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2001年11月19日(月)
彼女復活?

ひまわりの頃
あたしの誕生日がきた。

始めて迎えた誕生日。

だからといって一緒に過ごすわけでもなく。
ただ遠くからおめでとうのメッセージを貰う。
メール見たらガーベラの花束の写真が届いてた。

よく覚えてたな・・・ずっと前にあたしが言った好きな花。

かわいい写真。

あの彼がこのかわいい写真探して送る姿もなんだか楽しかった。

彼なりの気を使ったプレゼント。
花の香りやあなたの笑顔は届かなくても
すごくうれしかったよ。
その気遣いが何よりのプレゼントです。



相変わらず友達みたいなつきあいで
それはそれで良かったんだ。
電話でばかな事話して笑ったり
愚痴ったり。
このままこの状態が続いてくれれば。



「このままで満足できるの?」

なんていう自分自身の問いには目を瞑って。



彼の誕生日はちょっとの差であたしより遅かった。
ずーっと前に聞いてた日にちしっかり頭にインプットされてたので
その日はいつもは言えない言葉伝えようといろいろ考えてたんだけど
あたしの少ないボキャブラリーでは何一つうまく伝えられなくて
結局でたのが「ダイスキ」という言葉。

ちょっと・・恥ずかしかったけど。
電話では到底言える言葉でもなく。
パソコンから伝えただけ。
なにやってんだ・・・アタシ。
ガキじゃないんだから。
どうにかしろ。

もっと気の利いた事したかったんだけど。

制限がありすぎる。
距離が遠すぎる。

ほんとにありのままを言葉で表現するしかなく。

でもすごく喜んでくれたみたいだった。
彼がうれしいとあたしもうれしい。
また一歩進歩したような気がしてた。




なのに。

別れたはずの彼女からメールが届いたらしい。
誕生日に。
アタシには言わないでおこうと思ったらしいけど。

彼女はちょっと考えさせてください。
と言って彼の元を去ったらしいけど。
どうやら考える期間が終わったらしい。
別れてないと思ってるらしい。



「どうするの?」
あたしの問いに
「ちょっとまっててくれないか。」
という彼の答え。


もぅだめだと思った。
ちょっとってどれぐらいなの?
なんて事も聞けないまま。

あたしは繋ぎだったのかよ。
彼女が戻ってこれば はいさようなら。だったのか。
頭の中がパンパンになった。
あんなどうしようもない奴。
本当は最も嫌いなタイプのはず。
自分がばかみたいに思えて。
一人舞い上がってた気がする。
考えてみれば彼女と駄目になってまだ5ヶ月か。
その間にすでにアタシとこんな関係になってる彼を
どう信じたらいいのか。



自分が今してる事。
彼が今してる事。



考えて。



ひどく落ち込んだ夜をすごした。








2001年11月20日(火)
自信過不足

あっけなく次の日彼は電話をくれた。

ちょっと気が抜けた。

多分・・・しばらくはかかってこないと思ってたから。

「もぅ大丈夫だから。終わったから」
と彼は言った。
電話したんだね。
彼女とけりをつける為に。
どんな話しをしたかなんて
聞けるわけでもなく。
とりあえずきちんと別れた上で
あたしと向き合う気のようだ。

ありがとう。



恐縮しているのに・・・。

彼女の事話しだす。
まったく・・ワカッテナイ。
そういえばまだ彼女と続いているとき
「すごい美人なんだよ 背が高くて・・・」
なんて聞かされてたんだよな。
へぇ・・なんて聞いてたけど。

「考えさせて下さい」期間の間に彼女は海外へ留学し
スキルアップを図ったらしい。
そして帰国。
心機一転 彼に連絡をとる。

すごいな。

あたしにはできない。
かなわないと思った。

彼は自らを高め向上していく人が好きだ。

うれしそうに話ししないで。

どんどんみじめになっていく。

ちっぽけな自分が。

そして何の自信ももてていない自分が
彼からのまっすぐな視線をさけてる。


「もう安心していいよ。ごめんな。」


なんて言われても自分に自信のないものが
どうやってこんな遠く離れたところで安心していられるの?
何一つ満足にできていない。
自分の事すら制御できないこのあたしが。


