2003年04月16日(水) |
アバウト・シュミット |
監督:アレクサンダー・ペイン 出演:ジャック・ニコルソン キャシー・ベイツ ダーモット・マルロニー、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 アメリカ中西部オマハの保険会社で計理士として長年勤め上げた「ウォーレン・シュミット」は42年連れ添った妻と離れて暮らす一人暮らしの娘がいる、平凡だが不満のない人生を歩んで来たつもりだった。 ところが定年退職してみて自分がいかに仕事に依存していたかに気付く。そんな折、第二の人生を共に謳歌しようと思っていた妻は急死、頼りにしていた一人娘はバカ男との結婚を間近に控えてとりつく島もない・・孤独に打ちひしがれたシュミットは亡き妻と共同購入したキャンピングカーを駆って、アテのない旅に出たのだが・・・
【感想】 オスカー俳優ジャック・ニコルソンの新作は、定年を迎えた上に妻に死なれて一人ぼっちになってしまった、正に「燃え尽き症候群」のよーなショボイおっさんの話。実際こーいうオジサンって多いんだろーし、リストラ激しい昨今ではまだ定年まで行かない年齢の御仁も同じよーな気持ちになっている人は多いんじゃないだろーか・・・本当に身に詰まされる話ですわ(^_^;)
ありとあらゆる役をこなすジャック・ニコルソンの名演技が今回も光る。 仕事を失って、何をすればいいのかわからずに途方に暮れるシュミットの生気を失った様子を、実にリアルに、そして悲哀の中にもクスリと笑わせる絶妙な表情で見せてくれる・・・この人ホントにいい役者だわぁ♪
アフリカに住む恵まれない子供の里親募集番組をたまたま目にして、思い付きで里親になったシュミットが、自分の養子に宛てて手紙を書く・・この手紙の朗読がそのまま映画のナレーションになっている所は面白い。
予告編見た時に勝手に予想していたのとは全然違う展開で。 普通この手の映画って、生き甲斐を無くした男がどうやって第二の人生を見つけて立ち上がって行くのかを見せる・・ってのが王道だと思うんだけど、この映画は全然そーじゃない。 長年こういう考えで生きて来た男がそうそう変われる訳もなく、何をやってもとことん空回りして益々ドツボにハマって孤独になって、それでも長年のプライドを捨て切れずに虚勢を張って・・・
実際この手のオジサンなんて、安手のドラマみたいにコロコロ自分が生まれ変われるハズがない(^_^;) 劇的な事も起きなければ、調子良く運命の人に出会える訳もない。本当に等身大の「定年退職後の孤独なオジサン」をありのまま見せちゃってる・・・正直言って「何も展開しない」 なのに、目をそらせられない。引き込まれる。悲哀の中に絶妙なユーモアを織り込んで見る人を楽しませる。
ラストのジャック・ニコルソンの表情がまたすごく効いてる。 寂しくて、哀しくて、なのにクスリとさせて優しい気持ちになれる・・・実に不思議な力のある映画。
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