2003年09月10日(水) |
ティアーズ・オブ・ザ・サン |
監督:アントワン・フークア 出演:ブルース・ウィリス モニカ・ベルッチ トム・スケリット、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 米海軍特殊部隊ウォーターズ大尉は任務成功率100%を誇る7名の精鋭部隊の隊長だ。彼にとって人生とは軍隊であり、ミッションの遂行こそが生きる目的だった。彼らの今回の任務は「内戦下のナイジェリアから米国籍の女性医師リーナ・ケンドリックスを救出せよ」―それは百戦錬磨のウォーターズにとって一見ごくありふれた任務のハズだった。 ところが23年間の輝かしい軍歴の中でただ一度もおかさなかった「任務命令違反」をウォーターズは敢えて決断する。 ・・・リーナと共に、外交問題上米軍としては決して手を貸してはいけない筈のナイジェリア難民28人を救出する為に。
【感想】 ブルース・ウィリス主演の新作は、いかにもアメリカ国民が大喜びしそうな感動のヒーロードラマ。 この作品は制作に6年もの歳月を費やしたそうで、元々この映画の脚本はブルース・ウィリスの当たり役「ダイ・ハード」シリーズの4作目として用意されていたそーです。ところが話が進む内にこのストーリーのテーマ性と作品のスケールを重要視し、全く独立した企画として完成させる事に変更されたんだそーだ。
さて。 実はぴよは「鳥目」なんですよ。暗いトコロがほとんど見えないんす。(^_^;) で、この映画なんですが・・・映画冒頭から映画全般に渡り、かなりのシーンが夜の密林地帯を彷徨うシーン。
画面真っ暗で何も見えねー!(涙)
ま、字幕は読めますから何が起こってるのかは想像付くんですけどね。えぇ(しくしく)
ナイジェリアに限らず、第二次世界大戦以後30年間に渡りアフリカ各地で政治的・社会的混乱とそれに伴う内戦が続き、アメリカも多くのアフリカ難民を受け入れて来た経緯がある。 この映画は「政治外交上、現地難民の救出や国外脱出の手助けをしてはならない」という政治的建前を・・・人の心がそれを許さないんですよ、誇り高いアメリカ国民として窮地に立たされた難民を放っておく事は出来ないんですよ、という実に判り易い「アメリカの正義」をこれでもか!と泣かせな演出で観客に感動を押し付けるアメリカン・ヒーロー映画になってる。
・・・すっごい意地悪な書き方しちゃいましたけど。(^_^;)
きっとこの映画を見たほとんどの人が「感動した!」「泣いた!」って感想なんじゃないかと思うんだけど、ぴよはかなり白々しい気分で見てたんだよね。 確かにアフリカ各地で起こった内戦での悲劇はぴよもTVニュースで見て多少は知ってる。 実際に彼らはアメリカの救いの手を待ち望んでいたのかもしれない。 ・・・けどね、今のこの世界情勢。特に中東絡みのアメリカのとんちんかんなリーダーシップを見るにつけ、この映画の言わんとしている事が「だからアメリカは世界のリーダーなんだよん。アメリカがする事はすなわち正義。この映画見ればそれがよーく判るでしょ♪」という言い訳でしかないんじゃないか?と。
映像にはかなり力を入れていて、リアリティを追求した戦闘シーンや特殊部隊の隊員達の所作も、実際のそれをかなり忠実に再現しているんじゃないだろうか?映像的にはかなり評価出来るけど、ぴよにとってはこの映画が発するメッセージに感銘も受けなければ感動もしなかった。
今回かなり意地悪な見方をしちゃったかな? 実際のアメリカと、映画という虚構の世界のアメリカをダブらせて見てはいけないという事なのかしら?
映画自体は決して悪くはないと思うけど、今この時期に、よりによってアメリカがこの内容の映画を作ってしまった・・というのが一番の失敗だったんじゃないかと思うんですけど。(苦笑)
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