監督:フー・メイ 出演:ニーナ・プロル ワン・ジィウェン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 1931年、ウイーンの警察学校に留学していた中国人青年・馬雲龍は、教官の娘ファニーと恋に落ちた。結婚を家族に大反対されたファニーだが、卒業して中国に帰国した馬と密かに文通を続け、お互いの愛は変わらず、1年後に周囲の反対を押し切り単身中国に嫁いで行った。 言葉も風習も判らない中国の地。政変が起こり文化大革命の波にもまれて、ファニーの人生は翻弄されて行く。
【感想】 ぴよが住んでいる愛知県では、今日から日曜日まで「あいち国際女性映画祭」という催し物をやってます。これは世界で活躍する女性監督の作品を広く伝えようと、安価で様々な国の映画を見せてくれ、更に日本未公開作品や愛知県未公開作品もバンバン上映しちゃましょう♪という、何とも映画好きにはありがた〜い企画です。更に県内の映画館のほとんどが、この映画祭期間中は女性は1000円で見れるという特典付き♪愛知県民でよかったぁ〜(笑)
さて、この「愛にかける橋」も日本未公開作品。 中国とオーストリアの合作ですが、驚いた事にこの映画は事実が元になっているんだそーですヨ! 映画プロデューサーのワン・ジィエビンが、たまたま目にしたTVのドキュメンタリー番組で取り上げられていた「中国に嫁いで60余年になるオーストリア女性」の存在を知り、彼女の非凡な生涯を是非映画にしたいと企画されたものだそーです。
例えば旅先で現地の人と恋に落ちたり、または仕事で赴任した先で恋人が出来たりするというのは、そんなに珍しい事ではないと思う。しかしながら女性の立場を考えると、例え愛する人と結婚したいからと言っても、相手の国の言葉もわからずどんな国なのか見た事もない。生活習慣も歴史も風俗も何もかも違う国に、親兄弟とも友達とも離れて独りぼっちで嫁いで行くというのが、どれくらい困難を伴うものかというのは想像するに難くない。 ファニーという女性はそれを「彼を愛しているから」という一念だけで乗り越えてしまった。
きっと彼女にとって「中国」という国は相当厳しい環境だっただろうけど、映画を見ていて「大変そうだよなぁ」とは思っても、余り彼女の内面的な辛苦に入り込んで描写されていなかったように思う。姑との確執についても割とサラリと流されているような感じがしたし、彼女の望郷の念等ももっともっと深く突っ込んで見せてくれればいいのに・・と思ったんだけどネ。
・・・もしかしたら、彼女はそれ程辛い事だとは思わずに中国という大地を踏みしめていたのかもしれない。
映画は、ファニーの故郷の親友「アニー」の孫が、亡くなった祖母の遺言で、ファニーを探し出し、彼女に色々インタビューしながら、ファニーが回想していくという形式で進んで行くんだけど、インタビュー中に年老いたファニーは、何度も今は亡き夫への愛を惜しみなく賛美する。 「中国へ渡って後悔した事はないか?」との問いかけに、ファニーは真っ直ぐな目で「一度も後悔した事はない」と答えた。 そして「もう一度生まれ変わっても同じ選択をします」とも語っていた・・・
「愛さえあれば」なんて言葉は絵空事でしかないと思っていたぴよは、この映画から痛烈な一撃をくらった思いです。
この映画の主人公ファニーの元ネタになった「ワグナー夫人」は、残念な事にこの映画の完成披露上映直前の今年2月19日に、映画を見る事なく脳溢血でこの世を去ったそうです。享年86歳でした。
きっと今頃ワグナー夫人は、天国で先に待っていた夫と第二の幸せな人生を送っている事でしょう。合掌。
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