わたしはあなたをささえる
あなたはわたしをまもる
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恋って目がくらむもの
愛って心が溺れるもの
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会社が楽しいから仕事は続きそうです。
毛足の短い美しい洋犬みたいな女の子がいて、 その子は 黙ってるとキリっとしてて 仕事はキレるのだけど どこか抜けていて 緩むとぽわぁん としてる。
あー、いいなあこの人のこのバランス。好きだなあ。
この子が今日も事務所にいるから、 私は許されている気持ちになって、 安心して仕事ができる。
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締め切りのある仕事をして2週間ほど休みなし、 なんとなく 就業のしょっぱなから走りっぱなし、 ひさしぶりのひとりの休日、 なんか がんばっちゃって いろいろ働いたりしちゃったりして。
お布団干して、毛布干して 洗濯物まわして、ついでにカーペットとネコ用毛布とタオルケットも洗って 掃除機かけて、 ついでにネコ2匹しっかり洗って、 お買い物に数軒まわり、 かえってきて干してるもの取り込んで 洗ったりして干してた軽い毛布の類いを片付けた。
働いているときの休日って、 使い方が慣れなくてむずかしい。 身体を休めるときがない。
今日は抜ける晴天で夏が来たのだなあと実感。
ダーは今朝帰ってきた。
いつもなら10分前には家をでている時間で、 あきらかに遅刻だ!という時間に帰ってきた。
私はあきらめの気持ちで寝ていて、 ダーは「ごめん、ごめん!」と言いながら部屋に入ってきた。 遅刻の事よりも私に謝ることの方がだいじという感じを受け、 どうしようもないこの人のことを もう怒る気も失せてしまった。
階下の駐車場に車を停めて、 また寝ちゃったらしい。
ばっかじゃん。
ダーは、なんども謝り、 私の顔色ばかり気にしながら制服を着、 慌てて出ていった。
ダーを送りだした私はもう怒ってはいなかった。
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自分の何気ない行動が、こんなふうに どこかで好きな人をひどく落胆させていたら、 いやだな。と思う。
ダーはどう思ってんだろ。
これからこういうのに何回もつきあわされるのかな。
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入籍の事を話すと、 誰かが喜んでくれるので、 なんとなく私もしあわせなきもちになる。
喜んでくれるひとから、 しあわせをもらっているようなきもちになる。
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仕事中、ダーからメールが来て、 今夜は頑張ってごはん作ってくれるというので そぼろごはんをお願いした。
ばん回しようとしているダーって、 かわいいと思った。
むすんでひらいて、むすんでひらいて。 何度もなんども手を繋いでいこう。
今日 入籍しました。
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朝11時、起きて 私は洗濯物をまわし、部屋を片付け、 ダーは掃除機をかけた。
実家へ行くとちょうど昼食を食べているお義父さまがいたので 一緒にお味噌汁とごはんをたべた。 私が片づけをしている間に 既にママが片方記入した保証人欄に お義父様が記入をくださり、 わたしたちはお仏壇にお線香をあげ、 お義父さまの書き終えた 婚姻届 に記入をした。
市役所の窓口には
深いみどりいろのおかっぱ頭で みどりいろの眼鏡フレームに みどりいろのビーズの眼鏡チェーンをつけた、
魔女のようなガマ蛙のような不思議なおばさんが座っていて、 私たちの手続きをしてくれた。 市役所という場所での出会いにしてはとても個性的な容姿だったけど それがすごく似合っていて、そこだけすてきな場所になっていた。 この手続きがなにかの儀式のようだ。 私も白髪混じりになったらあんな風に染めてみたいと思った。
市役所の住宅課でなんとなく県営・市営住宅の用紙なんかもらったりして、 5階のエントランスで階下をながめながら ずいぶんのんびりコーヒー飲んで、 市役所をあとにした。
ダーの実家のすぐそばの高崎神社へお参りにに行き、 なんとなく穏やかでいい気持ちになった。
