ただ遠くから見ているしかなかった
口出しする権利も立場も無い
ただ僕は
見ている事しか許されなかった
近づいて抱きしめる事も
敵を排除する事も
安全なところに連れ出す事も
何も
血を流して倒れている君に
ハンカチ1つ渡せずに
君は君で助けを求めたりしなかった
ただ懸命に一人耐えていた
痛い、などという感覚も既に絶え
きっとただ恐ろしかったのではないか
その小さな瞳映るのは
地獄絵図そのものだったのではないか
ただ己の境遇を語ってくれた君は
冷たく笑った
帽子を目深に被る君
その赤色に手をやってそっと撫でたかった
けれど
少年のような悪戯っぽい笑顔が
どこか他人を跳ね返しているようだった
今はもう大丈夫だよ、
なんて言えないけど
きっときっともう
君はあの頃の君じゃないだろう?
色んな君、全部ひっくるめて
僕の大切な友、だから。
今
懸命に生きる君に
此処からエールを。
差し伸べられた手を振り払って
一人
泣いている少年を見た
電気のスイッチには手が届かない
人の体温は怖いものだと
そう聞かされ
近づく者は足を止める
部屋の真ん中 少年は一人
ただ涙を流して座っている
冷えた手には望みなどない
助けて なんて言えない
こちらに伸びて来る腕は 怖い
嫌だ 一人にしてよ
もうコッチに来ないでよ
要らない 要らないから どうか
もう触らないで 古傷に
痛いの 痛いんだ…
少年は一人 白い部屋で
ただ
泣いている
為すべき事は何もなく
傷
疼く
スカートを短く折りながら
きゃらきゃら笑いあう女の子達
「寒いね」
セーラー服のリボン
はたはた風に遊ぶ
自転車に乗って信号待ち
鋭い風にエロティシズム
300円で売られる夢
缶コーヒーと一緒に
一つ買ってみようか
ポケットに突っこんで
君が
くしゃくしゃに丸めて焼いた
日記のノート
残る灰は なお惜しむように
かすかな濃淡で日付を見せる
君は
それを見てぎゅっと握りつぶした
手は黒く汚れ
過去は水と空気に溶けてゆく
もう君の心にあの日付は無い
僕が
ばらばらになって崩れてゆく
砕かれた脳細胞
タイムマシンは壊れてしまった
まだこんなに鮮明に見えるのに
バイバイ、僕
「あなたが1つ我慢していたら
相手は2つ我慢していると思いなさい」
あいつの
どこが
何を
我慢しているって?
ひとり
そっと
ひんやり
きらり
そっと
きらり
すぅっと
ぽたり
ぽたり
ぽたり
じんわり
ちくちく
ぽたぽた
……ぎゅぅ。
追っ手は多数
それなのに
逃げる手段は二本の足のみ
たとえ走り疲れようと
骨が折れようと
お構いなし
眩暈と動悸の中
それでも
それでも
どこか遠くへと望む
背中に届く手を振り払い
出来る事なら
あの子の傍に
どうして
どうして
走り出せなかったのか
この腕で包めなかったのか
ろくな言葉も見つからなかったのか
苦しませたのか
暗くなる意識の向こう
思い出せない
笑い顔
彼女にその真実を伝え、
彼に彼女の存在を伝えたら
どうなるのだろう。
「ごめん。さよなら」
「……分かった」
「あなたに会えなくなるのね、寂しいわ」
「すみません。でも僕ももう限界です」
「メールだけでも嫌なの?」
「嫌。幸せになったら連絡頂戴」
「そうやって皆逃げていくんだね」
「悪いのは皆?」
「ううん、全部私が悪いから」
「…何度も同じ事言わせないで、あなたが100%悪いなんてありえないでしょう」
「君は悪くないもん」
「そうじゃなくってね…」
「ばいばい。もう連絡しないから」
「寂しがってます。でも仕方ないよね、あなたに迷惑かけられないもの」
彼女と彼が統合さえすれば少しは事態が進展すると言う事に
彼女自身気付いていない。
いわんや、彼女の存在に気付いていない彼をや。
窮鼠猫を噛む。
大人しい生徒のキレっぷり。
イコールで結ばれる事の、
追い込まれた者の最終手段。
すなわち切断。
思い出せない記憶が
蹲る
部屋の片隅
カーテンは無く
不躾に差し込む夕陽
調度品は鏡とベッド
リボンが絡みつき
包帯は散らばる
くしゃくしゃに丸められた地図には
朱色の印
ただ蹲って
ノックを待っている
守衛は居眠り
援軍は来ず
鏡は常に伏せられる
うるさいラジオは廃棄処分
