監督:ロルフ・シューベル 出演:エリカ・マロジャーン ステファノ・ディオジニ ヨアヒム・クロール、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 1930年代末のブダペストに一軒のレストランがOPENした。オーナーはユダヤ人のラズロ、そして彼の若く美しい恋人イロナが女主人として支える。レストランに華を添える為に名も無きピアノ弾きの青年アントラーシュを雇い入れる。 イロナの誕生日。アントラーシュは彼女の為に自作の曲『暗い日曜日』を送る。これがきっかけで2人は恋に落ちるが、決裂しそうな危うい関係は「別れ」ではなく、3人が共存する事で不思議な三角関係を保つ事となるのだ。 『暗い日曜日』はラズロの手引きで果たしてレコード化し、美しい旋律はたちまち大ヒットとなった。ところがこの曲を聴いて次から次へと自殺をする者が後を立たなくなっていくのだ・・・
【感想】 この話、実際にあった事を元に脚色して映画化しているようです。原作は1988年のニック・バルコウの小説。 もっとも実際にあった事というのは「暗い日曜日」という曲がブダペストのとあるレストランで出来あがった事、そしてその曲を聴いて自殺をする人が後を立たず、何度もご発禁レコードとなった事。 で?「暗い日曜日」ってどんな曲?って思うでしょ。ぴよもどんな曲だろー?と思ってたんだけど、え?これが!?・・・誰でも一度は聞いた事あるメロディーなんじゃないかな。映画中にも当然だけど何度も何度も流れて、見終わった後しばらく耳の中でリフレインしちゃって、ずーっと口ずさんでおうちに帰りましたわ(笑)
ラズロとアントラーシュ、2人の男がイロナを巡って三角関係になるんだけど、これがすごく不思議な関係で・・イロナは堂々と2人の男を渡り歩き、そしてラズロとアントラーシュは互いに慈しみ合っている。 3人でピクニックに行くシーンがあるんだけど、すごく官能的でいて、にも関わらず清純な感じすらする。 これはね、映画見てもらわないとダメよ。文字にするとすごく陳腐になっちゃう!!
時代は第二次世界大戦のハンガリー。この時代、ハンガリーにドイツが進攻して来て激しいユダヤ狩りがあったという歴史を忘れてはいけません。この映画も戦争が始まる直前にレストランにやって来てラズロに助けられたドイツ人ハンスが数年後ナチス将校としてブダペストに舞い戻って来る。 かつて折り目正しく精錬だった青年ハンスが時代と己の立場に翻弄されてみるみる醜くなって行く・・・ その中でこの「暗い日曜日」という曲のメッセージをアントラーシュが、ラズロが、イロナが、そして観客が体感するのよ。 もう・・・この映画ね、すごくいいのよ!急いで「暗い日曜日」のCD買いに行かなくっちゃ!!(苦笑)
ちょっと残念だったのはラストのオチ。オチが悪いんじゃなくて・・・映像で見せすぎな感じがした。 あの【薬ビンを洗うシーン】がなかった方がぴよは絶対によかったと思うんだけど。 あのシーンを付け足した事でオチが3流ちっくになっちゃった気がする。あそこまで絵で説明してくれなくても、それまでの展開で観客には充分に伝わったはず。そう思うと本当にあのシーンだけが惜しいぞ!!
この映画、どうして単館上映なんでしょ。もったいない。もっと沢山の人に見て欲しいんだけどなぁ〜!
|