監督:イ・ジョンヒャン 出演:キム・ウルブン ユ・スンホ イム・ウンギョン、他 オススメ度:☆☆☆☆☆
【あらすじ】 ソウルに住む7歳の少年サンウは母親に手を引かれてひなびた山村に住んでいる貧しい老婆・・「おばあちゃんの家」に初めてやって来た。母親は若い頃ここから家出をしてソウルに出て来たものの、シングル・マザーになった挙句に職を失い、就職活動の為にサンウを一時自分の母親の所に預けに来たのだ。 初めて見るおばあちゃんは腰が曲がり、耳が遠く、そして口がきけない。家はボロボロだしトイレも汚くて怖い・・・都会っ子のサンウは、田舎もおばあちゃんもうっとおしくて気味が悪くて仕方がない。反抗的になっておばあちゃんを困らせてばかりいるのだが・・
【感想】 なかなか評判のいい映画らしいので、時間があったから見てみようかなぁー・・くらいの軽い気持ちで見たんだけどネ、この映画は本当に素晴らしいっすよ!!
ソウルからとんでもない田舎に連れてこられた少年「サンウ」、彼が田舎で起こす数々の傍若無人な振る舞いは、見てて本当に胸クソ悪くなるくらいヒドいんだけど(苦笑)・・・見ながら、ちょっと自分の胸が痛くなるよーな。 子供って本当にひねくれてて残酷な生き物だよね。そしてぴよもまた、かつては「ひねくれてて残酷な生き物」だったんだ。 自分の世界観と違う人を正面から小バカ扱いし、人の優しさに触れても素直に喜べず、悪い事をしたと自分でも判っていてもロクに謝る事も出来ず、無理難題を吹っかけワガママ言いたい放題で・・・
サンウがおばあちゃんの家に来た当初にする数々の憎たらしい態度は、誰でも似たよーな事を子供の頃にした事が1度や2度はあるんじゃないだろうか?
そんな悪魔の申し子のような(無茶苦茶言ってる・・)サンウを勝手に押し付けられたのに、文句一つ言わずに何とかサンウに喜んでもらおうと、サンウの食べたい物を聞いたり、サンウが欲しい物を何とかして手に入れようとしたりする腰の曲がった小さな小さなおばあちゃん・・・ おばあちゃんがサンウに毒づかれる度に見せる悲しげな、寂しげな表情に・・胸がキリキリと痛んじゃったよ(>_<)
胸が痛んだのはぴよだけじゃない。サンウだって本当は「ごめんなさい」が言いたいんだ。おばあちゃんの優しさに触れて、本当は「ありがとう」が言いたいんだ。でもそれが素直に言えない。言えないけれど、少しずつ少しずつおばあちゃんに歩み寄るサンウ・・・くぅぅぅぅ!もうたまらんっすよぅ!!
サンウがいよいよソウルに帰る前日の夜・・・わんわん泣きながらおばあちゃんに取りすがるサンウに、普段「相当泣ける!」と評判の映画を見てもちぃーっとも泣けないこの「冷血漢・ぴよ」が号泣しまくり!
ぴよにはこんなステキな田舎もないし、おばあちゃんもおじいちゃんもとうの昔にいなくなっちゃった。 それでも、心揺さぶる懐かしい匂いがいっぱいで、自分の子供時代を思い出してはちょっぴり胸を痛め、そして優しい優しい気持ちが小波のようにざわざわと押し寄せて来る・・・
こんなステキな映画が単館ロードショーだなんて、日本の映画界は何か間違ってるぞ!必見ですっ!!
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