'ゃッぱ・頭、変っすか。
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2005年09月28日(水) |
「CAUSE OF DEATH」P,コーンウェル(検屍官シリーズ) |
◆2005y9/21 CAUSE OF DEATH (死因) ◆ 内容(「BOOK」データベースより) 潜水禁止地域の川で発見されたジャーナリストの変死体。溺死か、他殺か?ダイビングの目的は?男の背後を探るうちに浮かびあがってくる狂信的カルト教団の影。やがて、全米を震撼させる事件が勃発する。天才プログラマー・ルーシーの力を得て巨大な陰謀に立ちむかうスカーペッタ。 ◆読者個人感 検屍官シリーズ・前作より小康期間を経て発表された本作は、内容にても登場人物たちは年齢を重ね、主人公ケイ・スカ−ペッタがスキューバダイビングの様相で事件現場に登場してくるのです、作者のこれらのスチュエーションの描き方は前作に増して緻密で景観を良く表現している筆致で、読者に科学捜査のこのような場面のありかたを楽しまさせてくれるのであった。 主人公が現場で陣頭で直に調査していかなければならないのかが解せないものの、そのあたりの構成はこの検屍官シリーズの特徴であると納得して、引き付けられて読み進んでしまったものである、後半にても、サスペンス物の謎解きの要素としては少々無理があることは確かであるし、せっかくの活劇の場面がもの足りないと思うのは読者の我侭だけではないでしょう。しかし、いっきに終幕まで読み進ませてしまう・この物語の主題・検屍長官ケイの情愛や人間の興味深いところ、それぞれの人間模様を綴られている部分で相殺されたことになろう。また、次作もこの登場人物たちの人間性を楽しみにして読みふけってみましょう。 ◆補記 今回、この検屍官シリーズ・7冊&他1冊の読み本は、私をサポートしてくださる有志の好意で異国の地で読書できるよう送りつけていただいたものです。 ひとまず、ご好意いただいた全冊、韓読してしまったわけで「追加で送りましょうか」という申し出も下さっています。ここまで、書評を記録してまいったので今一度それを見て、そして依頼するかまた考慮してみます。 送り主と作者に感謝の気持ちをこめて、一時本シリーズ読書、小休止を取りましょう。
2005年09月21日(水) |
「From Potter's Field」P,コーンウェル(検屍官シリーズ) |
◆、2005y9/17 FROM POTTER,S FIELD (死刑) ◆ 内容(「BOOK」データベースより) 凍てつくような冬のニューヨーク。ひらひらと雪の舞うセントラルパークで名もなき女が無惨な死体で発見される。恐怖の殺人鬼ゴールトが遂にその姿を現わす。スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官の必死の追跡が続く。やがて明らかにされるゴールトのおぞましい過去。 ◆読者個人感 兇悪な連続殺人犯と対決する最終場面、姪ルーシーの企てた犯人捕りこみ作戦は、その凶悪犯の生い立ちや家庭環境を追窮して綴られた筆致に比べ、周辺描写から大捕り物へ展開していく説明が構成のわりにあっさりと結末し、やや無理があった気がする。コーンウェルの検屍官シリーズは、全般的に読者を小説のなかに引きずりこんでサスペンスを味あわせてくれるものの、その仔細な人物描写を優とするなら、ストーリーの結末やハードボイルド・タッチの描き方には肩すかし感は否めないのである。 ◆参考覚書 本編の原題「From Potter,s Field」の意味であるが,マタイの福音書の一節による「ポターの畑」、 ユダがキリストを売って手にした銭で司祭たちが買収した土地で、そこを墓地としたことに由来する、「無縁仏の墓地」をあらわしたものである。
2005年09月17日(土) |
コーンウェル・検屍官シリーズ「死体農場」 |
◆2005y9/17 THE BODY FARM (死体農場) ◆出版社からの内容紹介
