞、サンセバスティアン映画祭の主演女優賞の二冠をいきなりゲットしたという驚異的な一作!

歴史的に簡単に言えば、強大なスペイン時代に政略結婚でハプスブルク家に嫁いだファナという女王が、発狂したために国政を統治出来なくなってしまい、困った王家はファナを幽閉して政権を奪った・・・という事なんですが、本作ではファナが狂気に落ちたのは夫を愛するが故の嫉妬心だったんだヨ、という事になってます。
もっと言えばファナは発狂した訳ではなく、夫の浮気に嫉妬している様子を見た政権を手中に収めたい面々が、彼女は発狂しているとうそぶいて陥れたんだ・・・という描き方になっています。

そういう描き方をしてるんだろーなー・・・とは思ったものの、彼女の嫉妬する様子を見る限り、どー見たって発狂しているとしか思えないと思ったのはぴよだけではあるまいて。(^-^;

ファナは確かに自分の愛を受け入れてもらえなかった可哀想な女性だったのかもしれない。
しかしながら、ぴよは本作を見ながら終始ファナの夫・フェリペ王子に「そりゃ、アンタも他の女に逃げたくもなるだろ」と、同情しずにはいられなかったんですけどね。(笑)

恋愛には温度差が付き纏う。
自分が思う程、必ずしも相手も思ってくれる訳ではないし、自分が思えば思う程、相手の「恋愛温度」が下がって行くというのは「世の常」と言ってもいいでしょう。
ファナという女性は余りに純粋に愛し過ぎて、その「温度差」を見極める事が出来なかったんじゃないかと。
それでも懸命にフェリペ王子の嫉妬心を煽ろうと努力するものの、そのやり方は余りに他人への配慮を欠いていたし、自分が市井の貧しい女とは立場が違うという事を認識していなかったんだろうと。

恋愛の力関係において、追われる側の立場の人間が見ればきっと「ファナはおいらの目から見ても絶対に狂ってるって」と思うでしょうし、逆に追いかける立場の人間が見れば「ファナ可哀想!こんなに一生懸命愛してるのに、どーしてフェリペ王子は判ってくれないの!」と思うでしょうし・・・

ぴよはどちらかと言えば「ファナ、おまへは明らかに狂ってるから」と説教垂れたい方でしたが、少なくともぴよにはこの映画に登場してくる(事実はどうだか今となっては判りませんからね)ファナの「愛」の姿に、少なからずも羨望の眼差しを背ける事は出来ませんでしたね。

相手が死しても尚、一生愛する事が出来るような相手に巡りあえたファナが羨ましくも思えましたよ。






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