監督:トラン・アン・ユン 出演:トラン・ヌー・イェン・ケー グエン・ニュー・クイン レ・カイン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 ベトナム・ハノイに住むスオン、カイン、リエンの3姉妹はとても仲良し。母の命日に集まった3人はおしゃべりに花を咲かせながら料理を作る。だが実は3人はそれぞれ人に言えない秘密を抱えていた。長女のスオンは夫に愛人と子供がいる事を知りつつ、自分もまた年下の男性と逢瀬を重ねていた。次女のカインは妊娠した事を姉妹に内緒にしていたが、夫の浮気の証拠を見つけて動揺していた。3女のリエンは学生で、役者の卵の兄と2人暮らし。最近恋人としっくり行かないのが悩みだ。
【感想】 先日「青いパパイヤの香り(2004.1.18の感想参照)」と一緒に借りたベトナム映画。実は時間がなくて結局見ないでそのまま返しちゃったんだけど、とある有識者の方から「夏至は是非見た方がよい」という助言を頂きましたので、再度借り直して鑑賞しましたわ。・・・M様、情報どうもありがとうございました♪ 監督は「青いパパイヤの香り」と同じトラン・アン・ユン、出演しているトラン・ヌー・イェン・ケーは監督の奥方なんだそーだ。彼女は「青い〜」にもガッツリ出演してますけど、ベトナム人は夫唱婦随なんですなぁ。 ま、これだけ美しい嫁さんだったら他の役者を使う気にもなるまい(笑)
話は母の命日から始まり、そして翌月の父の命日まで間の3姉妹の様子をドラマ仕立てで見せている。 映画前半、料理を作りながら語り合う3姉妹の楽しいおしゃべりに、思わず見てるこっちもつい微笑んでしまう。 ぴよには残念ながら姉も妹もいないので(ぴよは兄貴と弟の3人兄弟さ)、大人になって各々独立した姉妹のアケスケな会話というのが実際はどんなものなのか判らないのですが、この映画の姉妹の会話は非常に和やかで面白い! 映画見ながら「ねーちゃんか妹が欲しかったなぁ〜」と切実に思ったわね。
この映画は何がいいって、その映像美でしょう! 映画全体を支配しているのは様々なトーンの緑。目にも鮮やかな森林や草花の緑、壁に塗られた微妙な色合いの緑、黄色がかったカーテンの緑、チャラチャラと涼しい音を立てて光るビーズ暖簾の緑。 それら緑の中に真っ赤な花や目の覚めるような藍色の衣装が実に映えて、どのシーンを見ても1枚の絵画を鑑賞しているような静謐な美しさをたたえています。 カメラワークもコ洒落てましたね。3女のアパートの様子なんて、実物のセットよりもきっとキレイに撮れてると思うよ。
話は母の命日後、3姉妹のそれぞれの秘密がつまびらかになって行くんだけど、はっきり言ってネタはバラバラに展開されたままどれも収束しない(苦笑) オチがない話なので「なんじゃ、そりゃ」って感じなんだけど、何となく雰囲気を楽しませてもらっちゃってるので「まあ、こんなんもアリか?」と納得してしまうという不思議な映画だわ。(はははっ) 強いて言えば、それぞれの秘密を最後に共有する事でハッピーエンド?・・・とまで言ったら強引か(^_^;)
独特の映像美と、BGMや途中歌われる楽曲も非常に情緒的で雰囲気があり、役者の演技も押し付けがましくなく、この作品の少しアンニュイで官能的な様子を大切にしているのが好感持てる一作でしたね。 ベトナム映画・入門編としてオススメしたい1本です♪
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