教会からの帰途、11歳のエミリーを何者かが尾行し、自宅のベッドから連行のうえ殺害した。死体の内腿と胸の上部及び肩の肉は切りとられていた。極秘の研究所「死体農場(ボディ・ファーム)」の協力のもと、ケイと殺人課刑事マリーノの、極悪犯に対する凄絶な死闘が始まった。世紀のベストセラー「検屍官シリーズ」好評第5弾! 本作は、前作『真犯人』(原題『Cruel & Unusual』)と緊密なつながりを持つ続編となっている。前作のラストで、ベントン・ウェズリーに誘われたFBIのコンサルタントの仕事を承諾したケイ。いまや大学生となったルーシーも、FBI技術開発研究所で仕事をして。 静かな片田舎で起こった少女エミリー・スタイナーの惨殺事件捜査のため、ケイはFBIに呼び出された。裸で発見されたエミリーは遺体の一部が切り取られており、前作の連続殺人犯テンプル・ゴールトの手口ときわめて似ていた。ゴールトは逮捕を逃れ、いまだにどこかを徘徊している。 いつも頼もしいケイのボディーガード役、ピート・マリーノも今回は役には立ってくれそうにない。マークの死後、急速に親密になったケイとベントンに激しく嫉妬したあげく、被害者エミリーの母親ディネスに入れ込んでしまったらしいのだ。まもなく、捜査中の地元警官の変死体が自宅で見つかる。フリーザーにはエミリーの切り取られた肉片が入っていた。しかし、彼が犯人であるはずはない。ゴールト一流のおふざけなのか。 一方、FBIの巨大な犯罪データが真夜中に盗まれた。セキュリティーはルーシーの指紋でやぶられていた。だれかにはめられたと主張するルーシーだが、なにやら隠しごとがあるらしく様子がおかしい。ルーシーの嫌疑をはらすために奔走するケイは、犯人へとじりじり迫っていく。本書は、一話完結のスタイルをとりながら、作品を超えた伏線がはられる長大な物語へと展開している。本書を閉じた瞬間にすぐにも次作を読みたくなるだろう
◇ 読者個人感 テネシー大学付属施設の死体の腐敗状況や死因に関する調査研究をするための研究所、「ボディーファ〜ム」を表題とするP.D.コーンウェルの検屍官ケイのミステリーは、前作から継続して、本人と取り巻く関係者と、そして容疑者までをも描く人間模様の機微を綴る物語、舞台は検屍局のあるリッチモンドからノースカロライナの田舎町に移動し、またワシントンに空路移動と各地各様で織り成され、読者を景観の違ういろいろな地へ旅させてくれる、そしてすぐ次への殺人事件をみせてくれるのであった、交通事故やFBIの施設内部の犯罪も登場してきて、それらはケイを困惑させるだけでなく読者の推理の楽しみに付加価値を与えるのであった(終幕では未解決のままの映画チックな手法にすり替えられて終わってしまった) ひとを愛すること、そしてそれを表現すること、男の心にケイの女性としての愛を反映させることの素直にできないもどかしさと苛立ちと、自分の分身であるような姪のルーシーへの愛と、核心が具体的にかかれだした本編はまたさらに次作(FROM ROTTER,S FIELD)への序章となっているのであった。
2005年09月13日(火) |
P.D.コーンウェル「真犯人」 |
◆2005y9/11 CRUEL & UNUSUAL (真犯人) ◆内容(「BOOK」データベースより) 私を殺してもけだものは死なない。そう書き遺して黒人死刑囚ロニー・ジョー・ワデルは電気椅子に座った。果たしてその夜から起きた連続殺人事件現場からは、ワデルの指紋が発見された。被害者の十三歳の少年、女性霊能者、検屍局主任を殺した真犯人は誰か。そして今、女性検屍官ケイの身辺にも陰湿な罠が。 ◆ 検屍官ケイ・スカーペッタシリーズ第4弾。10年前に女性テレビキャスターを惨殺したロニー・ジョー・ワデルの死刑執行を巡る騒動で幕をあける。罪への罰という正義と、死刑反対運動とが争うなかで、クリスマス近い冬の日についに刑が執行された。ちょうどその晩、10年前のワデルの犯罪とそっくりの殺人事件が起きる。 ワデルが残した言葉が不気味に響く。「私を殺してもけだものは死なない。そいつは暗闇を好み、血と肉をむさぼる。兄弟たち、もう大丈夫と思ったその時から、注意し始めないといけないぞ。1つの罪がまた別の罪を生む」 ワデルの死後、彼がよみがえったかのように連続殺人が起きる。数日後ワデルと最後までコンタクトを取っていた占い師が殺され、現場からワデルの指紋が検出された。10年も刑務所にいたワデルの指紋がなぜ現場に残されていたのか。処刑されたのはワデルではなかったのか? ワデルのすり替えがあったなら、当局が絡んでいるはずだ。連続殺人はケイの周囲をも巻き込み、ついにはケイ自身が容疑者としてマスコミにたたかれるはめになる。 容疑者と刑事というぎこちない関係がケイをイライラさせながらも、嫌疑を晴らすために奔走する殺人課刑事のピート・マリーノ。