監督:ピア・ボヴィン 出演:アダム・ギルバート・イエスパーセン ノア・アボウ・エル=フォウル ナディア・ブーギルド、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 デンマークに住むアクセル少年は母と姉の3人暮らし。アクセルが憧れているのは、姉の彼氏みたいなモスリムの男性。ある日アクセルは「モスリムに改宗する」と宣言して、モスクに通い服装を変え、大好きなミートボールも食べなくなった。 アフタースクールのソング・コンテストに、親友のアニカとファティマの3人組で出場する事になったのだが、街角に立って歌を唄ってお金を稼いでいる所を見つかって、ファティマは両親に怒られて外出禁止になってしまう。何とかしてファティマをソング・コンテストに参加させたいアクセルは奮闘するのだが・・・
【感想】 あいち国際女性映画祭で鑑賞した映画2本目。愛知未公開作品。 この映画は2003年ベルリン国際映画祭のキンダー部門グランプリ受賞作品なんだそーです。
まずデンマークという国が全くぴよには馴染みがないのですが、予備知識として・・デンマークは圧倒的にプロテスタント信者の多い国なんですが、日本同様「信仰」にあまり熱心ではないお国柄なんだそーです。 日本にはその数は少ないですが、他の北欧諸国同様デンマークにも数多くのモスリムの移民が暮らしていて、彼らは西欧社会に溶け込みながらも、その宗教観に基づいた独自の文化、家族制度を貫いているんだそーです。
以前「夏休みのレモネード(2003年8月4日の感想参照)」の時に『子供というのは純粋でニュートラルな存在だ』と書きましたが、この映画に登場するアクセル少年というのも、実に「子供らしい子供の姿」として描かれている。
彼がそもそもモスリムの男性に憧れている理由というのは「イケてるから♪」それ以上でもそれ以下でもない。 小さな子供には難しい宗教観なんてものはない。見た目やしている事が「カッコいい」だけで、もう尊敬と憧れの対象になってしまう。金のネックレスをジャラジャラさせているのもイケてるし、ちょっとだぶだぶのパンツを履いてるのも、小さなニット帽を被ってるのもイケてる。そんな男達がメッカに向かってお祈りしてる姿も何となくカッコいいぢゃん♪・・・子供の興味の対象なんて、所詮そんなモノなのよね(笑)
小さなきっかけから始まったとしても、子供の探究心というのは時として大人が驚かされるくらいスゴイものがある。 スタイルから入ったアクセルは、その後何度もモスクに足を運び、モスリムの教義を勉強し、それを実践しようと努力する。いつの間にかアクセル少年の中にきちんとモスリムの正しい教義が息づいているんだよね。 ソング・コンテストの会場で、アニカに向かって「素晴らしいモスリムは困った人を助けるんだ!」と行って走り出したシーンは、本当に素直で健気で可愛らしい子供らしさが出ていて微笑ましかった。 ・・近年世界中のあちこちで偏見を持たれがちなモスリムのみなさんも、この映画を見るとホッとするんじゃないかしら。
この映画は子役達の演技が実に輝いている。特に主人公のアクセル少年を演じたアダム君の天然ボケっぷりは秀逸。彼が直ぐバレるウソをその場しのぎで平気で言ったり、友達と一緒に頑張って稼いだ野良犬の餌代を、欲しいモノを見つけたからと横領しちゃったり・・・こーやって書くと随分ヒネた子供みたいだけど(笑) ぴよも子供の頃、いたずらした後にバレバレのウソついてごまかそうとしたよなぁ〜・・なんて、妙に笑えて来ちゃってね。
子供のやる事なんて、洋の東西を問わずいつの時代も似たよーなもんなのね、ってちょっと嬉しくなっちゃったわ(笑)
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