2004年02月09日(月) |
10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス |
監督:アキ・カウリスマキ 「結婚は10分で決める」 ビクトル・エリセ 「ライフライン」 ヴェルナー・ヘルツォーク 「失われた一万年」 ジム・ジャームッシュ 「女優のブレイクタイム」 ヴィム・ヴェンダース 「トローナからの12マイル」 スパイク・リー 「ゴアVSブッシュ」 チェン・カイコー 「夢幻百花」 ※オムニバス作品により、出演のクレジットはなし オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 世界の巨匠と呼ばれた15人の監督達が、10分間という制限時間と決められた予算を使って短編フィルムを製作し、2つのコンピレーションフィルムに仕上げた内の1本。 誰の人生にも訪れるある瞬間―結婚、誕生、進化、孤独、死、運、郷愁―を7人の巨匠達が色鮮やかに描き出す。
【感想】 カンヌ国際映画祭27回、ヴェネチア国際映画祭11回、ベルリン国際映画祭12回、アカデミー賞10回、全60冠!・・・ってコピーには思わず笑っちゃったけど、これはこの作品に参加した監督達が受賞した数の総合計です。
オムニバス形式の作品は既に数多く作られてますが、それが「10分間」という短い時間で・・・というとなかなかない。 かつて日本でも「刑事まつり」という10分間という制約付オムニバス映画が作られましたが(ぴよは未見)、それのもっとスケールのデカいヤツだと考えればいいのか?・・・たぶん全然違うな。(笑)
この手の作品は、観て「超面白かった!」という感想にはなりにくいし、逆に「すげーつまんねー」という感想にもなりにくい。お好みの話もあればまるで琴線に触れない作品もあって当たり前だもんね。
ただ、観ていて意外に思ったのは「10分間って、短いようでいて結構長いな」という事。 たった10分で何が出来る?と、正直半信半疑の気持ちで観に行ったんだけど、それぞれの監督が工夫を凝らして、たったの10分間で色とりどりのドラマを見せてくれる。10分間でも人に訴えかけるモノを見せる事というのは充分に可能なのだというのを、この映画は教えてくれる。
観てる時は「なんじゃ、こりゃ」と思ってたんだけど、時間が経ってみると何やら面白いなぁ・・・と思ったのはアキ・カウリスマキの「結婚は10分で決める」 いきなりプロポーズして、それに女がアッサリOKして、しかもいきなりそのまま行った事もない場所に移住するって、そりゃあんまりだろーよ!と思ったんだけど、きっとこの男と女の間には10分では語り尽くせない(1日かけても語り尽くせない)様々な紆余曲折があったんだろうなぁ・・・と後で色々想像させてくれて、何だか妙に後を引く話だったな。
ストレートにムダを省いて観客に訴えかけて来るのは、ヴェルナー・ヘルツォークの「失われた一万年」 ドキュメンタリーの王道的作りだね。これは誰が観ても判り易く、心に訴えかけられる話だと思う。
この作品群の中では異色な作りなんだけど、スパイク・リーの「ゴアVSブッシュ」 「ただインタビューを繋げてるだけぢゃん」って思って観てたけど、いつの間にか彼らの話に引き込まれて行くから不思議なんだよなぁ〜。これはインタビューの繋ぎ方・見せ方が上手かったんだと思うよ。不思議なパワーがあったわ。
お正月に北京に行ったばっかりだったから、チェン・カイコーの「夢幻百花」にはちょっとジーンとした。 今、北京はオリンピックを控えて物凄い勢いで発展し続けている。その中にあって古き良き時代の建物や、低所得者層のコミュニティーがどんどんと開発の波に揉まれて取り壊され、そして打ち捨てられている。 それを目の当たりにして来たぴよにとって、この映画のテーマは非常に切ない気持ちにさせられました。
等々、観た人によって色んな気持ちを引き出してくれるという意味では、オムニバスもたまには楽しめるなぁ、と。 ただ・・・10分で話が切り替わって行くってのは、やっぱり観ててちょっと疲れるね(^_^;)
話の間を繋ぐトランペットの響きが、なかなかいい緩衝材になってたように思います。
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