ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年01月14日(水) イン アメリカ 三つの小さな願いごと

監督:ジム・シェリダン
出演:サマンサ・モートン
    バディ・コンシダイン
    ジャイモン・フンスー、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
アイルランドからNYに移り住んだサリヴァン一家。役者志望のジョニーと妻のサラ、そして愛らしい2人の娘。貧乏な一家はマンハッタンの騒音に満ちたアパートに落ち着いたが、夫婦にはなかなか癒されずに超えられない辛い過去があった。それは2歳の時に階段から落ちて脳腫瘍でなくした息子・フランキーの死。
上の娘クリスティは今は亡き弟・フランキーの言葉を思い出す――「願いごとには願っていいことといけないことがある。そして、願えるのは三つだけ」――


【感想】
「マイ・レフトフット」「父の祈りを」等で知られる名匠ジム・シェリダンの新作。今作もアカデミー賞ノミネート確実との呼び声高い一作ですが・・・公開5日目にして劇場には10人観客がいませんでした。いいのか?こんなんで。(^_^;)

シェリダン監督自身がアイルランドからアメリカに移住している身で、しかも実の弟・フランキー(劇中にも名前を使用)を故国で脳腫瘍で亡くしている。移住後でのアメリカでの驚き、とまどい、新鮮な感動、そして身近な家族との辛い別れ・・・これらの実体験を元に、実の娘達(ナオミ&カーステン・シェリダン)と共に共同で脚本を書いている。

実体験に基いているだけあって、劇中のサリヴァン一家の様子がかなりリアルだったと思う。
アイルランドとアメリカ。双方英語を母国語とする国であるものの、生活習慣や宗教行事等に色々な違いがあるようです。これらの習慣の違いは日本人のぴよには馴染みがないので「ふーん。そーなのかぁ〜」くらいの気持ちで見てましたが、そういう小さな習慣の違いも移民して来た側にとっては新鮮な驚きだっただろうし、戸惑う事も多々あっただろう事はこの映画を見れば容易に想像が付きます。

2人の娘達も実にチャーミング♪
特に妹のアリエルを演じたエマ・ボルジャーちゃんの笑顔には、思わずこっちもにんまりしちゃう愛らしさ♪

また、一家に多大な影響を与える孤高のアーティスト・マテオの存在感は一際際立っていた。
妻のサラに横恋慕していると勘違いしたジョニーが「妻に恋したんだろう!?」と詰め寄った時に、「そうじゃない。君を愛しているんだ。君の美しい妻、君の愛らしい娘達、そして生ける者全てを愛しているんだ!」と慟哭するくだり、マテオの真摯な目には、ぴよも思わずジーンとしちゃったわ・・・

ただ、ちょっと説明不足過ぎる感は否めない。
まずどういう経緯でこのサリヴァン一家はアイルランドを後にしてNYに移住する事になったのか。
映画冒頭、娘のアリエルが「パパが失業したから」と語るくだりがあるが、役者志望のジョニーがアイルランドでどういう生活をしていたのか、何を生業にしていたのかの説明はない。

更に不幸にして亡くした息子・フランキーと家族の絆部分(特に両親の思い入れ)の説明が少し薄い感じがする。
息子の死因がトラウマになっているなら、もうすこし生前の息子とのエピソード等を差し入れて、観客に対して息子の存在の重要性をアピールするような演出にしても良かったような気もする。

全体的に淡々とエピソードを繋いでいる。
しかしながら1つ1つのエピソードはそれぞれ地味で穏やかでありながら、観客に静かに語りかけるように優しく家族の再生を見せて行く。
おませな姉・クリスティの3つの願い事は、どれも家族の希望と再生を予感させてくれる、ステキな願い事だった。
うまい脚本だと思うし、監督自身のこの作品に対する思い入れの深さを充分感じさせてくれる作りだったと思う。

秀作ながら、何かもう1つ足りない気持ちがするのはぴよだけでしょうか・・・





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