監督:ピーター・ヒューイット 出演:ブルース・クック ルパート・グリント ポール・ジアマッティ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 パトリック・スマッシュ少年には深刻な悩みがあった。それは「信じられないくらいオナラが出る事」―オナラの勢いでこの世に生を受けたパトリック、そのオナラの凄まじさに父は家を出て行き、姉には恨まれ、母はショックでアル中になった。学校では「屁コキ虫」とあだ名を付けられ、クラスメートに虐められる日々。 そんなパトリックの唯一の友人は、全く嗅覚のない天才発明家アラン少年。オナラに悩むパトリックの為に、アランはオナラをしてもガスを吸い取ってくれるという画期的な機械「サンダーパンツ!」を発明してくれたのだ。
【感想】 『ハロルド・スミスに何が起こったか?』等を手掛けるピーター・ヒューイット監督、イギリス映画。 つーか、先に鑑賞した「えびボクサー(2003年10月7日鑑賞)」もイギリス映画なんですけどネ、今イギリス映画界は何を考えているのでしょうか?いわゆる「名作系」「アクション娯楽大作系」ではハリウッドに勝てないと悟ったイギリス映画界が、何か間違った方向に走り出しているのでしょうか?(笑)
この作品、元々当時「サンダーバード」の実写映画化の企画を立ち上げていたヒューイット監督が、冗談で「オナラ映画作ったら面白いよねぇ〜」と話していたのをそのまま実現させちゃったそーなんだ。 (サンダーバードの映画化は頓挫してしまったけど) なので、タイトルが「サンダー・パンツ!」・・ある意味、サンダーバードに対するオマージュなのでしょうか?(^_^;)
最初っから最後まで「オナラ一辺倒」のオナラ映画。 オナラや糞尿系ネタって、笑いの世界規格だよね。どこの国の、どんな年代の人にも必ず笑ってもらえる笑いの王道。 なのに、この映画は「笑いの世界規格」を、これまた「道徳の世界規格」に当てはめて大真面目に作り上げている。
人は誰しも欠点を持っている。 しかしながら、欠点を克服し、そしてその欠点を逆に「才能」として伸ばしてやる事も出来る。 諦めてはいけない。欠点というのは、努力と心持ち次第で誰しも長所に成り得るのだ!
・・・普通作るか?こんな映画。(笑)
「オナラ」ってだけで笑えるので、おバカ映画としての基準はきちんと満たしているが、話の展開は至極真っ当で、ともすると悲哀すら感じさせるシーンも満載・・・しかしながら、あの裁判シーンは(しかも殺人絡み)、この映画のトーンにしてはちょっとやり過ぎな感じがしたんだけどなぁ。 殺伐としたエピソードはもっとタイトでも良かったよーな気がするんだけどね・・・何か目頭が熱くなっちゃって(をい)
イギリス映画だから?なのか、アメリカを微妙に皮肉ってる所なんかは結構面白い。 チャチなNASAの内部、そして地球を救えるのはNASAの精鋭科学技術者達ではなくてガキ集団。 更にアメリカのハズなのに、宇宙服にはちゃーんと英国国旗が貼り付けてあるしネ。
映画の内容的に、はっきり言って「子供向け」って気がするんだけど。 非常に真面目に道徳観・人生観を説いている訳ですし。 「道徳」を大上段に構えて説教垂れたって、子供は興味を持たないし聞く耳も持ちゃ〜しない。 けれど、子供が大好きな「オナラネタ」で楽しく道徳を見せれば、きっと喜んで聞き入れてくれる事だろう。
問題は、 ネタが「オナラ」なだけに、親御さんがこの映画を敢えて子供から遠ざけてしまう可能性が非常に高いという事だ。 要するに、ネタは思いっきり子供向けのいい話なのに、大人の目にしか触れる機会がないという・・・
そこんとこでこの映画は破綻しちゃってるのだ。(笑)
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