2004年01月29日(木) |
ニューオーリンズ・トライアル |
監督:ゲイリー・フレダー 出演:ジョン・キューザック ジーン・ハックマン ダスティン・ホフマン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 ニューオーリンズの証券会社にこの会社をリストラされた男が銃を持って乱射、11人の尊い命が奪われた。それから2年後、全米が注目する訴訟が幕を開けようとしていた。銃乱射事件の被害者遺族が原告、そして被告は銃器メーカー。 もしこの訴訟で負ければ、全米で同様の訴訟が沸き起こり巨額の賠償金を支払うハメになるとあって、銃器メーカーはあらゆる手段で陪審員の評決を勝ち取って来た、伝説の凄腕陪審コンサルタントを雇ったのだが・・・
【感想】 『ザ・ファーム/法律事務所』『評決のとき』『依頼人』『ペリカン文書』などで有名な法廷ドラマ系に俄然強いジョン・グリシャムのベストセラー小説『陪審評決』が元ネタになっている一作。 普段だと「○○の映画化」という書き方をしますが、この作品の場合は決して原作の映画化ではなく、原作ではタバコ会社を相手取って訴訟を起こすという設定になっているんだけど、映画では銃器メーカーを相手に訴訟を起こすという事に変えられているので、あくまでも原作は「元ネタ」扱いという訳です。
既に「タバコ会社訴訟」ネタの映画がありますし(インサイダー)、昨年「ボーリング・フォー・コロンバイン」が大ウケしたのも追い風になって、観客によりアピール度が高いであろう・・・という思惑が働いたのかな?と。
この映画は、既存にありがちな「原告vs被告」の丁々発止のやりとりを見せて楽しませるタイプじゃなくて、「陪審員制度」という法廷制度を逆手に取って、陪審員にある時は生活の保障をしてやったり、ある時は脅迫まがいの事をして陪審の評決を有利に働かせるという職業「陪審コンサルタント」の実態と、それを更に逆手に取って陪審コンサルタントを脅迫するという「陪審員サスペンス」仕立てになっている。
日本の法廷には陪審員制度が導入されていないので(その動きはあるようですが)、正直言って陪審員のしくみもよく判っていませんし当然馴染みも薄いので、陪審員が選ばれるしくみも「ほぉ〜・・・そーなってるんすかぁ」って感じだし、陪審コンサルタントという職業があるという事すらぴよは知らなかったんですけどね。
この「陪審コンサルタント」ってーのがスゴイんですわ。 ここはCIA本部か!?と思わせるよーな秘密基地に(秘密基地かよ。笑)、ストーカーまがいの事をして収集した陪審員のありとあらゆるデータを網羅し、ずらりと並んだPCでデータ処理と収集、そして弁護士には骨伝導超小型マイクを付けさせて、モニターで法廷の展開を管理するという徹底ぶり。
もし実際にアメリカでは「陪審コンサルタント」なる職業の人が、このよーな設備で陪審員や弁護士を操っているとしたら・・・そりゃー金のない一般ピープルが大企業を相手取って訴訟を起こしても勝てるわきゃーありませんや!
こういう日本では馴染みのない「陪審員制度」を悪用?した、裏のカラクリを見せてもらうには非常に役立つ映画なんですけど、この映画の失敗は「原作の設定を変えてしまった」という事が1番大きいのではないかと。 タバコ会社が相手の訴訟なら、どっちに転んでもおかしくない(と思うのは喫煙者のぴよだけか?苦笑)展開になるハズなのに、これが被告を銃器メーカーにしてしまうと結果が見えちゃって、サスペンス部分の興味が少々薄れてしまう。
まあそれにしても、出演してる役者は芸達者揃い&配役はドンピシャリにハマってますから楽しませてもらえます。 ジーン・ハックマン久し振りにスクリーンで見たけど、歳取って金の亡者らしいいい顔付きになったよなぁ〜!(こらこら) んでもって、市民の正義の味方弁護士がダスティン・ホフマンってのも、ハマり過ぎてて怖いくらいだったわよ。偶然だけど昨日ダスティン・ホフマンが悪役を演じている映画を見たけど、やっぱり彼は「正義の味方顔」なんだよね。 あの泣きそうな垂れ目が、何とも言えない微妙な微笑みをくれるラストシーンなんて、「ほらぁ〜!やっぱダスティン・ホフマンはこーじゃなくっちゃダメよねぇ〜♪」って、妙に納得しちゃったしさ(笑)
ただね、 これは英語が堪能な方が(もっと言えばアメリカ人が)見なければ面白くない作品だと思うんですよ。 陪審員制度の弱点、そして陪審コンサルタントの脅威・・・これらの「法廷の盲点」を突いた丁々発止を楽しめるのは、その制度が息付いた国に生まれて育った国民だからだと思うんだよね。
エラそーな事書きましたが・・・ 要するにぴよにはコ難しくてちょっと入り込みにくい内容だったな、って事なんですが(笑)
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