こんばんは、管理人です。6月に入りまして、梅雨入りした地域もあるようです。
いつのまにか、オールリストを表示させるとものすごい大量の駄作が出てくるようになってしまいました…。いまから見れば赤面ものの駄作中の駄作もあれば、何か乗り移っていたかのような妙が垣間見えるものもあり…。うーん…。僕も成長、して、いるのでしょうか。エンピツユニオンにも登録しまして、そちらからお越しくださった方からメールを頂いたりもして、うあぁぁぁぁ、と頭抱えつつ嬉しさと恥ずかしさに板ばさみです。あ、いや嬉しいのでメールください。どんどん板ばさんじゃって下さい。
しかし、どうも最近、スランプというか、物がかけない。書こうとしてもまとまらない、読み返したとたんに溜息をつきたくなるような失敗作になっている、何言いたいのか分からない、ただただ只管に納得のいくものが書けません。まいった。今日はちょっと機嫌が悪くてササクレだっていて、この衝動をエネルギーとして何か散文めいたものを書こうとしていたのですが断念。なんだよこれ。わけわかんねーよ馬鹿。もっと他にないのかよ。と自分で自分を罵ること多少。もういい。寝よう。近頃創作の割合が高くなってきていたからなぁ。
「気持ちの問題」とは良く言ったもので、物でも金でも事実でも理性でもなく、気持ちの問題というものが確かにあると思う。正しいと分かっている、金や物でどうこうする気はない、しかし、しかし、どうしようもなく納得のいかないのは気持ちの部分。そういったものに対処するには、細やかな言葉だったり態度だったり視線だったりするもので、その一言あるかないか、振り向くか否か、そこに居るか居ないかといった単純かつ些細なことで結果がまったく異なる。ありえないくらい傲慢で我儘で自己中心的な考えだなんてことは重々承知だけれど、やっぱり承知しているかどうかと気持ちの問題はまったく別である。
そういった事に気づけるかどうかというのがきっといい男の条件でありいい女の条件なんだろう。お前、あんまり油断してるとそのうちキレるぞ、俺。ああ腹が立つ。なんだよお前。信じらんねーよ馬鹿。隣にいんの誰だよ。人の苦労無駄にしやがったらまず一発入れるからな。覚悟しておけよ馬鹿。
………落ち着け、僕。
手に入れた幸福にかまけて油断してみすみす波を起こすような真似は許せん。僕を犠牲にして手に入れた幸福だろう…? 自分ら自身で壊れるなら仕方ないが、盲目や不注意による崩壊なんかするなよ。もうちょっと危機感と、現在地点に対する自覚とを持ったほうがいい。一番大切なものは失くした時気付く事が多い、なんて昔からずっと言われているのに、まったくその通りで、実際に自分が失くしてみて初めて分かるのに。気付いてからじゃ遅いんだよ。…とはいえこれを伝えたい相手はここ見てないわけだが。まだちと腹が立っているのでしばらく様子を見ながら黙っていてやる。
杞憂なら良いんだ、杞憂なら。ただその甘えに似た油断が気に入らない。
今年の夏は、日数は短くてもいいから旅に出たいと強く思う。
半分以上愚痴になってしまって申し訳ないです。でも、たまには許して下さい。すみません。一晩寝れば機嫌などリセットされるタチなので明日には復活してます。スランプから抜け出せるかどうかは分かりませんが…。強い衝動や感情や意識といったものを言葉という媒体でどこかに書き付けたいだけなのですがねぇ。そしてそれを読んだ方も同じような(あくまで「ような」)衝動や感情や意識に触れられたらそれで最上。ただ、形のない脳内の何らかのものを言葉に変換できた時点で僕の捜索の欲求はほぼ満たされる。それを読んだ人がどう感じようとそこは問題にならない、というのが根本的なスタンス。しかしそれさえうまくいかずに、自分の内面さえ言葉に変換できない。分からない。もっと他に何かあるはずなのに…。模索はまだまだ終わらないのです。
