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レンアイチュウドク
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2001年11月09日(金)
あなたを見つけました。

出会いは単純なモノで。

3年程前にさかのぼる。
ネット遊びをしているうちに「チャット」というモノを知る。
同時にいろんなヒトとお話できるこの機能。
初対面名の人との話しは苦手なアタシでも
ネットでなら気軽に友達になれる自分を発見する。

そして毎日チャットしてた。

時々同じメンバーと話す。

そのうち特定の人達と同じ部屋で話しするようになった。

そして

出会った。

彼と。



と言ってもあたしは既婚。
彼も既婚。


恋愛感情などまったくなく
ただただ毎日同じメンバーとチャットでバカな話しでもりあがる。
その中の一人。


毎日毎日その時間が楽しみになる。


ある日ただ繋いでたアタシに個人で話しかけてきた。

「ただ おもしろいから」

それだけの理由。

あたしもたまに見つけては話しかける。

「ただおもしろいから」

それだけの理由。


1対1で話す。


けれども いつものバカ話し。


お互いの胸の内 探りながら。
笑っているだけ。

それでも楽しい。

何も求める事はない。

楽しければいいんだ。



そんな日々がいつまでも続くと思った。


気が合う人もいるもんだな。
なんて。
自分の心に蓋をして。

なにかこみあげてくる思いを必至に押さえていたあの頃。


そんなやつらが大嫌い。
こんな駆け引き大嫌い。
世の中間違ってる。
いい加減なオトナだらけだ。
しっかり自分の意志貫けるやつはいないのか。


なんて 思っていたあの頃。






2001年11月10日(土)
彼の彼女。

しばらくは いい感じでおしゃべりを続けた。

どんどんメンバーの事知っていく。
そして彼の事も知っていく。

彼と私。

結構共通点があった。

なんだかうれしくなる。

お互いの事話始める。

一定の距離を保ったまま。



直に声が聞きたくなった。



かたくなに拒む彼。


かけてこなくてもいいよー。
なんていいつつ 自分の携帯の番号を簡単に教えてしまう。
誰でもイイカゲンに教えていたわけではないけど
他のメンバーにも教えてたし そののりで。
特定の女にかけてくるような事はしないだろう
という気持ちと、もしかしていつかかけて来てくれるかな。
という期待と。



かかってきた。

まさか。という気持ち。

異常に緊張した。

いつもはチャットで平気で話していたのに。
生の声は耳の奥から心臓へと響く。
やさしい声だった。
「本当はかけないと思っていたんだ」
なんて。
ちゃっかりかけてきてるじゃないの・・・。
緊張してうまく話せないのに。

「おもしれーなぁ またかけちゃおっかなー」
なんて。
思わせぶりな事を言う。
抑えて多モノがでてきそうだ。
何も期待してはいけない。
ただただ友達としての会話を楽しむ。

夜メールが届いてた。

電話をする前に書いたらしい。

”ネットで知り合った好きな彼女がいる。
現在進行形。電話をすれば逢いたくなったり
感情がでてきてしまうだろう。だから電話はしない”

