2004年01月26日(月) |
シティ・オブ・ゴッド |
監督:フェルナンド・メイレレス 出演:公式HPに出演者のクレジットなし オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 ブラジル・リオデジャネイロ郊外に「神の町(シティ・オブ・ゴッド)」と呼ばれるファヴェーラ(スラム街)がある。 1960年代〜80年代初頭にかけて、この町を牛耳って来た3代に渡る少年ギャング達の歴史と軌跡を、初代少年ギャングの1人マヘクの弟・ブスカベの視点を通し描き出すサバイバル・オデッセイ。
【感想】 パウロ・リンス氏の同名小説の映画化。リオ出身の氏は、実際11歳からファヴェーラ(大都市の貧民街・スラム)に移住し、自分の目でシティ・オブ・ゴッドを見て来た生き証人。今現在も故郷のファヴェーラに住んでいるんだそーだ。
話は、カメラマンを夢見るこの町では至極真っ当な少年・ブスカベ君の独白形式で進んで行く。 ブスカベ君が目にしたシティ・オブ・ゴッドの変遷を、60年代から80年代までそれぞれの時代を牛耳って来た少年達にスポットを当てて、彼らの様子と彼らに絡んだ少年達と、そして「神の町」の様子を時代毎に見せている。
すんごいリアルで、すんごい迫力で、すんごい荒廃して、すんごい殺伐とした話なのに、それを感じさせないと言うか。 映画の作りが非常に手が込んでて・・・例えば画面の色合い1つ取っても非常に作りこまれた映像ですし、カメラワークもBGMのチョイスもスタイリッシュでオシャレなんだよね。まるでラテン音楽のビデオクリップを見てるみたいな軽妙さと言うのか。 変な言い方だけど、相当殺伐としてるハズなのに「オシャレでカッコいい」って思えちゃう。
映画に出演してる少年達が実に活き活きとしてて・・・このボク達、全てスラム街でオーディションしてかき集めた素人お子様達ばかりなんだそーだが、どいつもこいつも全然演技臭さがなくて、「これが素人の演技なのか?これって実は台本がなくて、そのままの生活を撮らせてくれって言われて見せてくれてるん?」と思える程のリアルな様子でした。
それこそオムツ取れたと思ったらもう拳銃握ってマリファナ吸ってる、みたいな状態で。(笑) ちょっと気に入らなかったら殺しちゃうし、ちょっとお金欲しかったら強盗しちゃうし、日本だったらいくら少年犯罪が進んでもさすがにここまでは行かないだろう・・・って感じしますけど、日本の少年犯罪を犯すよーなヤツらと根本的に違うのは「目」かな、と思ったのよね。
神の町に住む少年達の「目」が、キラキラしててすっごくキレイなんだ。 マリファナ売りさばいて、人なんかジャンジャン殺しまくっておいて「目がキレイ」もクソもないって言われるとそーなんだけど、何かとてつもない「生きる力」を感じさせるのよ。 彼らの殺し合いに「ほとばしるエネルギー」と「貪欲なまでの生命力」を感じさせるのよ。
貧困にあえぎ、都市から見放された掃き溜めのような町で育った彼らの「生きる」という事への飽くなき執念と、大金を手にしてこの町の頭を取るんだ!という貪欲なまでの欲望が、あのキラキラした目に繋がるんだとしたら・・・ 今の日本の子供に、「生きる力」は既に蒸発してなくなっているんじゃないだろうか、とすら思ってしまいましたよ。
正直言うと、もっと泥臭い作りにしてもよかったんじゃないかと思う。 今も尚、ファベーラではこの映画程ヒドくないにしろ、似たり寄ったりの状況が続いてるらしいですから・・・ここまでオシャレな作りだと、見た側も軽〜く受け止めちゃうんだよね。(^_^;)
この映画が事実を元にしているのではなく、単なるフィクションだったらこのままでもよかったんですけど。
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