よく分からないお喋りに付き合っていただき、ありがとうございました。そしてごめんなさい。文芸作品として以外で、読み手をうんざりさせるような散文など書きたくはないのだけれど、その前にこのスペースは僕の掃き溜め場として有用でありどうしてもどこかにアウトプットしたかったので利用させてもらいました。
僕は、ほんとうは、そんなきれいな人間じゃないのです。
偽善も嘘も全部
何もかも飲み込んでしまって
気持ち悪い、嘔吐感
消化できるわけないだろ
そんな残酷な話
昇華されるわけないだろ
そんな馬鹿な話
どうしよう
誰か助けてよ、お願い
携帯電話のボタンに祈り託す
どうか僕を助けて
ただひとときの快楽がほしいだけ
きっと明日は雨だから
どうしようもなくどうしようもなく、きっと僕はただ淋しいのだということに気付いて驚いてみたりする。ひとりの時間が好きで、ひとりで黙って音楽を聞きながら木陰を散歩したり本を読んだりキーボードを打ったりするのが大好きな僕は、それでも誰かの手に触れたいと心から望んでいるんだ。笑顔のかわいいあの子は最近とてもキレイになった。どうしてかって、それくらい知っているけれど。みんな幸せそうに笑っている。あの子だって今日は「お疲れ様です」と微笑んで言い残してはやく帰ってしまった。あんまり見ないけれど来週の会議の準備はいつやっているのだろう? そんなにあの創作に根を詰めている彼氏が好きなのだろうかとぼんやり、あの男はどんな風にあの子を愛しているのだろう。どんな風にあの子は喜ぶのだろう。嗚呼。思わせぶりな発言をしてそのままのあの人は、あの人は、僕なんて知らない世界で研究に熱中している。そんな後姿をずっと眺めていたいと思ったり思わなかったり。
悶々としながら、君の家の前でバスを降りて君を驚かせる事もなくぼんやり終点で降り立っていつもの本屋で探し物。偶然に知人に出会って驚いた。どうやら誰かへのプレゼントを探しているようで、空中写真の本をキープしているそのセンスはなかなかだと感心。僕は特に収穫もなく、彼らと夕食を共にするとやっぱりそれなりに気が晴れて、ふと気付けば僕は笑っている。どうしたというのだろうか、あの鬱々としたやり場のない、雨雲の変形したような厭世感は、少し軽くなっていた。
ひとりは好きだけどきっと孤独は嫌なんだろうと思う。誰からも、こちらが好意を寄せる相手からも意に介してすらもらえない、視野に入れてもらえない、今一体どこで何をしているのか僕には分からないという状況、ましてや一時期は僕にだけは分かっていたというのが拍車をかけ、しかしそれにすら慣れてきてしまっている自分が一番嫌いなのだとも思う。隣に誰かがいなくても平気になってしまった。あいつとあの子が今頃もしかすると仲良く平和にテレビでも見てくつろいでるのかもしれないと思ったところでやりきれなくなって涙することもなくなった。そんな程度の好意だったわけじゃないのだが時間というのは万能薬で、どんな思いだって希釈してしまう。そしてそれは拡散する一方で決して収束なんてしない。熱力学の法則の何番目だっただろうか。それでも希釈すると薄くなったそこには簡単に他の何かが流れ込んできてしまう。孤独に対する恐怖であったり、別分野への興味関心であったり、不思議な事にまた君への恋慕だったりするから可笑しな話。
しかし今やはり僕が欲しているのは、誰かの眼差しであったり笑顔であったり寄り添う肩であったり、あるいは酔いと眠気をもたらしてくれるアルコールだったりする。きっと車が出せたら海に行くのだろうなと思う、雨が降る前の夜。
狂った感覚
見えない目、聞こえない耳
時間さえよく分からない
君と出会って話してそれから色々
長かったみたいでまだほんの一年ちょっと
狂わせたのはいったい何?
触れられない手、話せない口
どこに居るのかすら分からない
歩けない足、動かせない頭
君の名前は何だっけ
君の名前は何だっけ
ただ季節の変わり目に
立ち止まっては空を見る
あの時の僕と君
白い雲に映し出されて流れていく
さよなら、さよなら
僕はもう歩けないんだ
何度目かの夕日を見送る、立ち尽くす、涙を流す…
ねえ、どうすれば正常を所有できるんだっけ?