そしてFBIのベントン・ウェズリーが脇を固める。いまや17歳に成長したケイの姪ルーシーが、頭脳明晰ぶりを発揮するのも今後の展開を期待させる。4作目にしてなお衰えを知らず評判の高い本書は、1993年CWAゴールド・ダガー賞(英国推理作家協会最優秀長編小説賞)を受賞 ◇ 読者個人感 想像を巡らした。 死刑を執行された囚人の指紋が、その死後の事件で検出され、その謎をからめ、ケイティーの検屍局長のポストを追われなければならむ略謀の渦中、ピンチを脱却するクライマックス場面・法廷審理での口頭活劇は迫真であった、… 検屍局長の肩書きプラス弁護士でもある聡明なケイの法廷劇は、作者の主人公ケイに女性としての愛を吹き込んで登場させたものであろう。 「もし、恋をしたことがあれば、恋は自分の中の最高のものと最悪のものを両方引き出すってことがわかるはずだから。やたら寛大になったり感じやすくなったりしたかと思うと、まるで鈍感になったりする。やることがやることが極端になるのね」
2005年09月11日(日) |
「遺留品」P・コーンウェル |
◆2005y9/11 ALL THAT REMAINS(遺留品) ◆内容(「BOOK」データベースより)
虐殺されてゆく恋人の血まみれの姿を眼前に見せつけられたあげく、命を奪われた少女。その母親は次期副大統領候補と見なされている財界の大物だった。二人の殺害は最近起っている連続アベック殺人のひとつなのか?殺人訓練を受けているCIA内の変質者のしわざなのか?検屍官ケイの苦闘はつづく。 アメリカ・ミステリー作家協会賞、イギリス推理作家協会賞受賞。
検屍官ケイ・スカーペッタシリーズ、第3弾。事件は、仲睦まじいティーンエイジャーのカップルばかりが狙われる連続殺人。森奥深くで殺され、遺体発見が遅れる。白骨化した状態から死因をつきとめるのは不可能に近い。これまで2年半の間に4組ものカップルが被害に遭っているというのに、捜査は手詰まりのまま。ケイのいらだちは募っていた。そこへまたも若いカップルの失踪事件が起きる。失踪した女の子の母親はドラッグ・ツァーの異名を持ち、全米麻薬対策委員長として政界にもつながりの深い大物パット・ハービー。FBIが介入して、何やらものものしい雰囲気の中、わが娘の事件に狂乱するパットはFBIの隠蔽(いんぺい)工作を主張して全面対決の構えだ。事件はマスコミを巻き込んでの大騒動と化し、ケイは渦中の人となって巻き込まれていく。
FBIの旧友ベントン・ウェズリーからも情報をもらえず孤立したケイは、わずかな遺留品と骨に残ったかすかな傷を頼りに独自捜査に乗り出す。今回のパートナーはおなじみ、殺人課刑事ピート・マリーノだ。裏切りの疑惑に揺れるケイを静かに支えるマリーノ。しかしマリーノも私生活の乱れをケイに支えてもらっているという持ちつ持たれつの良好な関係が頼もしい。 ケイの最愛の恋人マーク・ジェームズも登場してオールキャストといった豪華さ。ますます人情味を増したケイの魅力が満載の作品。
◇ 読者個人感 魅力的な登場人物の描写は著者の筆力を物語っている、しかしミステリーとしての物語は、小説の大半を占めた組織・権力・陰謀といったものから、結末は短絡的な真犯人を登場させて(しかもケイティーの偶然から)幕引きへと展開され、前作より登場の女友達をも死に追いやってしまった。 主人公の心理描写や葛藤を画く手法に少し飽きてしまった心境である。
2005年09月07日(水) |
[証拠死体]P・コーンウェル |
◆ 2005y9/6 BODY OF EVIDENCE (証拠死体) ◆ 内容(「BOOK」データベースより) 残された傷痕は、美人の売れっ子作家ベリル・マディソンが必死で抗い、命乞いをしながら死んでいったことを物語っていた。殺人犯の待つリッチモンドへ、なぜ彼女は帰っていったのか、なぜ犯人のためにドアを開けたのか、そしてなぜ、殺される運命にあったのか―。 MWA処女作賞受賞作家渾身の第2弾。
◇ 読者個人感 主人公、検屍官・ケイ・スカ−ペッタ−は、第2作においては 15年の歳月を隔てた嘗ての恋人を登場させた、前作同様、微妙な思慕の揺れる女心を綴る展開のなか、その彼氏も謎と疑惑を深めて構成されている。そして真相は…