そんな内容だったと思う。

それまでいっぱいになっていた思いが
さーっと引いていくのがわかった。

既婚だという事よりもなんだかショックだったな。
自分がちょっと特別に思えていた矢先の出来事。
チャット繋いでいたのも彼女を待っていたから。だった。

なんなんだろう。
この気持ち。

自分の気持ちそっちのけでなんか説教のメール書いた気がする。

「別れた方がいいよ。家族の為にも」

そんな事を言い合えるぐらい
もぅ自分の感情は無視の日々が続いた。

そう。あたしは良き相談相手として
彼に接する事を決めた日。

まだまだ自分の感情なんて消せるし
白紙に戻せる自信があった。

素知らぬ顔で過ごす日々。

彼に媚びたりするのはいやだったから
まっすぐダメなものはダメという人間になった。

彼女を思う彼を。

彼の電話を待ってても 待っていない振りをする自分を。

お互い違う方を向いていた日々。

ちょっと変わった日常に
もしかしたらあこがれていただけかもしれない思い。

自分の心臓の鼓動聞こえないように耳を塞ぐ日々。

それでもチャットは続く。
メールも送る。

友達として つまんない彼の彼女の話を聞く。



ある日 我慢していた感情が
心臓から飛び出し
この指からキーボードをつたって
発信してしまった。







2001年11月12日(月)
5月の空

彼の奥さんが第二子を身ごもった。

彼の彼女に話ししたらしい。
返事は「ちょっと考えさせて下さい」
だったそうだ。
「もぅ駄目かもしれない」
そうつぶやく彼に
「別れるなら今」
と助言したあたし。

心中は複雑。

彼女と切れて家族のモトに帰りな。

今のあたしにはこれが精一杯の慰め。

これでいい。これでいいんだ。と
自分自身に言い聞かせる。

友達としての当たり前の意見を
ただ並べる。

早く彼から彼女が消えますように。
祈りながら。



あっけなく2人の関係は終わったようだった。

あたしには詳しくは話ししなかったけど。
どうやらそのようだった。

また いつものように普通に会話する日々。

彼女と別れたからなのか
週に1回程度の電話が2回になり・・・・・・3回になり・・。


「あたしの事なんだとおもってんの?」

「んー・・・・君は・・特別。」

「なにそれ」

「話ししてておもしろい キャラ」

「キャラ・・・・ですか。」


いつか彼の口から何か言ってくれるのではないかと言う期待。
探り合う毎日。
でも彼の口からは何も出てこない。
あたしが期待するような言葉は。
暗黙の了解のごとく。
一線は越えてはいけない「友達」のぎりぎりのラインを。
時には楽しんで。
時にはさみしくて。
小さい駆け引きは続く。


逢ったこともない彼に。
なつかしさを覚える。


声と文字だけの彼に。

あたしは何を求めているんだろうか。


そして発信された。
精一杯の告白。


「本当は電話待ってる自分がいる。」


彼はとまどっていた。
多分。


これでもう電話こないかな。

なんて思うけど。
黙ってはいられなかった。
もう限界だったんだ。
この気持ち。

笑ってばかりはいられなくなっていた。


彼の反応ははっきりしなかった。
わかってた。
彼女と別れてまだ間もないし。
それ以前の問題。


それにあえて向かう自分がいたなんて

いつも自分からは行動しない。

特に男に関しては。

この年になってバカみたいだな。

ていうかバカだ。


何やってんだあたし。


でもこの雲がかかったような頭の中は
冷静さを欠き 5月の遠い空ばかり眺めている。





2001年11月13日(火)
かもしれない・・・。

探り合いの日々から1歩進んだ気がした。

始めて男に自分から歩み寄ったんだ。

怖かったよ。
もぅ今までのようにいかないんじゃないか。
ってね。

それでも彼は逃げるわけでもなく
やさしい。

いっそのこと 突き放してくれれば。
あれは夢で終わってたのかもしれないのに。

中途半端な気持ちのまま続く
ばかなおしゃべり。
核心に触れないまま。

それでも少しずつ少しずつ距離は縮まっていってる気がした。

暴走しはじめたあたしの心。

白黒はっきりさせたいこの性格が
もどかしい日々を
灰色にしようとしている。


いつしか逢いたいと思っている。

逢うと歯止めがきかなくなる気がして
必死にこらえる。

もぅ自分の気持ちすらブレーキがきかなくなってる。

お願い。
はっきり聞かせて。
そして安心させて。

結果が良くても悪くてもいい。
中途半端に期待しているこの気持ちに終止符を。

「好きなのかもしれない・・・」

ある時彼は言った。

きっと彼の彼女の事
家族の事

考えて考えて
ずっとうらむやにしてきた日々から
ようやく出てきた彼の言葉。

かもしれない・・・。
それでも灰色の日々から救われた気がした。

どちらかといえばきっと
あたしも 同じ立場だったら
そんな言い方していたかもしれない。

考えて考えた挙げ句の「かもしれない」

ずっと思ってた
似たもの同士だな。

育ってきた環境も土地も友達も
違いすぎるほど離れているのに

似ていると思った。
心の中。



それからの日々
メールには今まで我慢していた素直な気持ちを
書くことにした。


素直に接し始めると
彼もゆっくりと時間をかけて心を開いてくれた。

表現がへたくそなあたしは
好きな歌でさりげなく心を開く。

君の好きな歌。
あたしの好きな歌。

2人で好きになった歌。

伝えたい事が増えていくだけ
好きな歌が増えて
いっぱいになった。


もぅ良いのかな?