見えない目、聞こえない耳
動けない身体、痛む身体
すべて失くしてしまいたいのに
一人で起き上がるのにはとてもエネルギィが必要で
時計も見ないでまた布団を被ってしまった
体温の染みた布団はあまりにも優しくて
泣きそうになってしまった
雨の音がまるで心まで濡らしたみたいで
窓際のベッド ぼんやり何も考えずに寝返る
他の誰かの体温を思い出してしまっても
もう泣くこともできない僕
耳に残る声
この手が覚えている髪質
やらなくちゃいけない仕事
でもここに居ない君
そしてその意味
一人で起き上がるのにはとてもエネルギィが必要で
時計も見ないでまた布団を被ってしまった
体温の染みた布団はあまりにも優しくて
泣きそうになってしまった
触れることが怖くて
君の柔らかな手や頬や髪や肩
そして心
いつも寸止め、触れられなかった
止まない雨空見上げて
濡れる顔 伝う雫
笑って傘貸してくれる君は
今此処にいなくて
緑鮮やかなこの季節に
どうしてもまだ慣れない
君がいないこの世界に
どうしてもまだ慣れない
淋しさとか
後悔とか
知らなかったあの頃に
戻ってみたいけど
君を知らない僕なんて
一体何を糧に生きていけるのだろう?
ねえ
今日も元気に生きていますか
ねえ もうやめよう
やめようよ
君を見ていると思い出してしまう
君はあの頃の僕だ きっと
伝わる 痛い程に伝わるその愛は
かつて僕が抱いた感情そのままだから
きっといつか暴走するだろう
僕にはとても痛い思い出
どうしてそんなに好きなのさ
よく考えて 考えて お願いだよ
ねえ?
でも困った事に
僕だって経験者 同じ道を歩んだ者
痛いくらいにその思い
…胸を蝕む
狂うんだよね
苦しいんだよね
好きで仕方ないんだよね
声が聞きたくて 言葉がほしくて
でも媚びるのなんて絶対嫌で
どうすれば振り返ってくれるのかなんて
ずっと考えてる
一言や目線や手の動きぜんぶ気になって
相手の胸のうちに他の誰かの存在を知って
それも己の親しい同性だと知って、なお
好きで仕方ないんだよね
痛いなぁ
まるでかつての僕を見るみたいで
痛いなぁ
痛いなぁ
ねえ もうやめたらどうかな?
そうじゃないなら
お願いだから
どうか
僕とは違う幸せな道を
どうか
歩んでください
ねえ? 僕のかわいい後輩へ
「タバコのにおいがするよ」と君は言う
雨 くもり たまには晴れたら? しかめっ面
かわいいと言われてはにかむキミに恋慕
給料日より大切なんじゃないか 誕生日
「○○先生」驚いたけどやっぱりそうだ
そういえば市役所行ってこなくちゃならん
「減煙すれば」「そうだね」「どうせしないだろ」
好きなもの ピタゴラスイッチ 暇な午前
創作はね全て模倣から始まるんだ
「へぇ」「うわ」「おー」 感嘆詞しかでてこない僕
またひとつ 伝えたい言葉が ふえました
そしてまた 見せたい景色が ふえました
「きみとぼく」を「ぼくたち」わざと言い間違える
僕はただ静かに暮らしていたいだけ
ナタは私の子。不思議な生まれ方をしたけれど、ナタは私の子。夫や、家のものが実は気味悪がっているのを私は知っていたけれど、それじゃあ私がナタを愛さなくて誰が愛するのだろう。子供は敏感なもので、私以外のものにはなかなか懐かない。夫でさえそうだった。
「ちょっと淋しいわね、ナタ」
「母上がいるから淋しくはありません」
「そう? ありがとう」
小さな手が、私の指を握って、微笑んで言う。愛しい愛しい、私の子だった。元気一杯で走り回ってばかりのナタだけれど、今日は私と一緒に散歩をしているのだった。遠くで兵士が訓練をしている声が聞こえる。私の夫は彼らの指揮官で、ということはあちらに夫がいるのだろう。父上のお仕事を見に行こうか、とナタに尋ねると首を横に振る。やっぱりこの子は夫に懐かない。それがちょっと私の悩みだった。夫は夫でナタを可愛がらないし…。
と、ナタが私の指から離れて、走り始めた。子供はこれだから可愛いと思う。予測つかない行動は、その未知の可能性を示しているようで。ナタのお兄さん達もこうだったわね、と家に居ない長男と次男を思い出しながら後を追いかけてみた。子供の足とはいえ、ナタは普通の子供より足が速く、私も小走りになる。すると突然、私の耳に誰かの歌声が聞こえてきた。