法医学・解剖学や犯罪科学(化学)などの専門用語や解析は前作で慣らされてはいたが、この2作目「証拠死体」ではさらに、心理学や精神病理学の分野の内容にもおよんできて、読者としてはストーリー展開を推理することに混乱をきたすこととなってしまうのであった。しかし その登場人物たちの描写表される情景のなかで先へさきへと導かれてしまうのは、現実離れしている矢継ぎ早の連続殺人がテーマなのだろうか、著者の筆力もあるのだろう。そしてクライマックスをサラッと認められてしまってる感はするが、また前作と同じく主人公の身辺にも危険が及んでくるのである、この事件ではケイ・スカ−ペッタ−はついにハードボイルド小説よろしく犯人と相対し暴力には暴力でみごと撃破してしまうのであった。 女性心理の機微だけでなくパワーを示してくれた、ケイティーが益々好きになってしまった次第である。 あんど、「なぜ、犯人のためにドアを開けたのか?」このミステリ−の謎解きは、科学捜査による解析と検屍官の分析による付箋からの構築、Oh!納得のみごとさであった。
2005年09月06日(火) |
パトリシア、D、コーンウェル |
◆ 2005y9/3 POSTMORTEM (検屍官) ◆ 出版社/著者からの内容紹介 内容(「MARC」データベースより)
女性検屍局長ケイ・スカーペッタ難事件に挑む。バージニアの州都リッチモンドに荒れ狂う連続殺人。被害者の女性たちは残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。被害者のあいだに関連はなく、捜査は難航、全市は震え上がっていた。美人検屍官スカーペッタは、最新の技術を駆使して捜査を続けるが…。ミステリー界の女王衝撃のデビュー作。超ベストセラー、検屍官シリーズ第1作。
◇ 読者個人感 スカ−ペッタ−家の人たちは、代々・自己民族中心主義、(イタリー系) 女性の検屍官は珍しいし、特徴ある容姿、「人目につく」、「ブロンド」、「きりっとした顔立ち」であるが、彼女は目立ちたくないし、周囲にとけこみたいと思っている。 検屍局長、ケイ・スカーペッタは、知性派キャリア。 彼女の管轄する−バージニア州リッチモンド−に起きた偏執的連続殺人事件 (この州警や法務では検屍局も現場の捜査に服務するのでちょっと違和感はある)で殺害された遺体を検屍しそこからさらに調査をしていく物語である、 彼女を取り巻く、個性的な検屍局の関係者や、たたき上げの刑事、そして親交する検事官など、ミステリアスな役者たちの人物描写におもわず引き込まれ読みふけってしまった。 サスペンス終盤、真犯人の登場と幕引きが、女性検屍官の性格描写やストーリーの展開に比較してずいぶんとあっさりしたものであった。 ハードボイルド・サスペンス好きの読者としては物足りなさも残ったが、著者の描く女性検屍官・ケイ・スカ−ペッタ−の今後の人生と活躍を期待して次作に望みたいと思います。
P.I.P.―プリズナー・イン・プノンペン 小学館文庫 2000y6/ 書き下ろし 沢井 鯨 (著)
出版社/著者からの内容紹介 プノンペン拘置所歴半年の著者が描く、謂われのない罪で収監された男の驚異の脱出劇。騙し騙されの頭脳戦、張り巡らされた伏線が最後まで息をつかせない前代未聞のアジアン・ノワール。 解説・馳星周。↓ なんとも荒削りな小説、構成はいい加減で描写も稚拙。とある
内容(「BOOK」データベースより) 札幌の中学の教壇でチョークを握っていた私は、気が付くと灼熱のカンボジアで牢獄に繋がれていた―。プノンペン拘置所歴半年の著者が描く、謂われのない罪で収監された男の驚異の脱出劇。騙し騙されの頭脳戦、張り巡らされた伏線が最後まで息をつかせない前代未聞のアジアン・ノワール。各紙誌の書評欄を席巻した衝撃の超問題作、
読後感、 ポルポト後のカンボジア、プノンペン 世界史に刻まれる大量虐殺と長い長い内戦を経て荒廃した国土に広がる貧困と悪徳は、いかに描写が甘かろうが、現場ですべてを体験してきた人間の言葉以上に重いものはない。平和ボケの日本にいて、戦争反対、独裁政権の悪徳許すまじと叫ぶことが空虚であればあるほど、人間の生存と本能だけが、すべてに優先する世界に身をおいたものの叫びは痛烈で切ない。 カンボジアをとりまく国々、ベトナムの南北の戦いやそれを支配せんとする中国までをもが錯綜する、民族と利権の政治に蠢かされる人々の図式、ひとりの人間の思想では判断しきれない史実のものがたる展開は目がはなせない魅力で書かれている、
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