監督:北野 武 出演:ビートたけし 浅野忠信 大楠道代、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 盲目の按摩士でありながら居合の達人「座頭市」が、とある宿場町に流れて来た。その町はヤクザの銀蔵一家と金持ちの商人・扇屋が結託して仕切っていて荒れ果てていた。 この宿場町にたまたまやってきた剣豪の浪人は、病身の妻を助ける為に銀蔵一家の用心棒の職を得る。そして親の仇を探し尋ねる姉弟もまたこの宿場町にやって来た・・・座頭市はたまたま賭場で知り合った遊び人と懇意になり、姉弟と知り合い、そしてやがて自分の命を賭けて闘わねばいけない剣豪と知り合う事となるのだが・・・
【感想】 北野武脚本・監督・出演作品の最新作は、勝新太郎がハマり役・・と言うよりも、この役は勝新以外考えられないというくらいに、日本国民の骨の髄まで勝新のイメージで凝り固まった「座頭市」 ↑上の「監督」と「出演」の名前をわざわざ「北野武」と「ビートたけし」に書き替えたのは、映画のチラシの記載がそのようになっていたので、それに合わせただけの事です。たぶん北野氏は監督としての自分と、役者としての自分を、名前を変える事で区分けしているんじゃないでしょうか?
「座頭市」の企画は、勝新の死後(いや、生前もか?)数限りなくあったと思う。 それでも今まで勝新以外での映画化がなされなかったというのは、それだけ勝新の座頭市がハマり役であり、それ以上の座頭市のイメージを作れる役者や監督がいなかったんだと思う。 そういう意味では、この映画というのはある意味勝新の演じた座頭市への挑戦でもあり、勝新が演じた座頭市から「座頭市」というキャラクターを開放させようという、全く新しい試みでもあったんだと思う。
そういう意味で、この映画は大成功している。 北野武氏は、この映画で完全に「座頭市」を勝新から奪ってしまったと思う。
この映画には「北野武監督」ではなくて、「ビートたけし」というキャラクターの魅力がふんだんに溢れているし、ビートたけし氏の愛するベタベタなユーモアのテイストをこれでもか!と盛り込んでいる所が、既存の「北野武監督作品」とは一線をかす所なんじゃないかな?と思ったんだけど。 ・・・かなりベタベタであるものの、シリアスなハズの内容の映画でここまで笑わせてもらえるとは思ってなかったぴよは、かなり楽しませてもらっちゃったんだけどネ♪
この映画はヴェネツィア映画祭のコンペ作品になっているそうで。
それを意識しているのか、やけに「日本の文化・芸能」を魅せる事に力が入っていたよーな・・? と言うよりも、まるで「外国人監督が作った日本の風俗を取り上げた映画」のようなテイストを感じたんですけど。(^_^;) もっと簡単に言うと「外国人が喜びそうな日本人の風俗の姿」とでも言えばいいのか・・・(笑)
お祭りシーンが映画のラストに出て来るんだけどね、 このシーンを見て鵜呑みにされて、諸外国の方々に「おぉ!ジャパンのフェスティバルはやっぱりファンタスティックねぇ〜♪」なんて言われた日にゃ〜たまったもんぢゃないですヨ(爆)
ま、そうは言ってもかなり楽しめる映画になってました。 たけし氏の演技もかなり力入ってたと思うし、剣豪の浪人を演じた浅野忠信サンはめちゃカッコいいし♪
きっと「勝新の座頭市」を知らない世代の人が見たら、この映画が「座頭市」のイメージとして定着するんだと思う。
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