川辺に一人の人が居り、その人に向かってナタは走って行ったのだ。そしてその人は――麗人は、あの子守唄を歌っている。
「…こんにちは、ナタ」
「?」
ナタが不思議そうに首を傾げるのが分かった。私は今までこの麗人にニ度出会った。一度は夢の中で、一度はナタが生まれてすぐに現実世界で。この麗人、いや仙人さまは、私のお腹に居た肉塊に命を吹き込んで下さったのだ。しかしナタは知らないはずだ。
「元気そうで何よりだよ、殷氏」
「ええ、おかげさまで…ナタも私も健やかに暮らしております」
「母上の子守唄…」
ナタが呟く。そう、あの日夢で聞いた子守唄を、私はナタに聞かせてきた。今まで知っていたどの子守唄よりも、深い愛情が感じられたその歌を、私はナタに聞かせてきたのだ。その歌をこの仙人さまが知っていること、ナタは驚いたのだ。仙人さまも破顔して答えた。
「これは…愛する人への歌だからね」
そう言われるとなんだか照れくさいけれど…第一印象よりずっと親しみのあるこの仙人さまは、穏やかに笑ってナタを腕に抱いた。私以外に懐かなかったナタは、特に嫌がった様子も見せずに大人しくしている。それどころか、子供ながらの好奇心で、不思議な衣服や美しい髪にぺたぺたと触れている。それに気を悪くした様子も見せないこの仙人さまを、私はとても敬愛していた。とてもいい人なのだ。本来なら平伏するべきところを、忍びで来ているから正体がバレては困る、どうかやめてほしいと還って頼まれてしまったくらいだ。
「一種の親心のようなもので…ついナタの様子を見に来てしまった。ナタが幸せだと私も嬉しいから」
「そんな…。是非いつでもいらして下さい」
「ありがとう殷氏。…ナタ。母上が好きかい?」
「大好きっ」
「うんうん。良かった」
会話を交わすほどに、この仙人さまの茶目っ気が見えてきて、つい私は笑ってしまう。はじめ、あんなに圧倒されたのに。人は、いえ仙人さまも、子供の乳くささに変わられるのだろうと勝手に納得している。
「殷氏。何年かすれば、この世に戦乱が訪れる。その時に我々は、あなたのお子さんの力が借りたいのです。遠くない時、私はいずれナタを迎えに参りますが…その時までどうか、この子を慈しんでやってはくれまいか」
少し押さえられたトーンで、改まった口調で、急に真面目な話。そうなのだ、この子は、ナタはいつか私の元を離れていく命数にある。けれどナタは私の子だから。だから。
「もちろんですわ」
私はにこりと微笑む。そして、ナタに向かって手招きする。
「ありがとう。それと…すまない」
ナタは仙人さまの腕からぴょんと飛び降り、ぺこっとお辞儀をしてからこちらに駆け寄ってきた。そのまま抱き上げる。あどけない頬に口付けをしてみせると、仙人さまは少し苦笑された様子だった。そして、深々と一礼して、ふと消えた。
「母上、歌って」
「…ええ」
私は風のように歌う。この子が大きくなって、いつか私の元を離れても、この歌を覚えていますように。母の愛はあなたのすぐ傍であなたを守っていると、この子が肌で感じるように。そっとそっと、祈りを込めて。
「ナタ、愛しているわ」
宝貝儿歌 <終>
蛇足ですが。
お分かりの方もおられるかもしれませんが、パロディものです。(管理人、初)
中国の小説『封神演義』に登場するナタと母・殷氏のお話です。
やや説明不足ですが、細かい事は気にしないでください…。
ちなみに「宝貝」は「たからもの」の意味で、転じて「赤ちゃん」や「恋人」、「可愛いもの」といった意味もあります。
また『封神演義』では仙人の使う道具を「宝貝」とよび、
霊珠という宝貝を女性の身体に埋め込んで生まれた子供であるナタも宝貝の一種…みたいものです、きっと。
母の日&子供の日、とかいうことでキレイに収めてみようと試みる。
あのときの麗人は、かすかに、だけど確かに歌を歌っていた。
何故なら、その歌声にこそ私は引かれて歩いていったのだから。夢の中のような、不思議な場所を、柔らかく包み込んでいた歌声は、静かに低く、心地良いものだった。耳をすますと、それは子守唄だと分かった。