「自信をもっていいんだよ」


あなたは言う。
何度でも言ってくれる。


けど だめなんだよ。
何度言い聞かせても 弱い自分がいる。
もっと強くなりたい。
自信を持って歩きたいと願う。


自分に自信がもてたら 
まっすぐ向き合えるようになったら
きっと君と逢えるような気がするよ。








2001年11月21日(水)
ハチ公

自暴自棄なあたしを彼は慰める。

いろんなやさしい言葉をかけてくれる。

それなのにアタシは
「守れない約束なんてするな」
と彼を傷つける。
例え守れないとしても 言うぐらいいいじゃんか。
彼のやさしさに素直になれない。

1対1で向き合いたい。

そんな願いもむなしく 
彼は今 重要な場所にいる。
家族においても社会においても。
身動きのとれない場所にいる。

わかってる事。
言えないこと。
言われない事。

仕事の忙しい彼の連絡をアタシは 待つだけ。
飼い主を待つ犬のように。
ただじっと電話をみつめて。
いつでも彼からの連絡受けれるように。
環境を整えておく。
いざというときの対応も抜け目なく。

ただただ彼の声が聞きたくて。
恋いこがれて。

忘れていた何かを思い出したくて

自分が女で在るために

非日常に酔う。



2001年11月22日(木)
日向ぼっこな日々

信じてくれ。と彼は言う。

信じたいけど まだ 半分も彼を信じていないアタシがいる。

これでもいちおプライドあるんだよ。
女としての。
あとは 実際にあなたにふれた事がないから。

でもほとんどを締めてるのは
「自分に自信がない」という事。

とにかく何か。
自分に自信がつくもの見つけたくて。
そしてあきらめて。
結局はやる気とそれを実行する行動力なんだけど。
適当に毎日過ごしているアタシにとって
「何か」とはいい加減なモノで
結局やりたい事も 行動力もなく
ただ年齢をかさねていくだけ。
自分の価値をどんどん高めていく同世代を横目に
うらやましがって指をくわえているだけ。

アタシにできる事はなんだろう。

他の事を新しく始めるよりも
今の生活を充実させようと思った。

家の事も手を抜かず
仕事もやれる範囲でこなして

今までただしばっていた髪をほどき 伸ばし始めた。
彼が髪の綺麗なヒト好きだから  綺麗に長く。

・・・・・・・・昔のアタシじゃ考えられないな。こんな事。

好きな人の為に何かをがんばるっていうの。

なんか気恥ずかしいっていうか。
「自分自身の為に」が主で
好きな人の為に服の趣味が替わったり髪型変えたりするヒトを軽蔑してたし。
自分は自分だよ。
今のあたしが嫌いならどーぞ勝手に。
と思っていたのに。

どうしちゃったんでしょうね。
まったく情けない。

いくら面倒臭くても いつも自分自信を内面的にも外見的にも
磨く事に努力した。
限界があるだろうけど できる範囲で。

彼があたしから目を離さないように。

彼がアタシを変えていく。

そんな日々が心地よくて

ずっと眠っていたいような。

彼のひざの上でひなたぼっこする猫のような。



そんな夏の日を過ごしていた。





2001年11月23日(金)
意思は弱い。

逢いたい気持ちがどんどん押し寄せてくる。

電話の度に逢いたいのに逢えない理由を繰り返す。
自信のない自分のイイワケ。

実際逢って幻滅されたらどうしよう?
そんな事ばかり考えている。

そんな事ないから。

彼は言うけど。

だいたいネットで知り合ったヒトと逢う事自体
ちょっとちがうわ。とか。
まだまだ信用しきれてないとか・・・。
そんなことばかりブツブツ繰り返す。


心のどっかでは決心ついてるのに。




もぅいいや。



結局あたしはあたしでしかないんだ。
ありのままのあたしをみてもらおーじゃない。


かたくなに逢わないと言っていたアタシの意思は



弱かった。



・・・・・・・・・・。


目がぱっちりしたのすきなんだっけ?
あたしはいつも眠い目してるわ。
肌の綺麗なの好きなんだっけ?
夜更かししすぎてぼろぼろよ。
色白はだいたいあってるわね。
やせ型っていうよりはやせすぎなの。
胸もないのよ?
髪はのばしかけ。肩より長いくらい。

外見ばかりを気にするあたし。

そんなんで好きになったわけじゃないだろ。

という彼。

わかってるよ。
わかってるけど
少しでも彼に近づきたくてリサーチしてんじゃんかよ。ばーか。



結局・・・・・逢いたい気持ちにはかなわず。

奥様が出産で実家に帰ってる間に逢うことになった。

なんだかそーいうのって好きくない。
しょうがないんだけど。
彼が自由になるのはそんな時ぐらいだから。

オフ会という事で4人で逢うことにした。
2人で逢いたいという彼に
壁をつくってしまうあたし。
とりあえずは・・・・みんなで盛り上がれば。
そうじゃなきゃあたしの心臓が
どっかにぶっ飛んでいきそうだったんだ。

