監督:森田芳光 出演:大竹しのぶ 黒木 瞳 深津絵里、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 昭和54年冬、三女滝子の呼びかけで久し振りに竹沢家の4姉妹が集まった。70歳になる父に愛人と子供がいると言うのだ。滝子が雇った探偵の調査資料に見知らぬ女と父が写った写真があった。4姉妹は母に悟られぬよう、約束をする。 未亡人の長女・綱子の不倫、次女・巻子は逆に夫の不倫に気付いてしまう。三女・滝子は潔癖症が故嫁き遅れ、四女・咲子は売れないボクサーと同棲―それまで冠婚葬祭くらいでしか顔を合わさなかった4姉妹は、父の不貞をきっかけに各々の抱える問題がさらけ出されていくのだった。
【感想】 向田邦子氏原作の同名タイトルの映画化。「向田邦子原作→映像化」と言うと必ずセットで出てくるのが久世光彦氏だと思うが、今回メガホンを取ったのは久世氏ではなく森田芳光氏。 ぴよはこれはちょっと嬉しかった。久世氏も悪くはないのだけど、はっきり言って彼の演出にはちょっと飽きた(苦笑) 向田邦子の世界を「良き昭和の時代」だけでなく、もっと「女の業(ごう)」の部分を掘り下げてくれる、女の業の部分を艶かしく見せてくれる演出が見たかったのだ。
この映画は、とにかくキャストがいい。よくもこれだけ「金の取れる俳優」を集めたもんだ。(笑) 深キョンの演技は置いておいて(こらこら)、それぞれの役者が自分に与えられた役を、実にうまく咀嚼し、そして自分なりのキャラクターを作り込んでいたと思う。向田氏の原作とはイメージが食い違う部分も多々あるものの、逆に向田氏のイメージだけを先行させると役者の持ち味が消えてしまう。 その点、このキャストは各々うまく自分の役を料理していたな、という印象をぴよは持ったんだけどね。
ぴよが大笑いしたのは、三女・滝子の恋人「勝又静雄」を演じた中村獅童のキャラ。この人スゴいよ!とにかくスゴい!! シリアスで暗く、淡々となりがちな展開の中で、中村獅童のキャラクターが観客のテンションを実にうまく維持させている。彼のキャラがなかったらこの映画は「久世と同じぢゃん」っていう感想になっちゃったかもしれない。(笑)
話の持って行き方もウマイと思ったんだけど・・・もうちょっと前半〜中盤までのエピソードがタイトでもよかったんじゃないかと思う。森田氏がこの作品に思い入れが強かったという現れなのかもしれないが、それにしても少しエピソードを盛り込み過ぎていて、正直言ってダレてしまったのは残念。 母の死後、三女・滝子と四女・咲子が積年の思いをぶつけ合いさらけ出すくだりも、もう少しシンプルなエピソードでもよかったんじゃないだろうか? (じゃあどういうエピソードならすっきりしたのか?と聞かれると、ぴよにも答えが出ないのですが。苦笑)
仲代達也氏が演じる竹沢家の父、彼のキャラはこれで悪くないが、もう少し父親自身の心の内が見えるような演出も欲しかったような気もしたんだけどな。「阿修羅」な女の業を木目細やかに演出している割に、女の業について回る「男の業」の描き込みが薄かったように思う。 ・・あまり盛り込み過ぎると、上映時間が更に長くなって収拾つかなくなっちゃいますかね?(^_^;)
4姉妹の「阿修羅」をコツコツ見せながらも・・・やっぱり八千草薫はスゴかった。 彼女が公園で次女・巻子と対峙し、あの柔和な顔がゆがむ瞬間―――ぴよは鳥肌が立ったよ。 彼女のあの表情なしに「女は阿修羅だよなぁ」というセリフをこの映画に使う事は出来ない。 八千草薫という大女優に、惜しみない賛辞を捧げたい。
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実はこの映画、試写会で見たんですけどネ、 試写室の映写機が故障していて、ブッチブチ映像が切れるんですわ。 15分から20分おきにフィルムが切れて、その度に2〜3分映画が中断する、の繰り返し。(涙) 2時間15分という、邦画にしては割と長い上映時間の作品なのですが、更に更にすんごい大作を見たよーな疲労感が・・
きちんと通しで見ると、この映画の感想がまた違ったものになったかもしれません。 映画が公開されたら、再見したいと思います・・・くすん。
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