2003年10月17日(金) |
死ぬまでにしたい10のこと |
監督:イザベル・コヘット 出演:サラ・ポーリー マーク・ラファロ スコット・スピードマン、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 23歳で2人の子持ちのアンは、ある日腹痛で倒れた。病院で検査した所「ガンで余命2〜3ヶ月」と宣告されてしまう。 1人夜更けのコーヒーショップで自分の23年間の人生を振り返った。17歳でファーストキスの相手との間に子供が出来てそのまま結婚。19歳で次女を産み、今は失業中の夫と子供2人の4人で実家の裏庭でトレーラーハウス暮らし。父親はもう10年も刑務所にいる―ほんの数秒で回想出来てしまう人生。アンは自分の病を誰にも告げずにいようと決意し、そして「死ぬまでにしたい事」のリストを作って実行する事にしたのだ。
【感想】 ガンで余命いくばくもない主人公が、自分の残り少ない人生を謳歌し、そして自分の死後愛する人達に幸せでいてもらえるように最大限の努力をしようとする・・・かつて泣きまくって見た「マイ・ライフ」という映画と全く同じネタなんだけど、マイ・ライフはお父さんがガンで、こちらは若い人妻が主人公。
この手の「余命いくばく系」は、愛する家族が自分の存在を忘れないように、自分の死後も家族が幸せでいられるように、と頑張るってのがお約束だと思うんだけど(マイ・ライフは正にそれの王道)、この映画が面白いトコロは「家族の為に」は勿論の事、更に「自分の為に」頑張る所。
17歳で初めての相手とそのまま結婚しちゃって、まともに恋のランデブーを楽しんだ事もない23歳。 夫は優しくて自分を心から愛してくれるし、自分ももちろん今の状態に不足はない・・・けれど、夫以外の男とだってヤってみたかったんだよぅ〜!っていう、すっごくシンプルな「女の恋愛願望」を彼女は叶えようと頑張るのだ。 コレがすっごくぴよは気に入った!
ダンナは確かに失業中で(映画が進む上でダンナもようやく職を得る)貧乏若夫婦なんだけど、決して「こんな不甲斐無いダンナに一生仕えて私の人生終わるなんてイヤー!」っていう展開じゃなくて、自分も心からダンナを愛しているし、ダンナもすっごいイイヤツ。でもダンナだけで終わるのはイヤ!っていう所が良かった。 これが「ダンナが不甲斐無いから」っていう理由だったら、ただの三流不倫ドラマになっちゃうトコロだけど、死を目前にした女が人生を振り返ってみて、不満のない結婚生活だけどそれでも・・・という展開だったからこそ、彼女が自分の人生の最後を本気で前向きに生きようとしたパワーを感じる事が出来たんだと思うのよね。
アンは自分でリストアップした10の「死ぬまでにしたい事」を着実に消化して、そしてその短い生涯を終える。 映画の展開考えると滅茶苦茶泣けそうなんだけど・・・ぴよは全然泣けませんでした。
それはこの映画がつまらなかったからじゃなくて、この映画の作りが非常に爽やかだったからだと思う。 夫と子供達はアンが望んだ通りの形で幸せになり、そしてアンが秘密の情事を持った恋人は、アンをいつまでも忘れずにアンが彼に望んだ前向きな人生を歩む事になるだろう・・・映画を見ていて「よし、よし♪」という満足感と充足感で満たされたお陰で、「悲しい」という気持ちにはならなかった。
情緒が足りないとも言えなくはないけど、ぴよはこういう作りで良かったと思う。 余命いくばくもない、というネタで「泣かせ」を嫌味な程演出する映画はもう見たくないって気持ちもあるのかも。
ぴよは自分の父親をガンで亡くしているので、余計にそう思うのかもしれない。
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