ただ鋏の鋭さに溜息
さらりと流れる黒髪に見惚れ
はっとする
少し背の高い
肩に触れる程度の髪が似合う
艶やかに揺れる
そっと
手にとって口付ける
「キレイだな。」
驚いた顔
それも美しく
軽く咎めるような瞳は淡い翠
「馬鹿じゃないの」
そうかもな、と
舌を出して笑う
逆光
鮮やかに香る
眩しくて
微笑む口元だけ
刻まれる記憶
理人はマサトと読ませてはいるのだが、(僕のサイトに記載)
自分自身、頭の中でリヒトと発音してしまう、何故か。
「リヒト」とはドイツ語で「正義」の意味らしい。
とんでもないな。正義に失礼だ。
正義より道理の方が好きではある。
…どうでもいいお話でした。
どうでも良くない話など一度も書いていませんが。
お気づきになられたでしょうか。
ほんの少し、ソースをいじりました。
日記ページにMy追加ボタンをつけ、
目次ページに全日記タイトルのリストをつけました。
My追加はエンピツの日記をお持ちの方だけに働きます。
追加して頂けると素直に喜びます。
また、My追加ボタンが無いにも関わらず登録なさった
三名様には厚くお礼申し上げます。
My追加ボタンを消す前に登録して下さったのでしょうか。
わざわざIDを探して下さったとしたら恐縮です。
タイトルのリストは自分が欲しかった機能です。
ボタンの色などもう少し手を加えるつもりです。
近頃ますます壊れ気味の当日記、
お楽しみいただければと思います。
管 理人
分かってる
分かってるんだ
分かってるんだけど
分かってるんだけど
ダメなんだ
ダメなんだ
僕は僕でしかないし
君は君だし
分かってる
分かってるよ
あぁそうさ
僕がきっと悪いのさ
君と出会ったのも
君を苦しませたのも
全部
初めから僕が居なければ
喉が乾いてきた
これはきっと罰
捻じ曲がった金属片
胸に
冷たく輝いて僕は
僕は。
会いたい?
そんな、愚かな
今更、今更
どんな顔をして会えというのだ
謝るつもりか
礼を言うつもりか
泣くのか笑うのか?
そもそも
僕はあの人の何だったというのか
僕がここにいるのは
かつて僕は僕ではなかったから
冷たい空気と青い海の中で
静かに口を閉ざす貝は
熱を嫌って底を目指した
エメラルドグリーンの海は
珊瑚の死骸を抱いて眠る
深く深く、光の届かない海は
計り知れない種類と数を包んで見守る
美しい死骸は人々の足を傷つけ
ほんの少しの赫を吸う
その赫さえ拡散し確認不能
かつて生きていた生物は去り
死骸だけが白く美しく輝いて
僕はここで生まれ変わる
幾多の人間が
”僕でない僕”の姿を見ただろう
屍ではなく生きていた頃の
貝は眠る
貝は眠る
もっとも素直な色で
もっとも広がる色で
もっとも遠い色で
この世にどれほどの存在が。
見渡せば1つとして同じものはなく
飽きなどせず
厳しいものも優しいものも丸めてこねて混ぜて煮詰めて
この
視界に
果てなど無い繋がりと広がりを
包まれて
もっとも静かなる
流れに乗り
決して決して
揺らぐことなく縦横無尽
まだ見ぬその存在に気付くため
未だ僕はこの位置で。
彼は走る
走る
走る
走り抜ける
1つ足を踏み出し
蹴って
地球を
力強く
しっかりしっかり
髪が風に
光が
ふわり
瞳
輝いて
上気した顔
笑って
タオル
汗拭いて
照れくさそうに
笑って
スニーカーが
気持ちよく地を蹴る
そうだ
こいつは
風を生み出せるのだ
せめて最後くらいは静かで居て欲しかった。
すぅ、と意識が抜けていくように。
透明な世界に還れるように。
苦しんでなどほしくなかった。
知らない、知る事が出来なかったと嘆いていた。
調べる事は出来たはずなのに、気づかないふりをして。
怖かったのだろうか。
知ったのは、1つの可能性と病名。
まだ、他に見つかっていない。
言うならば自虐行為だった。
真実に近づくのは、とても痛い事だ。
ただ、その距離すら測れないのは辛すぎるから。
一歩踏み出すと、どこかには近づくが
どこかからは遠ざかっている。
これほど時間をかけて、やっとその一歩。
離れたくはなかったから。
まだ留まっていたかったから。
「逢いたい」とは違うが、やはり「知りたかった」。
もうそろそろ何ともならないこの違和感を
取り除い