君とあたしはつながったのかな・・・・・・。



2001年11月15日(木)
暗黙のルール

静かな日々。
少しずつ彼の事を知っていく。

家族の事 昔の話し
いろいろ聞かせてくれた。

でもね聞きたくない事があったの。

今までの女性関係。

前から聞いてた話から想像すると
学生時代はかなり遊んでたもよう・・・。
イマサラ何?
って思うかもしれないけど
いらない事考えたくなかったから。

だから始めに約束したじゃん
「あたしに過去の事話ししないでね」って。

どーいう意味かわからなかったみたいだけど

だめなの。

つまんない事だろうけど気になるの。

いい年してまるで子供のような感情。

ほら。
・・・・・・・。
いわないこっちゃない。
ふつふつとこみ上げてきちゃう。

家族の事。話ししないのは暗黙のルールと思ってたけど
彼は普通に話しするんだ。
奥さんの事子供のこと。

あたしは少しずつ自分の家族の話は遠ざけた。
こんな関係の思いやりとして。

彼は気づかないんだ。こんな気持ち。

あたしに家族といる彼を想像させないでほしいのに。

もどかしい気持ち。
でも言えない。

「大人」なふりをする。

「大人な関係」でいられる為に
クールな振りをする。

よかった遠距離で。

電話だったら笑っていられるもの。

電話切ってから泣けばいいんだもん。


クールでいつづける為には

彼の前では泣かないでいようと思った。




2001年11月16日(金)
アントシアニン

初夏の風は気持ちよくて
海に近い場所で暮らすあたしは
よく海にいくようになった。

彼の好きな海。

お互い見ている海の景色は違えども
どこかで繋がってると感じる。

ぼーっと海を眺める。
1日たりとも頭から彼を忘れる事はない日々。
まだ写真でしか見たことのない人に
なぜ日ごと思いがつのるのか
自分でも不思議でならない。

外見ではない中身から始まる関係。

見えない相手だからこそ
自分を知ってもらおうと
良く思ってもらおうと
暗中模索の日々。

どんな顔で笑うの?
どんな顔で話しかけてくれるの?
どんな手であたしを包んでくれるの?


いつしか
「逢ってみる?」
なんて聞かれるようになった。


まだこの時は絶対逢わないと決めていた。

家族に対するあたしなりのけじめとして。

そしてまだ彼をどこかで信じていない自分に対して。

これが恋なのか愛なのか
確信もないまま
ただただ惹かれていく彼の存在が
まだなんなのかはっきりしていない自分
海に漂流する藻屑のように
ゆらゆら流れるまま流される
たどり着くのは何処なのか。

そんな中途半端な気持ちで逢う事なんてできないよ。

「逢いたいけど逢えない」

わかってくれるかな。

ふれてみたいんだよ・・・・。あたしだって。


でもこれだけはわかって


もぅあたしは彼のアントシアニンで
真っ赤に染まってるの。







2001年11月17日(土)
月夜

ただ愛おしく思ってた日々。
先の事など聞きたくなかった。
考えたくなかった。

ただ今の現実が満足のいくものであればよかった

そう 自分に言い聞かせていた。

刹那的思考。

クールな女はそうでなくてはいけない。


ある時 なんともいえない感情を覚える。
いや わかってたけど目を背けてた部分が
出てきてしまう。

暗闇に落ちたような
ひとりぼっちの感覚。


もちろんひた隠し。


いつもの電話がおわった後 孤独感と戦う。


これから彼は家族の元へ何もなかったように帰るんだろう。
家に帰るとかわいい子供と奥さんが出迎えて
あったかい食卓で1日の出来事話するんだろう。
きっと彼はいやがる事もなくいつものように
やさしい笑顔で答えてる。


こんな想像。

やきもち。
独占欲。

醜い部分が顔を出す。

あたしは一人さみしさと戦う。
誰もいない夜は泣けるだけなく。
我慢するとひきずるから。
一番底まで落ちてまたはい上がる。
その繰り返し。

彼との距離のバランスを保つため。

次の日また平常心で彼と会話するため。



「月の綺麗な夜は空をみようか」


二人の距離を埋める月。

月はどこから見ても一緒だね。

少しは夜の孤独から抜けられそうだよ。



ある日電話の途中

「ねぇ、今、そっちから月みえる?」

「みえるよ。綺麗だね」

一緒に見てるんだ。
同じ月。
同じ時間に。

それだけの事。

それだけの事なのに涙がとまらなくなった。

彼の前では泣かないと決めたのに
気が緩んでしまったのか・・・・。


ちょっと失敗。


ちょうどいいというか、彼の携帯の電池がそこできれてしまった。

よかった。
なんとかばれないですんだと思った。

なのに・・・彼は公衆電話を必死に探しまたかけてきたくれた。

「大丈夫?」

「・・・ごめん 大丈夫だよ」

・・・・・・・・・・。


ばれてた。



このあたりから彼は
少しずつ変わっていった。


少しずつやさしくあたしをつつみ込むように。


暗闇を怖がらないように。


そしてあたしは安心して眠る。



















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