ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2003年09月27日(土) フリーダ

監督:ジュリー・テイモア
出演:サルマ・ハエック
    アルフレッド・モリーナ
    ジェフリー・ラッシュ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
メキシコに住む奔放で活発な少女フリーダは、18歳の時に乗っていたバスが事故を起こして瀕死の重傷を負ってしまう。奇跡的に一命は取り留めたものの寝たきりになってしまったフリーダに、両親がせめてもの慰みにと与えたものはキャンバスと絵の具だった。その後幾度もの手術の末、ようやく歩けるようになったフリーダは、世界的に有名な壁画家ディエゴ・リベラに絵の才能を認められ、彼と同士として、そして男と女として強く惹かれ合って行った。
だがディエゴの女癖は結婚後も治らずにフリーダを苦しめ続け、そして事故の後遺症は彼女の体を蝕んでいくのだった。


【感想】
メキシコが輩出したシュールレアリスム(シュルレアリスム)の巨匠「フリーダ・カーロ」の波乱に満ちた生涯を映画化。
ですがフリーダ本人は当時「自分の作品はシュルレアリスムではない」と言ってますし、ぴよも彼女の作品を初めて目にしたのは中学生の頃でしたが、彼女の絵がシュルレアリスムというカテゴリだとは思わなかったです。
・・いかん。ぴよは学生時代美術部だったので、絵の事語り出すと映画の感想を書くスペースがなくなってしまう!(苦笑)

話を映画に戻しましょう。

元々天賦の才能に恵まれてはいたんだろうけど、フリーダ・カーロのあの大胆にして繊細、心の叫びを鮮やかに彩る独特の作風というのは、メキシコという風土と、そしてその生涯を余りに短くしてしまった18歳の時の事故、更に生涯のパートナーとなったディエゴ・リベラ氏との愛憎なくしては有り得なかったでしょう。

特に絵の世界に入るきっかけとなった事故後の彼女の苦しみ・・・ここんとこの部分はもうちょっと掘り下げて欲しかった。彼女の絵に興味のない人にとってはどーでもいい部分なのかもしれないけど、この時期の彼女の苦悩、葛藤、絶望、そして再生は、彼女のその後の作風を決定付ける重要な部分だとぴよは思うんですよ。
確かにこの時期のシーンは絵的にあまり面白いモノにならないかもしれないけど、それにしてもサックリ流し過ぎのような気がするんだよね。

ちょい役でアントニオ・バンデラス出して(客寄せパンダか?客寄せにもならんぞよ。苦笑)ディエゴと共産論を闘わせるシーンに時間割くくらいなら、もっとフリーダの内面に肉薄するのに時間使えよ(ぼそ)

この映画は芸術家の生涯を表現する為に色んな工夫が凝らされていて、例えばフリーダの作品から実写へそのままCGを使って場面を移す事で、その作品の背景を観客に見せようとしたり、NYでの彼女の独白シーンではパペットを使ったアニメーションや、映画「キングコング」のワンシーンと絵をコラージュさせたり、更にモノクロ画面の中でフリーダの首飾りと花だけに彩色して見せたりするなど、なかなか観客を飽きさせないように作られてます。

また、フリーダの衣装はスゴイ。実際彼女は公の場に出る時、そして自画像を描く時は、必ずメキシコの民俗衣装を身にまといドレスアップしていたそうですが、映画中の彼女の衣装や髪型は圧巻です!実際に彼女の作品中で描かれている衣装を忠実に再現しているのも非常に手が込んでて拍手喝采モノ!

ただね、全編通してちょっと上滑りな印象は否めなかったですわ。
ディエゴとの愛憎劇にしても(これも彼女の生涯を語る上で大事な部分だYO)、ディエゴの元妻と仲良くしたり彼の女癖についてはある種諦めている風に見せておいて、フリーダの実妹との不倫で一気に爆発したように映画中は見えてしまう。
実際はそうじゃないハズ。もっともっとディエゴとの生活は、彼女の人生に彩りと苦悩と方向性をもたらしているハズなのに、この映画ではあまりディエゴからの影響力の強さを感じさせてくれなかったのは残念な気がしたわ。

ただ浮気癖の抜けないデブのおやぢに振り回された女にしか見えないってはちょっとなぁ〜(苦笑)、これじゃーディエゴ・リベラという世界に名を馳せた巨匠が非常に陳腐な男に見えませんか?(^_^;)


結構酷評しちゃってますけど・・・これは一重に「フリーダ・カーロ」という画家が好きなぴよの個人的思い入れの強さだと思って許していただければ幸いかと。(笑)
彼女の作品にまだ出会っていない人、彼女の存在を知らなかった人が「フリーダ・カーロ」という女流画家を知る「入門編」として見るには、非常によく出来た映画だと思いますわよ♪

この映画を見たら、彼女の本物の作品を是非見て欲しい。
映画では語られなかった(表現し切れなかった)彼女の激しく、苦悩に満ち、そして華々しく色鮮やかだった人生を、彼女の作品を自分の目で見る事で知ればいいんですから♪





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