監督:降旗康男 出演:常盤貴子 伊勢谷友介 香川照之、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 1945年8月、ソ連軍の満州侵攻が始まった――その10年前。森田波子は夫と共に満州・牡丹江に渡り、「森田酒造」を満州有数の造り酒屋に育て上げ、栄華を極めていた。3人の子を持ちながらもかつての恋人・大杉との再会に胸ときめかせ、関東軍秘密情報機関の諜報員・氷室に密かに想いを寄せる奔放な女だった。 ところが長男出兵に加え夫の留守中、ソ連軍が満州に攻め込み森田酒造は崩壊。波子は2人の子供を抱え軍用列車にもぐりこむと、夫の行く先である哈爾浜へ向かったのだが・・・
【感想】 なかにし礼氏の同名小説の映画化。 作品は氏の幼少時代と氏のご母堂が歩んだ激動の時代を表現した、私小説的なモノなのだそーだ。
まず、非常に手の込んだ映像に目を奪われる。 あの時代の満州をリアルに表現する為(さもあの時代に撮影されたかのような錯覚に陥らせようという演出か?)、わざとフィルムが劣化したかのように微妙に色のトーンを落として抜いてある。 随所にモノクロ映像も差込みながら、劣化したかのような色合いの中に際出させたいモノの色だけを鮮やかに見せるという趣向を凝らしていて、なかなか面白いと思った。 それは波子の真っ赤なドレスだったり、木立の緑だったり、燦然と輝くヒマワリ畑だったり・・・
また、SARSの影響で撮影が延びてしまい、本来なら昨年5月で廃止される予定だった蒸気機関車を、中国政府に掛け合って9月まで運営延長してもらって撮影されたという事で、汽車のシーンは非常に迫力があった。 壮大な中国大陸。燃えるような夕日が照らし出す枯木立。美しい時代絵巻には、ぴよ高評価です♪
彼女の「生きる」という事に執着するスタンスは理解出来るし、共感も覚えます。 「お上の為に命を捨てる事は美徳だ」と誰もが口にする時代、我が子の出征の際に「どうして我が子を戦地にやるのに万歳なんて出来るか!」と、当たり前の事(でも誰も口に出来ない事)を堂々と叫ぶ波子。 生きていればこその人生だ!と、一貫したスタンスで恥も外聞も捨てて生に執着する生き様。 今の時代なら誰もがそう思っても、この時代にこのスタンスで生きた女性というのはスゴかったと思う。
が。(←ホントにこのパターン、飽きたよネ。苦笑)
「波子」という女が、ぴよには「ただの好色」にしか見えなかった。(いきなりコレだ)
だって、ダンナにお膳立てしてもらって昔の男とチチクリ合って(こらこら) 更に若い美男子見つけて色めき立っちゃって、挙句自分の男でもないのにソイツの恋人(ソ連人)に勝手に嫉妬して「あのソ連人、スパイでっせ!」と密告文を送り付け(そのソ連人の処刑を恋仲の男がするというオチまで付く)
ダンナが死んだと聞かされて間もないのに、かつて仲を引き裂いてやった美男子君(彼は恋人を処刑した事がきっかけでアヘン中毒になっちゃってた。あーあ)を引き取って、子供そっちのけでセックスに興じ(苦笑) エッチしてる所を子供に見られて、子供が落胆して自殺しようとしたら「生きるためには愛し合う人が必要なのよ!」とウソぶく大胆不敵さと言ったら・・・
ラストで伊勢谷クン演じる氷室に「アナタの帰りを待つわ♪これからはそれが私の生きる道よ♪」と、潤んだ目で語る波子を見て思わず「アホか。お前どーせ日本に戻る引揚げ船の中で次の男くわえ込むやろ」と思っちまったぴよですが(爆)
大体からして、常盤貴子ちゃんが波子を演じるのにはムリがあったよーな気がすんだよね。 波子には大学卒業した息子がいるんですぜ?一体波子はいつ第一子を産んだんだ?ヤンママか?(爆) まあ・・年相応に枯れたおばはんだと、伊勢谷クンとロマンスに興じるのにムリがあるって事なのかもしんないけど。 常盤貴子ちゃんはとっても可愛いと思うけど、波子を演じるには若過ぎたような気がするね。
それにしても、伊勢谷クン、カッコいい! 今まで特に興味なかったんだけど、この映画の伊勢谷クンめちゃめちゃカッコ良かった♪
最後に・・・この映画のタイトル「赤い月」の意味が今1つ判らなかった。 「赤い月」という言葉にどういうメッセージが込められているのか、映画では表現し切れてない感じする。 赤い月って、「中国」っていう意味?
中国の国旗って赤に月と星だし・・・そ、それだけな訳ないよねぇ?(^_^;)
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