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まだ午後なかばなので、私はせっかくだから 緑のきれいなところへ行きたいと思ったのでそう言ったけど ダーは漫画喫茶へ行きたいと言った。 私はまったくそのつもりがなかったけど進路は漫画喫茶になり、 なんでこんなときそんなこと、ちょっと信じられない、と思ったけど どうしても行きたいんだろうと思ってそれに従った。 で、ダーのおごりで漫画喫茶へ入った。
漫画喫茶を出て、食事どうする という話になり、 なんでもいいよ というと「ナントカ食堂に行こうか」とダーは言い、 …そこは確かに 好きな空間ではあったけど、 ほんと雰囲気もオシャレとかもないひなびた大衆食堂で、 よりによって今日行かなくていいじゃん。と思った。
それで、わたしはとうとう 「ダーって最低。」 と言った。
結局部屋に戻り、 部屋に戻る道中でダーの電話代が支払われていなくて、 明日から止まるかもしれないことが発覚し それは私が払い損なっていたので 私は謝ったけど ダーの機嫌はあきらかに悪くなった。
ごめんね、と言ったら 明日でイイよ と言ってくれた。 それで少し機嫌なおった。
ダーはチャーハンを作ってくれ、 それをふたりで食べた。 ダーはあの食堂のチャーハンを食べたかったのかな。
一緒にお風呂に入ろうと思って、お湯を溜めていたら ダーはアコギを弾きはじめ、 そのうちノッてきたらしくスタジオに行ってくると言った。 どうしてもだめなの と言うと、 こういう気持ちの時が重要なんだ とダーは言った。
私も、そういう気持ちでうわの空のひととお風呂に入っても幸せじゃないと思ったし 音楽のことでわがままは言いたくなかったので スタジオに行かせてあげた。
出がけ、玄関で ダーは私を 自分の名字で呼んでみてくれ、 ちょっと幸せそうにしてくれた。
確かに、そのときはちょっと くすぐったいような気持ちになった。でも、
だけど ひとりになった私は なぜか イライラしてきて、 たぶん私は寂しいのだと思って、 イライラしながらひとりで湯舟に沈んだ。
ダーは、今日を なにかをやり終えた、と思っていて、 私は、今日を はじまりだ、と思っているのだ。たぶん。
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今朝、確かに私は 籍をいれてもいつもと変わらない と言ったけれども 今日といういちにちが なにかに対する初日であったことは確かで、 もう 今日 という日は帰ってこない。
今日、いちにちがはじまっておわっていく、 それがこれからを暗示じているという感想を持った。
私は 何を ダーに期待してたんだろうと考えた。 それは すごく一方的なものなのかもしれないけど、 私のいちにちに花を添えてくれてもいいんじゃないの。 それが私の希望になるようなお花をくれてもいいんじゃないの。 それはわがままなことなんだろうか。なんて思った。
私は、なんてことをしでかしたんだろう。
わたしのこころのなかで咲かせようと思っていたけれども しまいこんでしまった種たちを悲しく思った。 やっぱりそっちのお花を植えればよかったかな。
今日が決して そういう気持ちばかりだった訳じゃないのに、 負の気持ちに包まれてしまった。
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いったん寝て、 深夜3時半に目が覚めて また起きて、まだひとりなのを知って、自分が、 いろんなことを相手に求めていることを知って、 いろんなことを後悔した。
自分を呪った。
一緒にいるからといって、 決しておなじきもちじゃない。
ある朝、廊下に面した窓を拭いたら 2年分のホコリがタオルを真っ黒にした。 そんなことやってると誰かが階段をあがってくる気配がして、 それはオトナリさんカップルだった。
オトナリさんはふたりで住んでいる。 小さい彼女が…彼女は見るからに気が強そうでヤンキー風なんだけど、階下にあるアイス自販機のセブンティアイスを食べながらあがってきて、そんな彼女をかわいいと思っている彼氏が後ろをついてきていた。彼氏は背が高くて細め?の普通の30後半オジサン風。
おはようございます と言うと、 ふたり揃って「おはようございます」と返してくれた。
彼女は週末深夜1時ごろヒールの音を響かせながら帰ってくる。 そして ときどき階段の踊り場でつまずく。
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今日はダーと軽井沢へ行って、充実して帰ってきて、 ダーは明日もお休みなので飲みに出かけて、 私は明日仕事なのでそれを楽しむことを考えて早く寝た。
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ちょっと!起きてよ〜! 何回電話したと思ってるの?? 途中、車停めたりして大変だったんだからね!? わかってるの??
