じわりと
足音を忍ばせて
僕に忍び寄る
夏の魔物
誰かを失うのも
誰かに出会うのも
楽しかったのも
悔しかったのも
いつだってそれは夏だった
きっと
もうすぐやってくる
意地悪そうにやってくる
過ぎていく過ぎていく
君に触れた感触が
まだ僕の意識をマトモに保つ
君が居てくれないと困るんだ
眠れない夜に君を思う
どうか幸せな夢を
出かけよう 君の居ないこの町
どこへ行っても同じだから
月照らすいつもの路を
水辺の音が心地良いあの路を
同じ夜空の下 きっと君が安らかな夢を
同じ夜空の下 きっと君が安らかな寝顔を
ただひとり 膝を抱えて
あなたからの冗談が
とんでもなく耳に障る
やめてくれないかな
どうせ 冗談だと笑うくせに
臆病な僕をからかわないでほしい
ただでさえ眠れないのに
君は寂しくしてはいないかな
近くに居れられたら良いのに
とてつもない焦燥に
眠りまでの路を阻まれる
何もなく何もなく
ただ立ち尽くすだけ
この手には何もなくて
それを知っているのに そのはずなのに
ときに ふ と
この身ひとつ消えても
世界が変わらない事に
気付いてしまう
このまま眠りに落ちようが
ふらりと外へ出ようが
この世界にはまた朝がくるのだ
朝日の中で
僕が生きている必然性は?
生きる意味なんてなくても生きられるし
悲しむ人の存在だって知っているし
すべて分かってる
分かってるんだよ
けれど けれど
何にも届かない腕が恨めしくて
きっと首を吊るならこんな夜
雨音が聞こえる…
揺れる窓 何度も見た並木
時刻表の見方を覚えた僕は
ふらり
解き放たれる
改札を出て人を探す
目が合って「あ」という瞬間
他に何も要らない錯覚 幻覚
線図の見方を覚えた僕は
ぼんやり
街を彷徨う
路上に出て道を探す
どこへ どこへ向かうのだっけ
一人 迷いながら君の町
一人で目的地まで着くことに慣れた
呼ばれれば何処でも飛んでいける
知らない街でも そこに君が待っていれば
切ないのはただ帰り道
別れ 手を振って ひとり
1、2、の3で目を閉じて
僕の声だけ聞いて
僕の声だけ聞いて
君は僕が好きになる
僕なしでは生きられなくなる
君の5分の3くらい僕で満たしてあげる
君を苦しめる物は何?
君の求める物は何?
僕に教えてよ
1、2、の3で目を開けて
僕の目だけ見て
僕だけ見ていて
僕は君が好きになる
君の居ない世界など要らない
僕のすべて君で満ちているから
もう何も要らない
もうこれ以上何も無い
君に溺れていもいいかな
ねえ僕の愛しい人
1、2、の3で目を閉じて
そっと唇重ねるから
そう
そんな軽い気持ちで
君の事を好いていたわけではなく
僕が彼にほどこしたアドバイスで
うまくいっちゃった君たちの姿を見かけるたびに
純粋に応援したい友情と
渦巻く嫉妬の嵐の間で
わずかばかりの自失を味わう羽目になる
別に良いのだけれどね
もう昔の事
ただ
あの頃抱いていた一過性の幸福感や
忙しい中にも充実した
暖かくくすぐったい気持ちが
不完全燃焼
無残な燃えかすが居心地悪いだけ
そんな軽い気持ちで
君の事を好いていたわけではないのだ
雷鳴の大雨くぐりぬけて
気が付けば外は曇りのち晴れ
辺りを見回す
そこは貴方の町に近く
うたた寝の僕を乗せて
バスはひたすらひたすら南下しており
人生二度目 貴方に会いに
トンネル抜ければきっとそこには
貴方はいつも僕を支えてくれて
心配してくれて
まるで僕のようで困ったね
今日は貴方に会いに出掛ける
曇り空の下 物語の2人が出会う日に
もう二度と会えなくなった人を思う
そして今会える人を思う
あの2人は毎年 会うことを約束されているのに
ほんの364日 待てばまた会えるのに
何日何年待っても 君に会えない僕は一体?
そしてそんな僕に 静かにそっと優しく
手を眼差しをくれる 君たちにあなたたちに
どれだけの言葉を尽くせば この感謝が届くだろう
めぐるめぐる天球の輝きの一つ一つ
降り注ぐ生命のかけら
どうかあなたたちに幸福のひとひらを
大家六千次来這儿看看、真謝謝。
万事快楽如意!
管理人
一つ空けた隣に
ひっきりなしに煙を吐き出す君が居て
帰る頃には僕の
シャツがセブンスターの香りを覚えている
なあ?
君の香りを持ちかえって
僕にどうしろと言うのだ?
隣にいるのに触れられない君よ
非日常の幕が降りて
人々は終電を思い出すのに
僕はまだ君の横顔が忘れられない