靄の立ち込める木々の中で、その麗人は黒く艶やかな衣服を纏い、さらりと流れる黒髪ごしに白い首筋を際立たせていた。不思議な衣服。平民のそれとは明らかに違って質の良いもの。口元に浮かべられた微笑は、とても穏やかで、しかし同時に力強いものでもあった。形の良い唇から流れる子守唄は、ほんとうに慈愛に満ちており――まるで何か、この世の人とは思えないような神秘的な光景だった。
そして、ふと歌うのをやめたかと思うと、麗人はそっとこちらを振り返り、静かに私の名前を呼んだのだ。
「…殷氏」
「………ぇ」
かすれた声しか出せなかったが、確かに、確かにいまこの人は私の名を。
目を丸くした私に向かって微笑んだ麗人の目はとても澄んだ色をしていて。その瞳に吸い込まれたように私は動けなくなってしまう。恐怖ではなく、一種一目ぼれに近いような衝撃で、体が言うことをきかなくなる。
「怖がらないで」
頷く。なんと返事をしたら良いか、分からなかった。事実私は怖がっているわけではなく、常人とは思えないその空気に圧倒されているのだった。
「貴女にこれを贈るよ。…手におえないかもしれないけど、貴女なら大丈夫だから」
麗人が、手にしていたのは二色に色分けされた小さな珠だった。よく分からない素材、よく分からない用途。何かしら?と目を凝らしたときには、その珠は麗人の手を離れて、ふよふよと宙を漂ってこちらに来た。驚く私に、麗人はやさしく微笑んでいた。訳の分からないまま立ち尽くしている私の腕の中に、その珠はふわりと収まった。冷たくも熱くもなく、無機質な感じのする珠は、それ以上は動いたりせずじっとしていた。
「あ、あの…これは」
「貴女のだよ」
そう言われれば、何故か愛着のわくのが人の情だろうか。愛おしくて堪らなく思えてきた。これは一体…何なのだろう?
「それじゃ、またいつか来るから。……その子を頼んだよ」
そんな不思議な言葉を残して、麗人は姿を消した。
胸に残された珠を抱き、頬を寄せると、鼓動が高まった。直感で分かる。これは…この子は、私の子だ。そっと口付けると温かい。おいで、と呟くとその球体は私の身体にするすると沈み込んでいった。
そして私は目を覚ます。身を起こせばいつもの寝室で、夫が隣で寝息を立てている。う、と気付けばお腹が痛む。ああ、あの夢は…。あの夢はきっと…。目覚めた今でも、あの麗人が口ずさんでいた子守唄が頭に鮮明に残っている。思い出して口に乗せると、あたたかなメロディが心地良く、お腹の痛みすら和らぐようだった。
宝貝儿歌(下)に続く。
怖いのは
君を他の誰かに取られること
怖いのは
僕以外の誰かが
君の一番になること
あまりにも馬鹿馬鹿しすぎる
過去の事例をまったくそのまま
再現されようとしている、のかも知れない
神様がいるのなら
一体僕に何をさせたいのだろう?
どうしてこんなに僕を苦しめるのだろう?
だから神様なんて居てもらっちゃ困るんだ
僕はただ僕の意思で
この言葉、この腕、この意識フルに使って
誰かの幸せに貢献したい
なんだか無性に意味も意図もなく嫉妬心。
やるせない。
つまりは愛情に近い好意を心中に認めて項垂れる。
みすみす過去と同じ道を歩むのなんて御免だが。
どうしていつもこうなんだろう?
動いても動かなくても後悔しそうで怖い。
しかし何処かがおかしい。
消極的に愛する。
塩コショウが切れた。仕方ない買うか。みたいな。
別に欲しくて買うわけじゃなくて、切れたから。
そんな感覚に近い。
愛してる、なんて囁く資格など疾うに無くしたのに。
もう公園の猫に構うのはやめたんだ
昔飼っていた黒猫を思い出すから
どれだけ懐いてきても
いつか居なくなってしまうのだから
愛らしい姿 一人の部屋にはもう見つからない
だから
そんな瞳でみつめないでくれ
艶やかな毛並みに触れたくなる
頭をなでたらこいつも
気持ち良さそうにニャーと鳴くのかな
いや でも ああ困ったな
あの愛しい姿 まだ覚えているのに
なあ お前
この広い広い空の下、どこかで
誰かの腕で可愛がられているのか?
なら俺ももう
違う存在をこの胸に抱いても良いか?
決して代わりにするわけじゃないけど
一人の部屋は淋しいから
そんなきれいな瞳で見つめないでくれよ
その眩しさに俺は耐えられないんだから
失う悲しみを知ってもなお
求めようとするのは愚かなことだろうか?