緊張して緊張して体調壊すぐらい。

・・・・・・・・・・・。


駅で待ち合わせ。

携帯が鳴る。

彼だ。

「いまどこ?」

電話で返事するよりも早くあたしは彼をみつけた。

初めて逢う彼なのに
遠くの人混みから歩いてくる彼を
あたしはすぐ見つけたんだ。
視力あがったのかな・・・・。
ぜったいあのヒトだ。って思った。

背が高い。
猫背ぎみにべったらべったら歩いてくる。
思ったより見た目が若い3つ上の彼。
にっこり笑いかけてきた。

正解。

今にも飛び出して来そうな心臓。
ばれないように。
第一声は 
「どこみてんだよ」
・・・・・たしかそんなかんじ。
その時だけであとは目合わせられなかった。

彼の視線を感じながらぎこちない会話がつづく。

とにかくしゃべり続けていたような気がする。

・・・・・・・・・・・・・・。

またやっちゃったかな。


うるさい女って思われているかな。
行儀がわるいって。
男っぽい言葉使いで。
がさつで。


結構これでもいっぱいいっぱいなんです。


ぁーぁ・・・本当はクールに行きたかったのにな。


初対面でこれじゃぁ彼もあきれますね。


どぅ思ってるんだろ・・。



彼を盗み見しつつ・・・宴会はつづく。








2001年11月26日(月)
ピアス

一息ついたところで
「ちょっとこい」
と外に呼び出しされた。
2人の事情はしらない友達の前で
ちょっとあせったけど・・・・
「なんだろーね・・・」
なんて出ていく。

車の中をごそごそしている。
そして出てきた小包。

「ほら」

恥ずかしそうに手渡された箱その場で丁寧に開けた。
ちょっとだけ手が震えているのを隠しつつ
暗闇で車のルームランプを頼りに中をのぞき込む。
彼らしいシンプルなシルバーのピアス。
すごく嬉しかった。
買い物嫌いの彼が一人でこれを買ってきたのかと思うと
おかしかったけど。

「適当に選んだ」

なんてすこし怒ってるようにも見える照れ隠しの顔。
ちょっとだけ触れた手と
夜の静寂と
ぎこちない間と 

どうにも2人とも照れてしまって
結局ありがとうだけ言ってまた中に入った。

キスぐらいするかと思ったのに・・・。


何事もなかったようにまたおしゃべりは始まる
あたしはこっそり部屋にいってピアスをしてみた。
髪で隠れてみえなかったけど
一人うれしくてまいあがった。

移動で疲れ切ったあたしたちはその夜
別々の部屋で眠った。






わずか数メートルの距離に彼を感じて。











2001年11月27日(火)
距離

朝すごく早起きしたと思ったのに
もぅすでに彼は起きていた。
「おはよー」
・・・・・・。
いっぱいいっぱい元気に挨拶してみた。
本当は朝は苦手なんだけど
思いっきりテンション高かった・・・。
寝起きの彼の顔もしっかりチェック。
なんだかうれしかった。
すっぴんでまともに会話もできず
とりあえず・・・化粧をした。

たしか日本列島は台風まっただ中のはず。
なのにすごいいい天気。
あたしのうかれぽんちは台風まで遠ざけてしまったようだ。
さっそくドライブにでかける。
もちろんみんなで。
避暑地の木々も風も空気も異常にきもちよく綺麗に見えた。


それからみんなでボーリングをした。
うまくいった時勢いづいて彼と手を合わせる。
大きい手だな・・・。
離したくないけどすぐ離す。
またうまくやろ・・・・。
そしたらまた手あわせられる。

・・・・・なんだか中学生レベルだ。
どーしちゃったんだろ。
こんな事で舞い上がってる。
楽しくってしょうがないんだ。
君が側にいること。
笑顔みられること。
ふれられること。
やっぱり逢ってよかった。

ほんの数センチの隙間が
いままでの涙もさみしさも
みんな消してくれる。

このままずっと笑っていたいね。

この瞬間だけは
すべてを忘れることができる。

せめて今だけは。

あたし一人を見ていてほしいよ。




エンピツ