監督:ポン・ジュノ 出演:ソン・ガンホ キム・サンギョン パク・ヘイル、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 1986年、韓国・ソウル郊外の農村で連続猟奇殺人事件が発生。地元刑事パクらが捜査に当たるものの、目撃者もなく物的証拠もほとんどない事件故、容疑者ばかりが増えて行く状態だった。ソウルから応援に来たソ刑事の「頭脳プレイ」も気に入らないパクらは、証拠を捏造してまで無理矢理犯人を作り上げようとまでする。 ようやく犯行の手掛かりを得て、最重要容疑者ヒョンギュを取り調べたパクらだったが・・・
【感想】 韓国で実際に1986年〜1991年の6年間に10人の女性が犠牲になった連続猟奇殺人事件を元に、刑事達の苦悩・苦労、そして犯人逮捕にかける執念を、当時の時代背景を織り交ぜながら見せる一作。 ちなみにこの事件は未だに犯人は逮捕されておらず、10件中既に8件は時効になっているそーです。
事件背景の見せ方が非常にリアルだなぁ〜と思っていたら、どうやら実際の事件の背景をほとんどそのまま映画でも採用しているらしいです。それにしても犯行の手口や事件の関連性など、まるで小説か映画のような緻密でドラマティックな設定なんですわー。実際の犯人は映画マニアなのか?(笑) 肝心のラジオ番組のリクエストのくだりは創作らしいですが、この創作エピソードは実に面白いし、この事件の猟奇性をより観客にアピールする役割をしっかりと果たしていたと思う。
かつての日本もそうだったけど、韓国でも数年前までは早期事件解決に焦る余り、日常的に取り調べでの拷問や証拠の捏造、自白の強要があったそうです。 ここらのプロセスや描き込みも非常に緻密で見ててかなり感じ悪いんですが(苦笑)、それを地元刑事とソウルから派遣されたインテリ刑事との軋轢や、何とかして事件を解決したい・地元刑事の手で犯人を逮捕したいという熱意と執念を見せる材料として、上手に料理していたと思いますわ。
韓国映画お得意の「シリアスなネタを見せながら時々ププッと笑わせる」小細工はきちんと生きてますし、とっ散らかりそうな様々なネタをクライマックスに上手に引き継いでまとめ上げている辺り、なかなか技アリの脚本です。
ただ、上映時間が2時間超えってのは、やっぱりちと長過ぎる気はしたねぇ。 もう少し枝のエピソードをタイトにしても、作品の質に影響はなかったんじゃないか?って気はしましたわね。例えばパクの相棒が破傷風になるくだり、ここらは全部ばっさり切っちゃっても問題なかったんじゃないかと思うっすよ。
役者の熱演が観客にひしひしと伝わる、非常に骨太な男のドラマになっていますが・・・ 実際の事件が未解決なので仕方ありませんが、どうにもスッキリしない終わり方で、見終わってから「かー!だから犯人は誰なんだよぅっ!」という、超・消化不良状態でモヤモヤしまくりです。
と、思ったのはぴよだけじゃなかったよーで、 映画を見た韓国の皆さんが、「この事件の再捜査しろ!」という運動を起こしているそーですヨ(笑)
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