2004年02月11日(水) |
女はみんな生きている |
監督:コリーヌ・セロー 出演:カトリーヌ・フロ ラシダ・ブラクニ ヴァンサン・ランドン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 平凡な主婦エレーヌ。大学に通う息子は一人暮らしをして放蕩三昧、夫のポールは会社経営に忙しく無関心な夫婦関係。まるで家政婦扱いの日々だったが何の疑問も持たずに生きて来た。 ある日夫の友人宅に向かっている途中、エレーヌ夫婦の乗った車に娼婦らしき女が何者かに追われて助けを求めて来た。ドアロックして無視する夫。目の前で女が暴行されるのをなすすべもなく見過ごしたエレーヌは、気が咎めて翌日女を探して病院を訪れたのだが・・・
【感想】 「赤ちゃんに乾杯!」で一躍有名になった女流監督コリーヌ・セローの最新作。 本国フランスでは130万人以上の観客動員数を記録し、半年以上のロングラン公開になった大ヒット作。 平凡な妻がひょんなきっかけで組織に追われる娼婦に出会い、今までの人生観がガラリと変わり、それまで散々虐げられて来た夫と子供を放り出して新しい世界に飛び立つ!という痛快コメディ。
この映画に登場する男達は、どいつもこいつもどうしようもなく女に依存した、しかもプライドだけは一人前の「最も女に忌み嫌われるタイプ」の代表的パターンを網羅している。 エレーヌの夫も子供もサイテー野郎だし、エレーヌが出会った娼婦「ノエミ」の父親や兄弟達もクソ野郎揃い。 映画観てて「さすがにここまでヒドい男ってちょっといないでしょ」と、思わず男の弁護がしたくなる程の悲惨さでしたが、この映画のテンションを考えればこれくらいキワモノ揃いの方が、女性がより楽しめるのかもしれません。
要は、「今まで虐げられて来た女達の逆襲」が主題なんですけどね、これが結構笑えちゃいます。 この映画にはエレーヌと娼婦ノエミ、そしてもう1人エレーヌの姑(ポールの母)が登場するんだけど、この姑が何ともいい味出してます。
エレーヌが病院からノエミを連れ出して姑の家にかくまうんだけど、姑は今まで息子に散々無視され続けて来て淋しい思いをしていたのが、エレーヌがノエミ連れて来た事ですっごく嬉しそうに嬉々として世話をするのね・・・ このシーンはかなりぴよはお気に入りです。 この姑は、全世界の女性の心の訴えを凝縮するような存在のような気がするのね。エレーヌの苦悩もノエミの苦悩も、全部ひっくるめて歳食っちゃったのがこの姑って感じがしたんだよね。 その彼女が嬉しそうにしている姿を見るだけでも、ぴよは癒されましたねぇ〜
散々男に虐げられ続けた女達は男共をギャフンと言わせ、男達はどいつもこいつも女の報復に遭って行く。
確かに女性の目から見れば痛快ですが、ぴよは何か淋しい気持ちになっちゃったんだよな。 だって、地球上には男と女しかいないんだよ?(オカマとオナベの存在はこの際横に置いて、性別として考えてネ) 男と女が愛し合わなければ子供も出来ないし、慈しみ合って生きて行かなければ余りに淋し過ぎると思いませんか?
映画のラストシーンで、女達が海辺のベンチに腰掛けているんだけど・・・ エレーヌもノエミもノエミの妹も、何か淋しそうな表情に見えたんだよな。 唯一満足そうな微笑みの表情を浮かべる姑が、この映画の言わんとしている事を代表しているんだろうけど、それでもやっぱり全く男性を廃絶した状態って、何かいびつなような気がして仕方ないんだよなぁ・・・
逆に、「この世には男と女しかいないんだから、世の男性諸氏はもうちょっと女性を慈しんで下さいナ」というメッセージだと受け取れば(この映画を見た男性がネ)、辛らつながらもかなり気の利いた映画だと思うんだけど。
この映画を見た男性の感想が是非聞いてみたいですね。
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