監督:メル・ギブソン 出演:ジム・カヴィーゼル モニカ・ベルッチ マヤ・モルゲンステルン、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 最後の晩餐を終えたイエス・キリストはゲツセマネの園に祈りにやって来た。そこへユダの裏切りによって差し向けられた大司祭カイアファの兵士がやって来てイエスを捕らえたのだ。彼らの法律ではイエスを処刑出来ない大司祭達は、ローマ帝国の総督ピラトにイエスの身を委ねて処刑を迫った。 ピラトは「釈放するも十字架刑に掛けるも私次第だ」とイエスに告げるものの、荒れ狂う群集に呑まれて致し方なくイエスを十字架に掛ける決断を下すのだった・・・
【感想】 世界1のベストセラーであり、今後もその記録は破られないどころか更新し続けるであろう書物「聖書」の、新約聖書部分・イエスキリストがゴルゴダの丘で十字架に掛かり、復活するまでを淡々と描き出す大作。 製作・監督はハリウッドで最も敬虔なクリスチャンだろうと誰もが認めるメル・ギブソン。
彼はこの映画制作の為に2500万ドルという私財を投入。セリフも史実にのっとりラテン語とアラム語を使用し、アメリカでは字幕作品はウケないという常識に真っ向から挑み全編英語字幕使用という大博打に出て、更に字幕のハンデもモノともせずに全米で驚異的ヒットを続けるオマケ付きの一作! ・・・ですが、日本では今日公開だったんだけどそれ程派手に宣伝してなかったよーな気がするんすけどねぇ(^-^;
キリスト教徒じゃなくても、イエス・キリストが十字架で処刑されて3日後に蘇ったという話くらいは知ってるでしょう。 過去にもこのネタでは数多くの映画が製作されていますし、今更どーしてイエス・キリスト?って気がしなくもないんですが、この手のネタは世界が混乱して来ると定期的に世に出てくるモノなんだろーなと。
ぴよは特に信仰している宗教はありませんが、子供の頃友達に誘われて数年間プロテスタント教会に通っていたので、聖書のお話は多少知ってるかな?程度の知識は持っています。 で、これは聖書を読んだ事がある人・ない人、キリスト教徒・非教徒で随分評価が分かれる作品なんだろーなー、と思いながら見たんだけど、少なくともぴよが子供の頃聖書を読んだ時に頭に思い描いていた絵と、今作品の映像には多少のズレはありましたね・・・ま、これはそれぞれの宗教観だったり聖書の読み方だったり思い入れがあると思うので、この作品はメル・ギブソンが個人的に持ってる宗教観を見せているという事なんだろうと思いますが。
でもネ、ぴよがずっと思い描いて来た絵では、ペテロが3度目に「私はイエス・キリストを知らない」と言った直後に一番鶏が鳴くんです!それを聞いたペテロがハッと我に帰ってイエスの予言を思い出して慟哭するんですぅー!! それに、空が闇に覆われるのは、イエスが死んだ瞬間からで、イエスが死ぬ前からじゃないんだもーん!! ・・・って、作品の内容とはどーでもいい事で熱くなってみたりして(苦笑)
とにかく全編これでもかぁー!とイエスが迫害と虐待の限りを尽くされて(これがまたリアルな絵でキモ過ぎ)、イエスが殉教するまでに所々で彼が生前弟子たちに説いた話が差し込まれるんですが、はっきり言って聖書を読んだ事のない人に「私は良い羊飼いだ」って言われても何の事やらさっぱりわからないでしょう?パンがイエスの肉体、葡萄酒がイエスの血を表しているというのも、キリスト教徒じゃない日本人には難しい説話だと思うし。
そーなっちゃうと、キリスト教徒じゃない市井の皆様が見たら「ただただグログロ映像」と「感じ悪いユダヤ人」しか記憶に残らなくなってしまう訳ですわ。何しろ殺されるのは世界のスーパーヒーローですしねぇ(笑)
メル・ギブソン氏はこの作品について「ユダヤ人を非難することではなく、云々・・」と語っているそーですが、こりゃどー見たってイエスを十字架に掛けたユダヤ人を非難しまくってるとしか思えないんだけどなぁ〜 それくらい、イエスが虐待を受けるシーンは凄惨極まりなく、見てて胸がムカムカするくらいだったっすわ。
主人公がイエス・キリストだから「歴史モノの亜種」ってカテゴリになるんだろーけど、少なくともぴよが見た限りでは「相当リアルを追求したホラー」っていう感じでしたわ・・・あー、吐きそう(苦笑)
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