監督:崔 洋一 出演:小林 薫 椎名桔平 香川照之、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 わき腹に鳥が羽根を広げたようなブチのあるラブラドールのクイールは、元々血統が良くなく盲導犬訓練も他の犬達に取り残されて行く中、訓練士の多和田がクイールの特別な才能に気付いた事でどんどん開花して行った。 クイールのパートナーになったのは、盲導犬を断固拒否していた頑固者の渡辺という男だった。始めの内はなかなか息の合わなかった渡辺とクイールだが、ある事がきっかけで心を寄せ合い、分かち難い関係になったのだが・・・
【感想】 実話を元に作られたベストセラー絵本「盲導犬クイールの一生」(文藝春秋・刊)の映画化。 今どんな書店に行っても1番目抜きの棚に山積みに置いてあるので、タイトルくらいは見た事があるでしょう。ぴよも本好きでしょっちゅう本屋に足を運ぶのでイヤと言う程本の表紙は見てます。・・・表紙だけネ(笑)
実話が元なので、クイールが生まれてから死ぬまでを淡々と見せて行くだけなのですが、動物好きでこの映画見て泣けない人はまずいないでしょう。 ぴよなんて、ひとまずパピーウォーカーの元をクイールが去るシーンで泣いちゃったもんねっ!
動物モノの映画を見ると、画面を見ながらボケ老人のように1人でブツブツつぶやいてしまうのは何故だろう?(笑) 愛くるしい子犬がよろよろと歩けば「あらあら、危ないわねぇ〜」、無邪気に遊べば「まあまあ、可愛いわねぇ〜」、パートナーを思って心配そうな顔をすれば「まぁ、なんていい子なんでしょう!」・・・ぴよってマジでボケた?(^_^;) でも、この映画は犬の撮り方がウマいですよ。人間が見て1番いとおしいと思える動物の表情を的確に捕らえてる。 きっと相当苦労して撮影されたんだろうと思います。そして苦労が報われて大成功していると思うわ♪
ですが、ぴよには肝心の渡辺とクイールのエピソードが少し物足らない感じがしたんですよね。 最初はぎこちなかった関係が次第に心を通わせ、そして渡辺にとってクイールはなくてはならない存在になって行く・・・ここらがちょっと薄いような気がするんだな。 子供とのエピソードや、渡辺が入院中の出来事等は思い切って全部端折っちゃって、盲導犬になってから以降のネタは渡辺とクイールの関係1本にエピソードを絞ってもよかったんじゃないかな?とも思えたんですけど。
映画全編を通して「クイールの一生」という、犬だけに焦点を合わせてしまったが為に、観客の感動のツボから少しだけズレてしまっている感は否めないです。
可愛いワンコちゃんを見れば動物好きなら誰だって目を細めるし、犬が天寿をまっとうするシーンになれば誰だって涙が自然に出て来るものです。でもクイールという盲導犬がここまで広く世間に知れ渡る事になったきっかけは、やっぱり渡辺という一癖も二癖もあるパートナーとめぐり合い、そして彼の心の支えになったからだと思うんだよね。 小林薫氏が盲目役という難しい役ドコロを非常に好演しているだけに、彼の存在感の薄さが悔やまるわっ!
でも、誰でも1度は目にした事はあるものの、あまり知られていない盲導犬の実態や盲導犬になるためのプロセス、そしてパートナーと盲導犬の関係、更には健常者には思いも寄らない社会の中における障害者のハンディキャップ等を知る上で、非常に勉強になる作品だと思います。
この映画、無料で全国の学校で上映会開いた方がいいよ。 下らない事に税金使ってないで、国はこういう「人の為になる映画」に資金援助して欲しいっすな。
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