監督:ノンスィー・ニミブット 出演:エスカラット・サルスク クリスティ・チョン サンティスック・プロムシリ、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 自分を産んだが為に命を落とした母。母を愛していたたが故に「お前は呪われた子だ」と、父から執拗に蔑まされ虐待された子「ジャンダラ」―――彼の子供時代の最初の記憶は、父と叔母の情事の姿だった。 父の、愛を伴わない自堕落なハーレムでの情事を見て育ったジャンダラの心には、深く暗いトラウマが形成される。ところがある日自分の出生の秘密を知ったジャンダラは、激しく父を憎むようになる・・・
【感想】 キャッチコピーからしてカマしてるぜ!『タイ王国最大のタブー、解禁』だもんねっ! 原作は1964年に新聞に連載掲載された小説で、その余りに過激な性描写に敬虔な仏教徒の国・タイでは騒然となったものの、30年以上もベストセラーを維持し続けているという脅威の作品の映画化だそーです。
今までぴよが見た数少ないタイ映画とはまるで違う。ぴよ的に言う所の「タイ映画らしいすっとこどっこいな展開」というのが全くないのだ。映画冒頭からかなり赤裸々な性描写で始まり(これはタイ映画としては画期的な事なんぢゃないか?)、その後もよどみなく話は進んで行くんだけどネ、
なぁ〜んか面白味に欠けるんだなぁ!
これは・・・正直言うと、ぴよが先に書いた「すっとこどっこいな展開」を期待していたからに他ならないんだけど。(^_^;) 要するにぴよの中で「タイ映画」の面白さって、「どれくらいすっとこどっこいな展開なのか」って事なんだけど(をい)
父の倒錯した情事を目の当たりにして育ったジャンダラ青年が、父を憎みながらも自ら父が歩んだのと同じ倒錯した情事に身をやつす、というのがこの映画のキモなんだろうけど、そこから引き出されるオチがどうも教訓めいてると言うか、説教臭いと言うのか・・・愛を知らずに育った子は、自分もまた愛を与える事が出来ない、と言いたいのか、はたまた因果応報とでも言いたいのか?
亡き母親への思慕の情を、叔母の乳房を求める事に投影させたり、父親の生き方を否定しつつも自分もまた父と同じ道を歩む姿を、清純な乙女とのプラトニックラブを謳歌する一方で父の後妻と淫靡な関係を持つ事で表現したり・・・映画前半までの展開はなかなか見せ場も多く、面白くなりそうな予感を多分に秘めているものの、映画後半になってバタバタと話をまとめ上げてつまらない説法話にしちゃってる。
この話がタイ人にウケたのは、赤裸々な性描写の部分だったのか、それとも気取った説教話のオチだったのか? ぴよは前者の部分がウケたんじゃないか?と邪推するんだけどね・・・
タイという国、国民のほとんどが敬虔な仏教徒で、セックスに関する話はタブー、という「表の顔」を持ちながら、夜の歓楽街では男達を魅了する蝶々が乱れ飛ぶという「裏の顔」を併せ持つ。 どちらが本当のタイなのか?・・どちらも本当のタイなんだろう。 そんな複雑なタイの顔を、この映画はそのままそっくり見せてくれているような気がしたな・・・
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