監督:アンソニー・ミンゲラ 出演:ジュード・ロウ ニコール・キッドマン レニー・ゼルウィガー、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 南北戦争末期の1864年ヴァージニア州ピーターズバーグ、北軍との戦いで瀕死の重症を負ったインマンは、3年前にたった1度だけ口づけを交わしたまま離れ離れになった恋人・エイダへの愛にのみ命を捧げる事を決心し、脱走兵となって1人500Km離れた故郷のコールドマウンテンに向けて歩き出した。 一方、故郷でインマンの帰りを待つエイダも苦汁を舐めていた。支えだった父親が亡くなり、お嬢様育ちのエイダは生き延びる術を知らなかったのだ。そんなある日、エイダの元に流れ者の娘・ルビーが現れた。
【感想】 1997年に出版されるやNYタイムズ紙のベストセラー・リストに45週ランクインし、栄えある全米図書賞のフィクション部門を受賞したチャールズ・フレイヤー著の同名小説の完全映画化。 物語はフィクションだけど、主人公インマンのモデルはチャールズ氏の大々叔父なのだそーだ。氏の大々叔父は、実際にヴァージニアの病院からノースカロライナ州の自宅まで、480Kmの道程を歩いて帰ったんだそうです。
映画の舞台は南北戦争時代だけど、決して戦争映画ではないです。映画冒頭に迫力ある戦闘シーンがありますが、話の中心は脱走兵となった男の苦難と、男を待ちながら逞しく成長していくお嬢様の愛、そしてそれを取り巻く人間関係と環境と時代という「南北戦争という魔物に翻弄された市井の皆様」というネタです。 たまたま先日見た「ブラザーフッド」と、アプローチは随分違うもののテーマは被る部分が多いです。
要するに「反戦映画」なんですよね、コレ。 人の心を突き動かすのは「大義」ではない。「愛」のみに人は命を捧げられるのだ、と。
時代を見せるだけでは話が薄っぺらくなってしまいますが、主人公が脱走兵になって色んなイベントをこなす事、更にエイダという女性の成長物語を交互に見せる事で、目先が変わってドラマ性に富んだ物語に仕上がってます。 上映時間が2時間30分超えとかなりの長丁場ですが、ぴよは見ててダレたり飽きたりしませんでしたね。
時代考証もしっかりしているし、非常に丁寧にしっかりと作られた作品だという印象は誰もが持つでしょう。 役者の演技も申し分ない。レニーちゃんは今作でようやく念願のオスカーを手にしましたが、さもありなんの熱演ぶりです。ニコールはエイダという役をやるには少々トウが立ち過ぎてる感は否めませんが、それを補って余りある相変わらずのまばゆいばかりのお美しさ♪彼女の衣装もめっちゃ可愛いよぉ〜ん! ジュード・ロウの男っぷりも見モノです。「A.I.」で怪しい男娼ロボットを演じてた時は「コイツの顔は出来過ぎだな」と思ったぴよですが、今回かなりコ汚い様子でご登場のジュード君、ワイルド路線もかなりイケてます♪
大作系の匂いプンプンでしてネ、すっごいオーソドックスな作りしてるんです。 先の展開もミエミエで、これと言って驚かされるよーなヒネリもありませんから安心して見れると言えばそーですが、何と言うか・・・壮大な抒情詩を見させてもらったという満足感はあるものの、映画のどのキャラクターにも自分を投影出来なかったって言うのかな?作品に置いてきぼりを食らって、感動するツボが掴めなかったという感じがしたんですが(^-^;
そもそも「恋愛映画」としての部分が弱過ぎなんですよネ。 「汝、姦淫するなかれ」という十戒の言葉、今の時代の人間が聞いても何のこっちゃ?って感じでしょ。 そんな現代人に「3年前にたった1度キスした相手」に命捧げるって言われたって、ピンと来る訳ありませんわ(苦笑)
とは言え、作りはしっかりしてますし映像も手が込んでて素晴らしい出来栄えになってます。 大スクリーンで見る価値は充分アリですネ。「いい作品」だとは思いましたもの。
|