監督:篠田正浩 出演:イアン・グレン 本木雅弘 椎名桔平、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 第二次世界大戦下ソビエト。その広大な国土が故、西はドイツから東は日本からの侵攻に脅かされるも、どちらかに兵力を結集しなければ国境突破されるのは必至の状態だった。そこへ一本の極秘打電が日本のスパイ諜報員から入った。 「日本はソ連に侵攻する意思がない!」・・・スターリンは極東の地に駐留していた軍隊を、対ドイツ戦線【スターリングラードの戦い】に集結。ドイツ軍を壊滅状態に追い込んだのだ。 第二次世界大戦のドイツ敗北を、そして日本敗北を決定付けたのは、8年間もの間日本で諜報活動をしたソビエトの国際的スパイ「リヒャルト・ゾルゲ」だったのだ。
【感想】 この映画を最後に篠田監督は引退を表明しているそーだ。だからなのか、監督もこの作品には相当思い入れがあるよーで、構想10年、制作費は邦画としては破格の20億円を投入、上映時間はなんと3時間超えの超大作になっちゃいました!
とにかく長い上映時間、何がそんなに長くなったのか・・・兎にも角にもただ延々と時系列に第二次世界大戦に突入するまでの日本の歴史を垂れ流しちゃってるからだとぴよは思う。 上映時間の長い映画だからこそ、展開に緩急付けなけばいけないと思うんだけど、篠田監督は観客に伝えたい事が多過ぎて演出のしようがなくなっちゃったんでしょうか?(苦笑)
この映画の一番ダメな所は、タイトルが「スパイ・ゾルゲ」なのに、主人公のゾルゲが全く魅力的に描かれていない事。 歴史をただダラダラと流しているだけで、ゾルゲのキャラクターが作品の中で際立つ事がなく・・もっと言えば、この映画に出演しているキャラクターは全て映画を見終わった後もまるで記憶にも残らない程度の希薄さで、ぴよはどのキャラにも共感も出来なければ思い入れを持つ事も出来なかった。
時代考証にはかなり忠実で、映像には相当のこだわりを感じるものの、ゾルゲというスパイを際立たせたいなら、教科書のようにダラダラと歴史を追うのではなく、端折る所は端折ってゾルゲ自身の生活や感情、精神的な葛藤の部分にもっと時間を割いて肉薄すべき・・なんじゃないかな?
ゾルゲに関わる女達、そのどれも全く魅力を感じないし、彼女達がゾルゲの何に惹かれたのかも判らない。
それにしても映画ラストの・・・ (ネタばれ?ではないだろうけど、一応この映画の主題に関わる事だから隠しておきますわ) 【ジョン・レノンの「イマジン」の歌詞を日本語訳して出すのはいかがなものだろうか?確かにジョンはラブ&ピースの教祖だけど、この映画は日本とロシアの話でしょ。いくら歌詞がこの映画の意図するモノにドンピシャ当てはまるからといって、日本の敵だった国の人の作ったラブ&ピースの歌を起用するのは、あまりにお寒くはないか?(^_^;)】
本木クンの英語はかなりお上手でびっくりしましたわ。政府を裏切ってまでも平和を望む・・本来なら味のある複雑な役になるはずなのに、これは本木クンの演技が悪いんじゃなくて、脚本と演出が悪いとしか言いようがないっすよ。 小雪ちゃんは可愛いな♪尾崎の妻を演じた夏川結衣もかなりいい♪
それにしても葉月里緒菜はダメ過ぎですわ。彼女はこの役やりたくなかったんか?(笑)
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