…という彼女の声が深夜を裂き、私は目が覚めた。 彼女は同じことを何度もなんども言い、 電話に出なかった彼氏をなじり、 早く起きるよううながした。
私の横腹で寝ていたターリンも目をさまして耳を立てている。 私はターリンの背中を撫でた。 ターリンを安心させるつもりだったけど ターリンの柔らかさが私を安心させてくれた。
途中から、同じ言葉をくり返す彼女のセリフに
大変だったんだよ!わかってるの? …もう離婚だからね!
が加わった。
「わかってるよ!」という彼氏の声がして、 そのあと間があって。
どすん、とひどくおおきな音がして、 がしゃん、と網戸の揺らぐ音がした。
彼女の声は泣き声になり、
離婚だリコンだ、さわんないでよ!
をくり返した。
私は暗闇で閉じたままの瞳を手で覆った。 だけど夜がこれ以上深くなることはなくて、 ただ 手の温度が私のまぶたを包んでいた。
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彼女は負けてなくて、 そのあとも彼氏を非難しつづけた。 窓が閉まる音がして、カーテンが閉まる音がして、 何も聞こえなくなった。 ときどき 声が高くなった言葉のキレハシとか、 がたん、とすん、とか聞こえた。
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オトナリさんの彼女は 体は小さいけど、 激しくてばかでかいパワーがあるひとなんだと思う。
彼氏は彼女のそういうところが好きで一緒にいるんだろうけど、 暴力に出た彼氏は 自分に負けてしまって、悲しいことだと思った。
おとことおんなって、 持っている力のバランスがだいじだ。と思った。
彼氏は2時すぎに何処かへ出勤していった。 しずかなよるが帰ってきて、 この暗闇で彼女は何を思っているのだろう、なんて思った。
ありがとう、とか、 ごめんね、とか、 ちょっとしたやさしいきもちとか、
そういう雨が降ればいいなあと思った。
おやすみなさい。
ママから電話が入ってるけど、でない。 いま、あんまりそういうことお話するパワーがないので。
…疲れた。 明日は休み。
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サザンがテレビで歌ってて、 クワタさんの向こうにハラユウコがいて、 なんかあんしんして泣きそうになった。
クワタさんは確かに魅力的な人だけど あそこにハラユウコが座ってなかったら きっとその魅力は半減してたかもしれないと思う。
だから、 今日もあのばしょにハラユウコが座っていることが、 サザンのうたをさらに美しくしていた。 私はそれに感動してそわそわしてしまった。
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先週なかば、出社前に市役所に寄った。 なぜ寄ったかと言えば、届け出に必要な書類を取ってくるため。
婚姻届。
は、定型サイズじゃないらしく普通に折ると封筒に入らなくて オリオリして速達でママに送った。
届け出の保証人はママで。 これ以上にふさわしい人はいないと思うので。
私が結婚するとかしないとか、 ママは もう10年くらい言い続けてきたから。 10年分の夢を叶えてあげる。 ママはその想像力を駆使して夢見る力を加速させるだろう。
…まあ、いっか。 ママが喜ぶんだもんな。
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手紙が届いたママは私とお話したくて電話をしてくれるけど、 いま 疲れてて そういうことお話するパワーがないので お花いっぱい咲かせたような留守電をいただいた。
私自身が夢見心地、とか嬉しい、とかじゃないけど 周囲の誰かが幸せな気持ちになってくれるなら、 それはとてもよろこばしい事だなと思った。
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結婚が世間一般の定義に等しく幸せなのか、 きちんとダーに見せてもらうつもりです。
父長崎人+母福岡人=純血の九州オンナ、福岡に産まれ、
関東→京都→佐賀→京都→横浜→群馬と流れてます‥
レイ
My追加
↑My追加大歓迎です ・あなたの日々を熱烈熟読してますです。サンキウです。
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【ご協力できませんか】千明美咲さんの命をすくう ★
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