監督:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:アダム・サンドラー エミリー・ワトソン フィリップ・シーモア・ホフマン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 ロス北部の倉庫街で「自称・青年実業家」を名乗るバリー・イーガンは、女性が苦手なかんしゃく持ちの男。彼のある一日は忙しかった―まず食品会社のマイル・キャンペーンの穴を見つけて、プリンを大量購入してマイルを貯める事を思い付いた。その後ある女性と運命的出会いを果たし、昼間は口うるさい姉達からの電話攻撃で仕事が進まず、夜は姉の誕生パーティーに出向いてカンシャクを起こし、家に帰ってからはテレクラの女性相手に不毛な会話… このテレクラ電話が後にとんでもない事件へと発展する。しかし、かんしゃく持ち男・バリーは、初めて自分の全てを受け入れてくれる素晴らしい女性に出会った事で、今までにない新しい力が自分の中にみなぎるのを感じるのだった。
【感想】 タイトルの「パンチドランクラブ」とは『強烈な一目惚れ』の意。 7人の口やかましい姉達に囲まれて育った事で、すっかり女性不信に陥ってカンシャク持ちになった男が、ある女性に出会った事で、自分の暴力的性格傾向を別の方向に転化させて行く・・・
んー。文章でペロッと書くと、何の面白味も感じませんが。(^_^;)
この映画中に使われている「プリンを買ってマイレージを貯める」というネタは、実際にあった事で、ヘルシー・チョイス社のプリンを合計12,000個以上購入し、125万マイルを貯めた“プリン男”は実在するんだそーですヨ。 このネタはかなり面白いと思ったんだけど(正に事実は小説より奇なりを地で行ってる!)、映画中このネタに随分時間を割いているのに、本筋にはあまり絡んでいない気がしたんだけどナ。
とは言え、全てのネタは主人公バリーの「かんしゃく持ちで、物に当たったり壊したりする事で発散させる」という、彼の不安定で暴力的傾向の裏付けに役立っている。 また、映画中に流れる音楽、突然挿入されるシュールでポップなカラーリングのイメージ画像・・・これはきっとバリーの不安定な精神状態と、彼が女性と恋に落ちた事で、彼女に対して不安を抱いたり期待をしたり「高揚する気持ち」を表現しているんじゃないかと思う。
この企みは非常にうまく行ってると思ったな。 だって、ぴよは映画見ながら非常に落ち着かないと言うか・・・胸がザワザワするような不安定な気分になったもん。(^_^;) 映画見ながらこんなに落ち着かない気分になるなんて、よっぽど演出が良くてぴよがバリーとシンクロしちゃったのか、それとも単にぴよはバリーのような「かんしゃく持ち男」が大嫌いなので、見てて胸糞悪かっただけなのかもしれないわ(笑)
すっごく不安な気分でずーっと映画見てたんだけど、バリーがリナに受け入れられた事で、自分のかんしゃく持ちを正直にリナに告白したり、それまで泣きながら逃げ回っていた恐喝集団に、正面から堂々と戦う勇気を持つ辺りまで見て・・・ふと気が付くと、すっかりこの映画に入り込んでる自分がいたりして。
何とも不思議な映画だったなぁ〜! 全然ラブ・ストーリー見たって感じしないんだけど、なーんか知らない間に観客が映画の精神世界に入り込んでシンクロしちゃってんだよネ。こんな奇妙な感覚になる映画は初めてかもしんないわ。
・・・いやぁ。落ち着かない気分で見るってのも、なかなかキツかったんですけどね(苦笑)
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