監督:大林宣彦 出演:三浦友和 ベンガル 須藤温子、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 妻が去り、自殺を考えていた50歳を迎えようという男「梶浦祐作」の元に、28年振りに故郷の大分県臼杵の町へ彼を誘う電話がかつての友「水田健一郎」からかかって来た。 「妻が、…雪子が死にかけている。…祐作、帰って来てくれないか、臼杵に」 雪子、それは祐作が少年時代を過ごした臼杵の町で水田と共に出会った美しい少女。いつの時も祐作を慕ってくれていた雪子。そしてその雪子を密かに思う水田…祐作は最後に雪子を見た時の光景…手首を血に染めて「違うっ!」と叫んだ彼女の姿を思い出していた。あの夜あの少女に何があったのだろうか…
【感想】 元々この映画は大分県臼杵市で映画を撮影しよう!という企画から始まって、この地(本当はその隣町の津久見)を古里とする伊勢正三によって作曲された「なごり雪」の曲をテーマに脚本・撮影した映画なんだそーだ。 映画中「なごり雪」の歌詞がそのまま役者のセリフになっちゃってるので、正直言ってちょっとその部分だけが空々しいというか、妙に詩的に過ぎる感じがしなくもないけど…
大林監督と言えば「時をかける少女」等で尾道の美しさをこれでもか!と見せてくれた人ですが、今回もこの映画で今もまだ緑濃い古里「臼杵」のひなびた美しい町並みと自然を実に鮮やかに見せてくれています。 特に「石仏火祭り」のシーンは凄かった。水田の家(酒屋)の前の道に無数の切り出した竹が連なって、その中に火が灯してある…お祭りの会場では星を散りばめたように炎が揺らめいている…余りの美しさに、ぴよは口をぽかーんと開けたまま放心しちゃったよ(笑) このお祭りって今でも毎年やってるんですかぁ?一度是非自分の目で見てみたいなぁ〜♪
さて映画の内容ですが、正直言って「まずまず」だと思う。 若かりし頃の祐作、水田、そして雪子を演じた3人はやっぱりまだ演技面には硬さを感じるものの、今の若者の口からは決して耳にする事が出来ない「美しい日本語」を巧みに操って好感が持てる。 ただ主人公の祐作がねー、寡黙過ぎて何考えてるのかちぃーともわかんなかったんだけど。もう少し少年時代の祐作のキャラと言うか心情を上手に(と言うか簡単に?)見せてくれた方がよかったんじゃないかなぁと思ったんだけど(^_^;)
それから「祐作と別れた、その後の雪子」の気持ちが宙に浮いてる気がしたんだよね。 決して雪子はなりゆきで水田と結婚した訳じゃない。水田と結婚した雪子はやっぱり幸せだったんだ・・・もうちょっとそういう風に見せて欲しかったのね。って言うかぴよはそう思いたいのね。 そうじゃなかったらこの映画は報われないと思うのよ。だからそこんとこもっとはっきり見せて欲しかった。
でもね…「決闘シーン」あれは面白いね。ああいうの、好き♪(とりあえず見てよ!笑)
28年後(現在)の祐作もやっぱり寡黙ではあるものの、この映画を現在の祐作の独白、という形で進行させているのでその辺りは上手にカバーしてる。現在の祐作演じた三浦友和、いいねぇ♪彼って百恵ちゃんと共演してた頃よりも中年になってからの方が断然いいね!本当にいい役者さんになったなぁ〜と思ったわ。
ラストで三浦友和がしみじみと語った、かつて雪子が祐作に向かって言った言葉。そして水田を演じるベンガルの男泣きする後ろ姿・・・もう涙なくしては見れなかった。久々のぴよ号泣! 美しい町、自然、そして甘美で切ない少年時代・・・何もかもがノスタルジックでジーンとさせる。 見て絶対に損はない!どうしてこんなにステキな映画が全国一斉ロードショーじゃないんでしょう!?
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